間もなく開幕を迎えるツール・ド・フランス14。開幕地はイギリス北部の都、リーズである。
リーズまで移動するにはいくつか方法があるが、イギリス国外からの場合、ヒースロー空港から、映画ハリー・ポッターでも有名なキング・クロス駅を軸に、鉄道で北上するという手法がポピュラーな経路のひとつだろう。
鉄道の国とも言われるイギリスだけに、鉄道網は充実している。
加えて、キング・クロス駅周辺の交通のようすを覗くと、日本に比べて若干広い道路を、クルマが激しく行き交っている。
ここまでは日本の各都市部と同様であるが、少し違うことがある。自転車用のスペースがしっかりと設けられていることだ。
自転車の数も多く、自転車を手で転がしていることが一つのステータスでもあるかのように見える。ヘルメット着用など、まばらだがルールも浸透し始めているようで、さらには「バークレー・サイクル・ハイヤー」と呼ばれるレンタル自転車のサービスもある。
こと交通網の整備で新しい事を始めようとすると、インフラが先か、ユーザーの拡大が先かというような、“鶏と卵”的議論に始まり、ビジネス面での成功を前提とした慎重な姿勢が続くことで結果、新サービスの浸透が進みにくくなる。
キング・クロス駅周辺の道路事情からは、できるところに自転車道をつくる、という、一種ゲリラ的な整備に着手することで、スモールスタートからの新たな文化の根付きを促すという柔軟性がみてとれる。
《土屋篤司》
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