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一世を風靡した軽量バイクのパイオニア、SCOTT CR-1。鮮烈のデビューから4年が経ち、フラッグシップの座はADDICTに譲っているが、トップダウンと同時に大幅に価格を下げて再びの人気モデルとなりつつある。関東有数の峠を含んだコースでその実力を改めて検証した。
(text:安井行生 photo:我妻英次郎/安井行生)
2004年にデビューしたSCOTT CR-1はロードバイクシーンに一大ブームを引き起こしたと言っていい。それまでの常識を覆すほどの軽さとハイレベルな動力性能、特に突出した登坂性能で 「肉薄・大口径・超軽量・高剛性」 という近代ロードバイクのトレンドを生み出した。日本のヒルクライムブームも追い風となったのだろう、レース会場ではトレック、アンカー、インターマックスなどと並んでよく見るバイクとなった。他メーカーのフレーム設計にも大きな影響を与えたと言われ、ロードバイク界においてSCOTTの名をトップブランドに押し上げた名機である。
そんなCR-1だが、さらに軽量なアディクトが発表されると同時にどんどんとトップダウン。今やシマノ・105グレードのパーツが組み合わされるフレームとなり、マヴィックのホイールがセットされる完成車価格は30万円強である。デビュー時から思うと信じられないようなバーゲンプライスだ。
スコットのフラッグシップモデルとしてレース界に君臨していた当時に比べると、カーボン素材の弾性率が下がり柔らかくなったと言われるが、どこを見てもカーボンという現在においてその戦闘力はどれほどのものなのか。 「ヒルクライム好きとしてはずっと気になる一台だった」 というライター・安井が数百kmを走って徹底インプレッション!
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数十メートル走っただけで、これからの100kmインプレライドが素晴らしいものになる予感がした。低グレードのホイールからは想像できないほどの鋭い初期加速である。なんだかんだいって、加速が良いバイクは楽しい。ビッグギアで踏み込むとソフトさが顔を覗かせるものの、それでもフルカーボンロードバイクとしてはかなりのレベルにある。
山岳に持ち込んでもさすがの高性能。気持ちいい反応性でスイスイと登れる。ビッグギアのダンシングで踏み込むとそのレスポンスには多少の陰りが見えるが、これは重いホイールのせいもあるだろう。
ダンシング、シッティングを問わず高いケイデンスで軽く回すとよく進んでくれる。体重が軽く、キレイにペダルを回すライダーに最適化されている印象の的確なしなりがあり、脚のリズムが合えば最高のヒルクライムパートナーとなってくれる。極端に踏み込むペダリングを好む人や体重のあるライダーでない限り、動力性能に死角はないと言っていい。
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さらに快適性も高いことに驚かされた。衝撃のカドを取り去ってくれる振動吸収性でロングライドでも全く苦にならない。スピード域によってハンドリング特性が変化するきらいがあり、低速では落ち着きがなくなるが (軽量ホイールをはかせるとその傾向は顕著になった)、これは小さいフレームサイズのジオメトリのせいだろう。むしろRのキツい低速コーナーでは軽いハンドリングが武器となり、車体をスパッと倒せて気持ちいい。高速での旋回性にもクセを感じたが、すぐに慣れると思われ、問題とするようなレベルではなかった。
動力性能の全ての項目において平均点を上回っており、レベルの高いオールラウンダーである。さすがは名機と呼ばれるフレームだ。
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