【小さな山旅】 渓谷ドライブ…栄蔵室~花園山(2) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【小さな山旅】 渓谷ドライブ…栄蔵室~花園山(2)

オピニオン コラム
茨城県・北茨城市にある花園渓谷。茨城県の4大渓谷のひとつに数えられる。上流には猿ヶ城渓谷があり、紅葉の季節には美しい風景を見せてくれる。
  • 茨城県・北茨城市にある花園渓谷。茨城県の4大渓谷のひとつに数えられる。上流には猿ヶ城渓谷があり、紅葉の季節には美しい風景を見せてくれる。
  • 花園オートキャンプ場付近の分岐を右に折れると、花園渓谷沿いの道をドライブすることができる。
  • 花園川の流れ。マイナスイオンの量がものすごい…はず。
  • 道路には、ところどころに駐車スポットがある。そこへ車を停めて、渓谷の風景を眺めることができる。
  • 看板発見! 与四郎の滝…?
  • 与四郎の滝! それほど大きくはないけれど、とても心が癒される。
  • 川のすぐ傍にまで降りられる場所あり。
  • 花園渓谷を抜けた先には、亀谷地湿原がある。その先には、茨城県最高峰の栄蔵室の登山口が!
常磐道を北茨城ICで下り、「花園渓谷」と書かれた看板に従って車を走らせる。

途中でコンビニに寄ろうと思っていたが、道中にそれらしきものはほとんど見当たらない。これは困ったと思っていたところ、花園オートキャンプ場にたどり着いた。

ここに車を停められるとどこかで情報を仕入れたのだが、従業員の方にたずねると「利用者だけなんですよ~」と申し訳なさそうに断られる。まぁ、それも当然だと思う。「栄蔵室(えいぞうむろ)に登りたいんですけど」とたずねると、従業員さんは丁寧に道を教えてくれ、地図まで渡してくれた。キャンプ場を花園渓谷沿いに北上すると、栄蔵室の登山口に到着するらしい。

オートキャンプ場にはジュースやらアイスが売っていたので、水分を購入し、従業員さんから教えてもらった道どおりに車を走らせる。

程なくして、花園渓谷の看板が現れた。「渓谷」という名からして、とても大きなものの印象を抱いていたが、実際はかなり小ぶりで可愛らしい。道路に車を置いて、川の近くまで降りてみる。この場合、川の水を素手で触るのは、お約束の行為である。

「お、まぁまぁ冷たい」。季節は5月。場所は茨城県北部。南アルプスなどに流れるどこぞの川を触れた途端に感じる「冷たさ」が得られないことくらいは、触る前から分かってはいたが、それでも心の片隅には、「冷たい!」ときゃっきゃとはしゃぐ機会ではなかろうかと、少しばかりの期待を抱いていた。実際は、やはりそこそこの温度で、はしゃぐほどではないが、「これはぬるい!」と逆の反応を大げさに示すほどでもない。30代後半に差し掛かった男ふたりは、冷静な反応を示した。

川の水の温度には、いささか落胆を示したふたりであったが、渓谷の風景と川のせせらぎには心安らいだ。渓谷沿いに走る道路は、両側から木々がせり出し、緑のトンネルを作り出していた。少々視線を上げると、陽の光を浴びた木の葉がまぶしい位に輝いて見える。時折強く吹く春の風が、木の葉を揺らし、ざわざわと音を立てる。その音に相まって、さらさらと流れる川のせせらぎが聞こえてくる。

苔むした岩々に足を取られそうになりつつ、川の傍らに降り立つ。するとそこからは、小さな渓谷がとても大きく見えたのであった。
《久米成佳》

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