【澤田裕のさいくるくるりん】阿蘇の外輪山を越え、中岳が噴火するカルデラ地形の中へ | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【澤田裕のさいくるくるりん】阿蘇の外輪山を越え、中岳が噴火するカルデラ地形の中へ

オピニオン コラム
高森峠のトンネルを抜けると、左手に外輪山に囲まれたカルデラ地形が広がる
  • 高森峠のトンネルを抜けると、左手に外輪山に囲まれたカルデラ地形が広がる
  • 増水のため、貸しボートの営業休止を伝える看板
  • 御橋から見下ろした真名井の滝
  • 角材を寄せ集めたような、岩体の柱状節理
  • 静寂に包まれる早朝の高千穂神社
  • 貸しボートを漕ぎだすと、カモが後を追ってくる
  • 真名井の滝周辺にはボートがひしめき、あちこちで衝突
  • 阿蘇中岳の噴火により、阿蘇パノラマライン(県道111号)の山頂付近は通行止め
前回のコラムの続きです。高千穂鉄道の遺構を巡ったその日は、高千穂峡も訪れました。ここはメインとなる観光地で、急坂を下っていくと「駐車場満車」と書かれた看板が道路脇に立っています。

でも自転車なら平気。駐輪場に止め、9月3日公開の当コラムでも取り上げた貸しボート乗り場を目指します。ところが近づくわれわれの目に、予想外の文字が飛び込んできました。なんと増水のため、貸しボートの営業は休止とのこと。

出鼻をくじかれたもののすぐに気持ちを切り替え、峡谷を上から眺める遊歩道をたどります。それでも真名井の滝や岩体の柱状節理、甌穴など自然の織りなす美は堪能できましたから、訪れた甲斐はありました。ちなみに係の方にボートの混み具合を聞いたところ、「明日はシルバーウィークだから、1時間以上待つこともあるはず」との返答でした。


御橋から見下ろした真名井の滝

その翌日。高千穂神社参拝後に改めて高千穂峡に赴くと、ボートは営業しているうえに待ち時間も20~30分との表示。でしたら乗らない手はありません。景色そのものは上でも下でもさしたる違いはありませんが、乗ったボートから滝を眺めるという体験は、忘れられないものとなりました。30分の遊覧を終えて乗り場に戻ると、なんと待ち時間が1時間30分に。キャパシティが限られるせいか、グループで申し込んだりするとあっという間に延びるようです。

ふと時刻を確認すると、すでに10時を回っています。阿蘇の外輪山を越えて阿蘇内牧温泉まで走りますから、あまりのんびりはしてられません。ただし、当初の予定よりは距離も高低差も控えめ。というのも阿蘇パノラマライン(県道111号)を走るつもりだったのが、例の阿蘇中岳の噴火のせいで通行止めになっていたからです。


貸しボートを漕ぎだすと、カモが後を追ってくる

その迂回するルート(国道325号~国道57号)も、降灰の影響は懸念されました。マスクやゴーグルを付けて登校する小学生の姿を、テレビで目にしていたからです。ところが実際に足を踏み入れてみると路面に火山灰は見られず、遠くの噴煙も雲と見紛うばかりでした。インパクトを与える部分を抽出して伝える報道を鵜呑みにした結果、現実とは異なる印象を抱いていたというわけです。

「平らだと言ったでしょ!」という妻の不平を聞き流し、アップダウンの続く国道を走行。たどり着いた内牧温泉は、小ぢんまりとした商店街の各所に印象的な壁画が描かれています。後で調べたら熊本大学に通う学生の手によるもので、アートな街を謳う商店街が街づくりの一環として取り組んだものでした。立ち並ぶ店舗も統一したイメージでリニューアルが図られ、その心意気が感じられます。


阿蘇中岳の噴火により、阿蘇パノラマライン(県道111号)の山頂付近は通行止め

そして、クランプというショップで往路はクルマ、復路は高低差1000mを駆け下るという、疲れ知らずのレンタサイクルを。さらに蘇山郷という宿はスタッフの一人が生粋のサイクリストで、フロアポンプやメンテナンス道具の用意はもちろん、コース案内までカバーしています。サイクリストに優しい街でもあるというわけです。

「ラピュタの道」とも呼ばれる絶景ルートを目指した4日目以降については、次のコラムをお楽しみに。
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