十文字学園女子大、七夕イベントで艶やかな着物ファッションショー | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

十文字学園女子大、七夕イベントで艶やかな着物ファッションショー

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七夕イベントの発案者、シーラ・クリフ教授が喝采を浴びながら登場(撮影:市原達也)
  • 七夕イベントの発案者、シーラ・クリフ教授が喝采を浴びながら登場(撮影:市原達也)
  • 浴衣を着て授業に参加する学生たち。浴衣を持っていない学生にはレンタルも(撮影:市原達也)
  • 十文字元気プロジェクト 七夕Fes 2016代表の内山詠美里さん(撮影:市原達也)
  • 十文字元気プロジェクト 七夕Fes 2016副代表の玉野遥さん(撮影:市原達也)
  • 語学教育セクターのシーラ・クリフ教授。1985年に初来日。神社の骨董市で着物と出合い虜に。日本文化をもっと知りたくて、東北地方まで1,000キロの道のりを自転車で走破した(撮影:市原達也)
  • シーラ・クリフ教授を囲む内山詠美里さんと玉野遥さん(撮影:市原達也)
  • 大胆な柄が流行した大正時代の着物(撮影:市原達也)
  • 大胆な柄が流行した大正時代の着物(撮影:市原達也)
 「七夕の日は、浴衣で登校しよう!」そんなユニークな試みが、十文字学園女子大学(埼玉県新座市)で毎年行われている。学生はもちろん、教職員も一日中浴衣で過ごし、日本の伝統文化の素晴らしさを再認識するというこのイベント、5回目となる今年は、学生主催による「着物ファッションショー」が艶やかに開催された。

◆斬新な着物でランウェイを練り歩く、15人の学生モデルたち

 「七夕イベント『十文字 織姫祭』の目玉イベント、着物ファッションショーがスタートです! 大正、昭和前期、昭和後期、現代、未来の5つのテーマに沿って着物を紹介します!」メディアコミュニケーション学科3年生の吉垣育美さんの元気なMCでスタートした着物ファッションショー。

 15人の学生モデルがランウェイを優雅に練り歩き、伝統的な柄の着物、バラやカトレアなど西洋の花をモチーフにした着物、落ち着いた無地の着物やカラフルな配色の着物など、時代ごとの柄の変遷や、その当時の流行などをMCが解説を織り交ぜながら、紹介してくれた。

 ひときわ目を引いたのは、「未来」の着物。黒、ゴールド、シルバー、赤。パンク風の色使いの着物に、黒の革ベルトを合わせ、皮手袋、ブーツ、傘をコーディネート。本来の着物の着方とは異なった斬新な着こなしは、着物の新しい魅力を伝えてくれた。

◆「浴衣を着て授業に出る」イベントから少しずつ進化

 1922年の学園創立以来、建学の精神「身をきたへ 心きたへて 世の中に たちてかひある 人と生きなむ」に基づき、自分自身の生きがいを持ち、自分の力で世の中の役に立てる女性の育成を目指してきた十文字学園女子大学。創立当初の精神はそのままに、社会で活躍する力、基礎学力、実践力を高めるプログラムを強化。専門性を身につけ、社会に貢献できる女性の育成をさらに進めている。

 授業の一環として、フィールドワークや地域との交流、ボランティア、学生による自主活動などさまざまなイベントも開催している十文字学園女子大学。5年前にスタートした七夕イベントもその一つ。今年は、文芸文化学科・メディアコミュニケーション学科の学生有志が企画・運営を担当した。

 語学教育セクターのシーラ・クリフ教授(着物文化研究)によると「最初は、浴衣を着て登校し1日浴衣で過ごすだけのイベントでした。3年目から、浴衣を着るだけではつまらない、学生が日本文化について考えるきっかけになればと、日本舞踊の先生や日本食のシェフを招いてセミナーを開催するなど、少しずつ内容が変化してきました」とのこと。

 シーラ先生は30年前に日本を旅行して、日本文化、とりわけ着物文化に強く感動し、イギリスから日本に移住。その後、十文字学園女子大学で教鞭を執るようになった。以来25年、和服姿で教壇に立ち、着物の奥深さ、日本文化の素晴らしさを伝えている。

◆初の学生主体の七夕イベント、人を動かすことの難しさを実感

 シーラ先生の発案で始まった七夕イベントだが、今年は学生たちで運営委員会(十文字元気プロジェクト 七夕Fes 2016)を発足し、学友会 企画委員会とも連携して企画から実施まで、すべてを学生が仕切るという初の試みとなった。

 「どういうイベントにしたいか、何をコンセプトにするか、大きな枠組みからすべて学生たちで考えました」と、代表の内山詠美里さん(文芸文化学科2年生)、副代表の玉野遥さん(文芸文化学科2年生)。メンバーで話し合って、着物ファッションショーの開催が決まったのは、本番の1か月前。「たった1か月でできるのだろうか、と不安な中でのスタートでした」とシーラ先生は語る。

 「テーマ性があるほうが面白い」というシーラ先生のアドバイスに従って、色、季節、柄、などいろいろな意見が出た中から「時代」を切り口に、大正・昭和前期・昭和後期・現代・未来の着物を見せよう、ということが決定。肝心の着物は、シーラ先生が来日以来こつこつと集めてきたコレクションの中から拝借することになった。「先生のご自宅を訪ね一晩かかって着物を選定しました。帯や草履などのコーディネートも自分たちで考えました」と内山さん。

 「学生が楽しめることを一番に考えた」と玉野さん。「モデルとして参加することで、イベントを楽しんでもらいたい」、その思いから、この着物が似合いそうだという学生を見つけては声をかけ、協力を依頼した。これが意外に難しく、全員が揃ったのは本番の3日前。十分な練習ができないまま本番を迎えたが、すでに述べたとおり結果は大成功。シーラ先生に教わった“着物が美しく見える歩き方”を意識して、学生たちは堂々とランウェイを歩いた。

 「イベントの運営は、思った以上に大変でした」と内山さん。玉野さんも「社会に出る前に人を動かすことの難しさを実感しました」と苦笑する。でも苦労した分、「達成感はとても大きかった。やってよかったと思います」と口を揃えた。

◆みんなで苦労して一つのものを作り上げた経験は将来の糧になる

 シーラ先生に、このイベントに込めた思いを聞いた。「十文字学園女子大学の学生はみんないい子ですが、ちょっとおとなしい子もいます。このイベントで、人前に立つこと、みんなで協力して何かを作り上げる経験をしたことは、将来何をする場合でも大きな糧になる。授業よりももっと強く、学生たちの心に残る経験になったのではないでしょうか」。

 織姫祭には、100人以上の学生が浴衣姿で参加。浴衣の着付けは、地域の方々がボランティアで手伝ってくれたという。地域連携イベントとしてもすっかり定着した感のある七夕イベント。来年の出し物は何になるのか、今から楽しみだ。
《石井栄子@リセマム》

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