CTEPH(シーテフ)とは慢性血栓塞栓性肺高血圧症という難病だ。肺と心臓の病気である肺高血圧症の一種で、治療を放置すると死に至ることもある。初期症状として、階段を上ったり、重いものを持ったりする日常動作で息切れや息苦しさを感じることが挙げられる。
同プロジェクトは風船を使ったイベントや企画を通して、シーテフの認知促進と患者支援を目的とした活動として行われる。
3日は細貝選手や専門医、主催者のバイエル薬品、一般参加者たちが一丸となって風船を膨らませた。膨らんだ風船ひとつが500円と換算され、バイエル薬品よりシーテフなど肺高血圧症患者の支援のために寄付される。
NPO法人PAHの会の村上紀子理事長は、「シーテフは社会的に広く知られてない。社会に知られることで、早期発見や、早期治療につながるので、今日のイベントを通して楽しみながら(シーテフについて)知ってほしい」と、まずは病気が知られることの必要性を力説する。
細貝選手は2013年よりシーテフの啓発大使を務め、チャリティーイベントへの出席や患者への慰問などを行っている。啓発大使を引き受けた背景には家族の存在があった。細貝選手には3歳年上の双子の兄がいる。そのひとりがシーテフではないが腎臓の病気を抱えており、サッカーができなくなるほどの大病だった。
「母が兄に移植したという話も聞いていましたし、小さい頃からそういう状況だった兄を身近で見ている。僕はサッカー選手として走り回ることができるが、シーテフの方々はそれが辛い。調子がいい時でないと料理すらできない。自分にはそういう経験がないからこそ、そして兄が苦しんでいる様子を間近で見てきたからこそ、真剣にサポートしたい」
患者をサポートするだけではない。実際に患者と話をしたこと、啓発大使に就任したことは細貝選手のサッカー面にも強く影響を与えている。
「自分とは違う状況に置かれているということが分かるが、常にポジティブな姿勢の患者さんと接すると、僕もサッカーを頑張ることで何かを伝えられたらと思わされた」
「試合で本当に苦しくなってきた時、『啓発大使をやっているのだからもう一歩頑張らなきゃ』と最後のところでも頑張りきることができた」
最後に、啓発大使としての抱負を語った。
「この活動をしていることに誇りを持っている。啓発大使として皆さんにシーテフのことを知ってもらいたいし、個人的にも色々なサポートができたらと思っている」
なお、バイエル薬品は「CTEPH バルーン・ドリーム」プロジェクトの公式Facebookページを開設している。「いいね!」1件につき100円をシーテフを始めとする患者支援活動団体に寄付する予定だ。