未来のスポーツはどうなるのか ― eスポーツプロデューサー犬飼博士氏と研究者らが議論 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

未来のスポーツはどうなるのか ― eスポーツプロデューサー犬飼博士氏と研究者らが議論

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未来のスポーツはどうなるのか ― eスポーツプロデューサー犬飼博士氏と研究者らが議論
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宇宙研究からロボット、Oculus Riftを利用したものまで、多方面に広がる分野の個性あふれる創作物がずらりと並んだ、ニコニコ超会議3の「ニコニコ学会βシンポジウム」ブース。最終日のフィナーレを飾るかたちで、「未来のスポーツ、スポーツの未来」を語る野心的テーマのセッションが行われました。


犬飼博士氏
座長としてこのセッションの進行役を務めたのは、長年e-Sportsシーンに携わり、現在はエウレカコンピューターで、テクノロジーを融合させた新たなスポーツや遊びを研究している、犬飼博士氏です。冒頭のあいさつに続いて、氏は非常にわかりやすい図を示し、スポーツが時代と共にどのように変化を遂げ、人と社会に関わってきたかを振り返りました。



マウスとキーボードを用いたビデオゲームの対戦競技としてだけでなく、コンピューターや新しいテクノロジーを取り入れた「遊び」という、広い概念で今のe-Sportsをとらえ、研究と活動を続けてきた犬飼氏。壁に投影された動物や過去の自分と実際にかけっこができる「スポーツタイムマシン」を開発・展示したところ、体験した子供たちから「スポーツっていう言葉をなくしたほうがいい」「楽しいっていう言葉だけでいい」などと言われ、ショックを受けたそうです。

では、情報化・電子化の波が急速に広がる今、スポーツはどうなってしまうのか。そして未来のスポーツのあり方とは。それが、本セッションの議題でありテーマです。


為末大氏
最初の登壇者としてマイクを手にしたのは、日本初のプロ陸上選手で、引退した現在もスポーツに関する活動を精力的に続ける為末大氏。オリンピックの出場経験も持つ氏は、日本ではスポーツが文部科学省の下にあることから極めて教育に近い存在なっていて、元来は「憂さ晴らし」のようなものだったのが、いつの間にかルールやゴールを決めて競争し勝者を決めるものだけを指す存在に変わっていると指摘しました。

続けて為末氏は、「なぜ人々はこんなにも体を使って遊びたいのか」を根本的に考える必要があり、「勝負」のスポーツだけでなく、前述の子供の話でも出たような、コンピューティングの「遊び」もスポーツとして広くとらえるべきだと訴えました。


スポーツ ルネサンスの斎藤敏一氏
二人目の登壇者である斎藤敏一氏からは、まったく別の見解が示されました。日本全国に展開しているスポーツクラブ ルネサンスの会長を務める氏いわく、同施設では本格的なスポーツよりもゲーム的な楽しいスポーツによって脳を活性化、認知症予防を行う「シナプソロジー」というプログラムを実施していて、「競技」と「遊び」の他にも「健康」や「介護」を目的した動きが今後スポーツに取り入れられていくだろうとのこと。

次の登壇者は、山口情報芸術センターの研究開発チームYCAM InterLabに所属する、映像エンジニア/アーティストの大脇理智氏。奇抜なヘアスタイルと衣装で現れると、現在手がけているという、ダンスとテクノロジー、アートとミックスしたプロジェクト「Reactor for Awareness in Motion(RAM)」を披露しました。これは、ダンサーの動きをモーションキャプチャでリアルタイムに分析し、流動的・幾何学的に振り付けのルールを生成していくというもの。


YCAM InterLabの大脇理智氏による『RAM』のプレゼン
大脇氏は、このプロジェクトがスポーツと直接的に結びつかないものの、新しいジャンルを生み出すこと、単純に楽しい物であるということが、今回のテーマと一致しており、勝ち負けを競うのではなく、個々の存在を表現するという考え方もアートの世界と共通していると述べました。

最後に紹介された登壇者Team Twinkrunは、iOS用のスポーツゲームアプリ『Twinkrun』をデザインした、4名からなる明治大学FMSの学生グループ。『Twinkrun』は、複数のプレイヤーがスマートフォンを頭に取り付け、数秒おきに変化する画面の色によって追うものと追われるものが入れ替わる、鬼ごっこ的な遊びを提供するアプリ。海外インディー作品『Johann Sebastian Joust』とも似た、いわばフィジカルなスポーツゲームです。


Team Twinkrunによるゲーム説明
為末氏は『Twinkrun』について、コンピューティングを用いた初のスポーツがそろそろオリンピックに組み込まれていくべきで、じつに柔道以来の日本発祥の競技が出てきても良い、などと評価。一方で、正式な競技になるためには、試合時間やプレイ環境などのルールを明確にして競技性、公平性を保つ必要があるとも指摘しました。これに対してTeam Twinkrunのメンバーは、何を持ってしてスポーツになるのか、どこが遊びとの境界線なのかと疑問を投げかけ、コミュニティの規模、審判の有無、あるいは身体性が影響するかなど、様々な意見が飛び交いました。

犬飼氏が最初に釘を刺していた通り、セッションで明確な結論は出ませんでしたが、登壇者らの話から、未来のスポーツは、身体能力だけで勝敗を競うのではなく、純粋に楽しんだり、自分を表現したり、知識で争ったり、あるいはテクノロジーや不確実性を取り入れて、人々が自由にルールを作り出せるようになるのが望ましいのかもしれません。一方で、楽しむだけの行為に「スポーツという言葉は必要ない」という子供の意見も改めて考える必要があると言えます。



犬飼氏はセッションの最後に「未来の普通の運動会」の発足を表明。今回議論された新たなスポーツのかたちを提案する催しで、話題のVRヘッドセットOculus Riftを使ったスポーツ、巨大人間パックマン、お弁当作りといった、斬新な種目のアイデアを紹介。為末氏や斎藤氏も協力を約束しました。「未来の普通の運動会」は、今後、犬飼氏とニコニコ学会βのメンバーで準備を進め、公式サイトで情報を公開していくということです。
《谷理央@Game*Spark》

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