8月5日に開幕を迎えるオリンピックに先駆け、8月2日にはリオデジャネイロに恒久展示となる作品の完成披露を予定している。5月24日に東京都内で発表会が開催された。
『リング・自然とひとつに』は直径3m、厚み45cmのアクリル素材で製造されたリングだ。リオデジャネイロ州マンチガラバ、ムリキにある「花嫁のベール」と呼ばれる約58mの高さの滝の上に設置される。ポールで支えられてはいるが、滝の下から見上げるとまるで浮いているように見えるという。2009年に自身が見た夢にインスピレーションを受けた。
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『リング・自然とひとつに』
森さんは2011年にブラジルで個展を開いた際、自分の作品のイメージに合う滝を探した。当時はまだ「オリンピックと関連させるといった意識はなかった」と話す。
今回の作品は、森さんが立ち上げた非営利団体Faou Foundationが手がけるプロジェクトの2作品目でもある。“自然と人間の融和”をコンセプトに、アート・ワークの屋外恒久設置を人が生活可能とする6つの大陸それぞれに実現させることを目標としており、プロジェクトの第1弾は宮古島で進行している。
リングは太陽の光を浴びるとブルーからゴールドに色が変化する。作品としてのリングへのこだわり、安全で自然に優しいといった要素も満たすため、このリングの製作に2年の歳月を費やした。太陽とリングが同一線上に並ぶ時、「金環日食のようになるのではないかと思いワクワクしている」と話す。
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「リング・自然とひとつに」
『リング・自然とひとつに』の意義について森さんは語った。
「人類と自然の調和のシンボルとなり、オリンピックの五輪にもうひとつの新しい輪を付け加えます。アートが自然と人間のつながりを活性化させると思っています。オリンピックの公式文化プログラムとなり、50万人が訪れるというオリンピック会場でたくさんの方々に見ていただけると思っていますし、永久設置されるということで感動と感謝の気持ちで一杯です」
「オリンピックは国境、文化の壁を超えて全てが一つになる式典です。その中で、アート作品として“人間と自然がひとつになろう”という意思を伝えていきたい。世界中の意識がひとつになる時こそ、アートの力を発揮できると思っています」
8月4日、5日のどちらかに森さんの聖火リレー参加が決定している。森さんははにかみながら、「アーティストになろうというくらい文科系だったので、あまりスポーツ経験はなかったのですが、ウォーキングは聖火リレーを走ることが決まる前から毎日1時間以上しています。このような機会を与えていただき感謝しています」と意気込みを話した。
現代アーティスト森万里子さん、会見にて pic.twitter.com/Py7jlif4Ar
— CYCLE-やわらかスポーツ (@cyclestyle_net) 2016年5月24日