23日に決勝レースが行なわれた、全日本選手権スーパーフォーミュラ(SF)第4戦もてぎ。小林可夢偉は3位争いを展開しながらも、ピットでのタイヤ交換作業ロスで大きく後退し、最終的には17位完走扱いというリザルトだった。
SFでの自己最高3番グリッドからのスタート、可夢偉(#8 KYGNUS SUNOCO Team LeMans/トヨタ)は雨上がりで奇数列が優位だったところも活かして良いダッシュを見せ、ポール発進の石浦宏明(#38 P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)の背後に迫る。1~2コーナーでアウト側から並んできた中嶋一貴(#1 PETRONAS TEAM TOM’S/トヨタ)に先行されて3位に戻るが、後方のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(#19 LENOVO TEAM IMPUL/トヨタ)に対してはポジションを守ってレースを進めていった。
抜けないコースということもあり、オリベイラは給油のためのピットインを早めにする戦略に切りかえてくる。オリベイラは11周終了時にピットインして給油、タイヤも4本交換。可夢偉陣営にはここで翌周すぐにカウンターを打つかたちでピットインする手もあったが、それは取らなかった。「結果的に、それが良かったんだと思います」と可夢偉は振り返る。
以降、可夢偉とオリベイラの間隔は36~37秒といったところで推移。35秒前後の差があれば、可夢偉が給油のためにピットインした時に4輪タイヤ交換してもオリベイラの前にギリギリ出られる計算だ。仮に先行を許しても、タイヤがフレッシュな可夢偉にはコース上での逆転の可能性が充分に残る、そんな状況。可夢偉の言うように、作戦は奏功していたと思われた。
しかし、32周終了時にピットインした可夢偉のマシンの右リヤのタイヤ交換作業がうまくいかず、ここで20秒以上のタイムロスを喫してしまう。「モータースポーツはドライバーひとりの力で勝てるものではありません。特にこういう上位カテゴリーはそうです。今日は残念ながらそれが結果というかたちに出てしまって、3位(になるチャンス)を落としたかな、ということですね。チームのみんなにはこういうことがもう起きないよう、頑張ってもらうしかないです」
これで表彰台争いはもちろん、入賞圏(8位)からも後退してしまった可夢偉は、11位を走っていた最終周に先行車との交錯があってマシンストップ。完走扱いの17位という結果に終わってしまった。
ずっと10位の伊沢拓也(#11 REAL RACING/ホンダ)を追いかけていた可夢偉だが、最終盤にはその前、9位のナレイン・カーティケヤン(#41 DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)との間隔も詰まり、そこに伊沢が仕掛けて、さらに可夢偉も並んでいったところで、結果的に可夢偉が弾き出されてしまった状況だったようだ。
今回は土曜朝のフリー走行16位の苦闘から始まり、予選では大幅なセッティング変更が実ってQ1トップ通過、最終的に3位と地獄から天国。しかし決勝では逆に、表彰台争いからピット作業ロスで脱落し、最後はアクシデントでストップと、天国から地獄。もちろん、3位では必ずしも天国ではないだろうが、とにかくジェットコースターのような2日間だった。
予選後には、「まだゴマカシ、ゴマカシでなんとか、というところですね」との旨を語っていた可夢偉だが、鈴鹿以外のコースでは上位カテゴリーのマシンでまともにレースをした経験がなく、母国のシリーズ戦でありながら“未知との遭遇”を強いられているのが今季の彼でもある。
「今回、もてぎにはコースのことが実質的によく分からない状態で来ましたけど、そこからここまでの(表彰台を争える)状態をつくれたことは、そういう(経験値の低い)コースが続く今後(第5~6戦)に向けてポジティブに考えていこうと思います」
次戦は9月12~13日、オートポリス(大分県)での開催。その次の第6戦スポーツランドSUGO(宮城県)も含め、可夢偉には経験値の低いコースでの戦いが続くが、「僕たちもいいレベルには来ていると思います。(ラップタイム的に)あとコンマ1~2秒速いクルマ(セットアップ)をつくることができればトップで戦える、とも思えるので、それができるかどうかですね。もちろん、他がさらに上げてくる可能性もありますけど」と語る彼と、彼の陣営、彼のマシン、それら全てのさらなるレベルアップに期待したい。
【スーパーフォーミュラ 第4戦】可夢偉、ピット作業ロス響き3位争いから脱落…最終結果17位
《遠藤俊幸@レスポンス》