なぜなのかと思ったら、彼が記入している用紙には落ち度を記す欄があり、そこを埋めないことには先に進めないようなのです。走行速度が上がっていたことで視野が狭くなり、左右への注意がわずかに欠けていたかもといったところで折り合いましたが、どうしても不服というときは調書に署名しない選択もあることを、あとで教えられました。
その聴取も終わって自宅に戻ることになりましたが、困るのは自転車。現場の交番で預かってもらっているものの、そのまま放置するわけにはいきません。そこで相手のドライバーのクルマで自転車をピックアップし、僕ともども自宅まで送ってもらうことに。そこは誠実な方でしたので助かりました。
■現場を再訪して検証
現場を再訪したのは、7月21日の14時過ぎ。事故当日と同様、夏の太陽が照りつけていました。まずは相手の視点に立って検証。片側3車線(交差点手前で右折車線が増加)の都道と片側1車線の区道とが交差する五差路は、渋谷方面からの右折車線が途中からふたつに分かれていました。ドライバーは1度目は間違った車線に入ってしまい、2度目に差し掛かったとき事故を起こしてしまったそうです。
内側の右折車線を進んだ彼のクルマは、停止線の位置では曲がりきった状態に。そのため左方から近づいてくる直進車両が目視しにくくなっています。加えて都道の上が首都高速ということで、視界の一部が橋脚で遮られてしまいます。

そのタクシーが動き出したところ。いきなり視界に入ってきたかのように感じるはずだ
前述した彼の証言どおり、右折車専用信号は黄色の点滅。この状態での対向車線は青なので、「他の交通に注意して」進むことができます。しばらくするとそれが赤に変わり、同時に青矢印の補助信号が点灯。この状態での対向車線は赤ですから、もちろん進むことができます。
続いて僕の側。事故当日、相手のクルマがいきなり視界に入ってきたかのように感じました。なぜ気づかなかったのか。停止線の位置で止まっているクルマが、高架の影に入っていたからでした。灼熱の太陽に照らされて白く光る路面とのコントラストは大きく、彼のクルマ同様に黒い車体は、影の作り出す漆黒に溶け込んでいました。加えてクルマの向きはすでに変わりウインカーも見えなかったため、それを「右からやってきた」と表現したわけです。
再訪した足でそのまま警察署に向かい、交通課の警官に検証した結果を伝えます。特に右折車専用信号が黄色の点滅となっていることについては、これが赤であれば今回のような事故が防ぎえたことを強く訴えました。あわせて自転車ナビラインの設置も求め、僕に続くサイクリストの犠牲者が出ないよう願いました。