マラソン大会で大切な「給水」について、シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんが語った。
高橋さんが大会アンバサダーを務めるグアムマラソンインターナショナル2016。大会前日の4月9日に行われたトークショーで、「走り始めたら、なるべく最初の給水から飲むように」と集まったランナーたちにアドバイスした。
「まだ最初はいいかとスルーした場合、ノドが乾いたなと思った時には手足の先はカラカラ状態です。脱水症状になる可能性があります」
早い段階からしっかり摂ることが重要で、「ノドが乾いたな、と思わないでゴールできまでたどり着けるのが理想」と話す。
給水ポイントでは紙コップに水が用意されていることが多い。初心者は取ることにもたつき、取ってもこぼしてしまうことがある。また、飲む時に間違えて鼻に入ってしまうことも。これではキチンと給水はできない。
「取る時は慎重に。取ったら上をつぶして、フタをするようにする」
紙コップの上半分をつぶすことで水がこぼれなくなる。飲む時は、そのつぶした端から口に注ぐ。これなら鼻にも入らない。何回かに分けて飲むことだってできる。
そうすると水は半分くらい余ることもある。余ったからといって捨ててはいけない。高橋さんは続ける。
「この水は飲むためだけではありません。捨てないでください。何をするかというと、(体に)痛いところがでてきたらかけてください。そこはヒートアップしていますから、少しでもアイシングをして冷やしてあげること」
「私は(水を)取ったら必ずまず足にかけます。足にかけた後に、今度は手にかけます。手も足と同じだけ動いているので疲労しています」
そして最後は首筋にかけるのがいいそうだ。
「42km走っていると、『なんで走っちゃったんだろうなぁ…』って、みんな思うんです。『最後まで行けるかな…。家族も来てるし友だちも来てるし、走らなくちゃいけないし…。ああ、どうしようどうしよう…』っていう山あり谷ありが絶対あるんです」
そんな悶々とした気持ちが、ちょっと水をかけてあげるだけでスーッと引いていくことが多いという。
補給ポイントの水は、「飲む」「体を冷やす」「頭も冷やす」の3点で使えばバッチリだ。ここで注意しておきたいのは、間違えてスポーツ飲料を自分にかけないこと。
高橋さんも「大切な注意ポイントです」と強調していた。
《五味渕秀行》
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