2015年は日本選手権制覇だけではない。4月に出雲陸上300mで日本新記録をたたき出し優勝したのを皮切りに、5月のセイコーゴールデングランプリ陸上200m、10月の国民体育大会100mでもトップでゴールを駆け抜けた。
7月にスイスで行われたSpitzen Leichtathletik Luzernでは、日本歴代2位となる200m20秒13の自己新記録も出した。台頭する若手を抑えて、リオ五輪日本代表の最右翼に名乗りを上げている。
藤光選手に陸上競技との出会い、年齢を重ねても記録を出す秘訣、オリンピックへの想いなどを聞いた。
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第99回日本陸上競技選手権大会
---:陸上競技との出会い、短距離を選んだきっかけを教えてください。
藤光謙司選手(以下、敬称略):もともと陸上を始めたきっかけは、友だちに誘われたからなんです。僕は小学校まで5年間サッカーをやっていましたが、団体競技はダメだと思った。団体競技は自分の頑張りが直に結果に影響しない。チームスポーツなので自分が頑張らなくても勝てたり、自分が頑張っても勝てないとか。それが気に入らなかった。
だから、個人スポーツがいいな、中学に入った時にそういう種目にしようと思いました。でもなかなかピンとくるのが見つからなくて…。柔道、剣道、卓球、バドミントンなど、ひとりでできる競技をやってみましたが、どうも違う。
最終的に陸上が残っていて、選択肢として陸上が残っていたわけじゃなく、たまたま「ああ陸上もあったか」という感じですが、友だちに「だったら陸上部入らない?」と言われました。
---:足は速かったのですね?
藤光:当時はそこそこ足が速かったので「入ってくれたら先輩も喜ぶ」と勧誘を受けました。ほかにピンとくるものがなかったので、だったら陸上やろうかなぐらいの感じで始めました。競技に対してあまり興味がなかったんです。
個人競技というカテゴリーで、自分の結果がそのままでるスポーツにたまたま陸上があった。特に陸上部に入ったからといって、何をやりたいわけでもなかった。自分がやりたくて入ったわけではないので…。
だったらとりあえず走っておけば、短距離やっておけば、という感じで始めました。
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藤光謙司選手
---:子どものころから背は高かったのですか?
藤光:中学に入った時はそんなに高くないです。卒業するころにはそこそこ大きくなっていました。後ろの方でしたが、めちゃくちゃデカいわけではなかった。身長はそれなりにありましたけど、(体は)もっとペラペラで、ガリガリでした。
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