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【まとめ】コンテンツ流通にみる、バイラルメディアとネイティブ広告考

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【まとめ】コンテンツ流通にみる、バイラルメディアとネイティブ広告考
  • 【まとめ】コンテンツ流通にみる、バイラルメディアとネイティブ広告考
メディア業界はいま面白い。変化の最中にあるからだ。「バイラルメディア祭り」なるイベントが、先日都内で開催された。

イベントに登壇したのは以下のバイラルメディア運営者たち。

ウェブ編集者 佐藤慶一氏 スマホのトラフィックの変化~海外事例を元に~
CuRAZY・伊藤氏(株式会社LAUGH TECH代表取締役)
ViRATES・孫氏(株式会社まさか 代表取締役)
grape・吉盛氏(株式会社レディア)

バイラルメディアとは、SNSを活用したコンテンツ流通を軸に読者を急激にあつめているメディアのこと。

米国ではBuzzFeedという世界最大規模のバイラルメディアが存在する。月間ユニークユーザーが1億5000万という巨大なメディアで、数年の内に急拡大、世界展開にも着手している。

新興メディアの台頭と、デバイスの多様化、ユーザーニーズの深化などに対応する、次世代のメディアを理解することで、確からしい情報の活用に結びつけていきたいところ。

今回は国内の最先端メディア事情について考察する。


◆バイラルメディアのまえに…メディア変革にあるのが2014年

つい数年前まで、メディア業界ではインターネットメディアと非インターネットという軸で話をされることが多かった。テレビ、新聞、雑誌は新興のネットメディアに駆逐されるのか、と。

いまとなってはこれらのメディアは共存共栄の存在で、対立関係ではない。ネットだろうが非ネットだろうが「メディア」そのもののことを、メディアの人たちは考えないといけない。

メディアに関連している世界では、バイラルメディアとネイティブ広告は、聞かない日はないという、旬なキーワードとなっている。


◆コンテンツ流通の問題

新聞やテレビ、雑誌がメディアとして成立してきた要因はどこにあるのか。

活字メディアが成立し続け、この数十年はテレビの天下が続き、金も集まってきていた。これはひとえに、流通を握っていたからということがいえる。テレビの放映権と、新聞においては宅配。よく言われるが日本はこの参入障壁が高い。故にテレビや新聞がメディア業界で隆盛し、潤沢な資金を回転させてきた。

金があつまり、一般に良質と呼ばれる(しかし比較対象は少ない。大手テレビと大手新聞数社が競合しているにすぎない)コンテンツ制作にコストを投下し、さらに金を集めるというサイクルを作り出し、うまくスケールアップし続けたのが今のテレビや新聞のビジネスモデルである。

コンテンツの質の話は後でついてきた問題で、はじめにあったのは流通だろう。コンテンツの流通を抑えている、これがポイントだ。最初に放送網構築へと動いたテレビ人、宅配網をつくった新聞人の鋭さには脱帽だ。


◆流通の変革をおこしたインターネットとジョブズ

インターネットもほんの数年前までは一部のオタクのものだった。が、アップルのチャレンジはメディアを変えた。

通信網の高度化という意味では、ソフトバンクの孫氏も大きく貢献された一人だろう。だがやはり一般人が手にするデバイスを変えたアップルの存在は大きい。iPhoneであり、iPadである。これによって、一般読者のメディアに接するインターフェースが変わった。

デスクトップ、ノートパソコンだけだったところが、この数年でタブレットやスマホによって、普通の人に、デバイスが浸透、情報の流通に新たな経路が加わった。


◆テレビがつまらない、新聞がつまらない

なぜか。作っている人間の質が落ちたのかもしれない。しかし、ここの答えとしては、ネットを経由して個人にマッチするコンテンツにヒットしやすくなったことで、マスを対象にしたコンテンツのヒット感が薄く、つまらないという感覚を生んでいるのではないだろうか。

ネットメディアの参入障壁は極めて低い。個人でも参入し、とてもコアな情報がアウトプットできる。興味のある分野なら読者にとっては高い価値がある。コンテンツの量も、深さも、ネットは無尽蔵だ。有象無象のネットメディアにより、読者は読み手としての能力を急激に高めた。

メディアの中の人間は、この10年くらいで急激に進んだSNS、ネットメディアの増殖により、「もの言うプロの読者たち」に対して真剣勝負を挑んでコンテンツを作らないといけない。メディア人然としていたら、死んでいくことになる。


◆コンテンツの流通は、Google一本からGoogle、fb、tw…の戦国時代に

世界最強のメディアGoogle。

Googleが強いのは、検索という流通網を握っているからだ。Google以外のメディアは、Googleのうえに乗っている。お釈迦様の手のひらで活動している孫悟空みたいなものだ。

ここでもやはり情報の流通網がポイントになる。SEOやアドネットワークなど、矢継ぎ早の仕組み構築と改善で、手のひらの猿たちを生かさず殺さず状態にしておく。Googleの事業運営はいまのところ極めて優れている。

Facebook(fb)とTwitter(tw)は、ネットの世界において、Googleの配下にありながら、ユーザーを膨大に集め、Googleにおびやかされない独自の世界を構築した。人間の集まるところにコンテンツとその流通が生まれた。fbやtwが流通を生んだところに着眼し、メディアとして台頭しているのがバイラルメディアである。そのマネタイズ手法としてネイティブ広告などが登場した。これは、Googleに支えられた流通以外の、新しい流通に乗ったメディアのビジネスモデルとして注目されている。


◆fb、twを流通網として活用するバイラルメディア、ネイティブ広告

Googleの検索という流通にも課題はある。テキスト以外のコンテンツをどう評価するか。いい写真や動画をどのようにGoogleが評価し最適化し、検索に落とし込んでいくか。

バイラルメディアは、人間の感情をターゲットにしたコンテンツ制作を行なう。これまでは、専門性や論理性といった、Googleのクローラ(サイト価値を判断するための自動機能)でも確認しやすいコンテンツを生み出していくことで、メディアはGoogleに認知され、情報を流通網に乗せるのが手段だった。

けれどfbやtwといったSNSは論理と関係ない。SNSでのシェアという行動は、より人間らしい感情の動きをネット上に落とし、価値付け、最適化することができる。その流通プラットフォームがfbやtwだ。バイラルメディアはfbやtwといった新流通網を活用し、感情を動かすことのできるコンテンツを落とすことで膨大な読者を獲得している。


◆読者にとってのコンテンツは良質であれば広告だろうが関係ない

記事広告というものがある。つまりはクライアントが存在し、メディアに記事を掲載することでブランディングをはじめとした認知、さらにネット上での購入を促すなどの手法である。

メディアのコンテンツは、メディアがその編集部の唯一のルールをベースに掲載されているが、世界のあらゆるコンテンツに人間が介在している以上、何らかのバイアスがかかっている。

これまで無知だった読者も、いまの時代、極めて賢くなっている。クライアントがいる、記事広告など、簡単に見抜けるものだ。

ネイティブ広告は、そうした環境のもと、広告であることをある程度(強弱はあるが)明らかにするなどしたうえで、作り込まれたコンテンツだ。これは純粋な媒体の志向に基づいた記事ではないため、読者は注意する必要がある。

一方で問題は、クオリティだ。仮に、広告としての記事であろうとも、その記事が、通常のニュースより読者に価値を与えるものであるならば、だれも損はしない。ネイティブ広告の理想型はそうしたところにある。


◆ネットがより人間らしくなる

新しい流通が生まれ、ネットはより一般のものへ。

これは過去の歴史が証明しているようにみえる。はじめに新聞やテレビを見た人たちは普通の人たちではない。一部の金持ちや、知識人が入り、徐々に一般化されていった。とすれば、ネットをベースにした新世代のメディアも同じ歴史を繰り返すのだろう。
《土屋篤司》

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