オーストラリアの“学び”…考えることを中心にした教育 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

オーストラリアの“学び”…考えることを中心にした教育

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街のあちらこちらに open dayの文字が目立ちます
  • 街のあちらこちらに open dayの文字が目立ちます
  • 大学構内には専門課程ごとの説明会が開かれています
  • Uni OPEN day
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オーストラリアのアデレード市内では、来年の大学進学希望者向けに大学の一般公開が行われました。春を前に、公立3大学が同時期に開催、一日だけの公開イベントとして毎年行われているものです。

翌年1月から新たに大学を希望する人を中心に、大学構内や大学のカリュキュラムなどを紹介。この日はいつも以上にたくさんの入学希望者や留学生などで構内はにぎやかになります。この風景だけでも日本の大学の準備風景とは異なりますが、それ以上に違うのは大学へ行くための準備。一体、何が違うのでしょうか。

オーストラリアの教育が日本と大きく違うのはたったひとつ、大学の入試試験がないこと。大学受験を控えた日本の高校生にとってはうらましい話ですが、試験がないからと言って入学が楽とも言えない事情もあるようです。


大学構内には専門課程ごとの説明会が開かれています

●中学校では自分の意見を文字にするところから
アデレード市のある南オーストラリア州の義務教育は12年生です。小学校が7年間、その後ハイスクールが5年間あります。このハイスクールでの最初の3年間が日本の中学校に該当します。

中学校では、いわゆる小論文(エッセイ)の書き方からスタート。与えられたり自分で選んだテーマをもとに、人に聞いたり、調べたりして自分の表現方法で文字にまとめるものです。ここで生徒たちは自分の表現力・エッセイでの正しい書き方を学び、覚えることよりも考える力が養われていきます。

●大学に行く目的を問われる
日本人の高校生から見ると、一般的にオーストラリアの高校生は比較的勉強が楽に見られがち。夏休みの宿題もなく、日本のように受験制度がないことから勉強に縛られていないように思えるのですが、実は高校の後半から彼らは自分の進路を決めていくことを始めなければなりません。大学に行く目的を自分たちで考えることからスタートし、早い時期から自分の将来を考えます。

●自分の意見を問われる教育
学校では、先生が質問を投げかけると学生たちは率先して手をあげます。自分が間違えているかどうかの不安よりも、自分の意見を言って相手に伝えることが大事だという認識。これらは大学準備や大学で論文をまとめる上で大切なことだと言えるでしょう。


Uni OPEN day

●ハイスクールの最終2年間で大学進学のコース選択がスタート
アデレード市内では大学への進学率が高く、入学希望の生徒たちは大学のコース選択がYear11(日本の高校2年生)で始まります。なぜならYear11・12(日本の高校2年・3年)で大学でのコース選択をした基礎課程を勉強するからです。

日本では大学の専門課程は進学後ですが、こちらでは専門課程の基礎部分を高校生から勉強し始めます。それまでに小論文の書き方は学んでいるので、2年間は専門課程の基礎が論文を中心に成績で評価されていきます。

●高校での成績が大学入学へとつながる
高校では成績にはふたつの評価があります。ひとつは卒業するための評価、一般的に授業を受けて出された課題やテストを受けていればもらえるもの。

もうひとつは専門分野での評価、希望大学の専門課程の入学要件に直結します。これらの評価が入学要件に足りていない場合は、いくら卒業要件を満たしていても大学の希望学部や学科への入学は見送りとなります。大学は諦め、専門学校へ行くか就職をするかは本人次第。自分で決めていく必要があります。

●専門を学ぶこと
日本の大学よりもさらに細分化されている専門分野。細分化されているだけにその特化した分野には優れていても、同じ専門でも少し内容が違うとまったくわからないというデメリットもあります。

日本とオーストラリアの大学での教育のメリット・デメリットはそれぞれにあると思います。自分の将来に何が必要なのか、早期に自分を試されることがオーストラリアでの教育ポイント。しかし大学へ行くのは高校卒業後という決まりはありません。大事なのは年齢などではなく、自分が何をしたいのか、どうしたいのかということ。それを考えておくことが、大学進学に必要なことだと言えるでしょう。
《Asami SAKURA from Adelaide, SA》
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