北京五輪男子ロードレースで宮澤86位、別府リタイア | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

北京五輪男子ロードレースで宮澤86位、別府リタイア

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 北京オリンピックの男子ロードレースが8月9日に開催され、スペインのサムエル・サンチェス(30)が6人によるゴール勝負を制して金メダルを獲得した。日本代表の宮澤崇史(30=梅丹本舗・GDR)は31分35秒遅れの86位、別府史之(25=スキル・シマノ)はリタイアした。

 北京オリンピックでの競技初日となる9日、男子ロードレースが北京市中心部から万里の長城に至る総距離245.4Kmのコースで行われ、気温30度前後、湿度85%という過酷な気象条件の中、スペインのサムエル・サンチェスが、6選手によるゴールスプリントを制し初優勝を遂げた。オリンピックでのロードレースにおけるスペイン勢の金メダル獲得もこれが初となる。
 日本から出場した宮澤崇史は、サンチェスから31分35秒遅れて86位完走。別府史之は、コース後半に設定された周回コースを残り3周でリタイアという結果だった。

 レースは55の国と地域から143人の選手が参加して、午前11時に北京市中心部の永定門前をスタートした。北京市が誇る歴史遺産を右に左に見る市街地ルートをおよそ5Kmほど行ったところでチリとボリビアの選手が抜け出し先頭グループを形成する。2人は共同して快調に逃げ、一時は後続のメイングループとの間に15分近い差をつけた。
 そのメイングループでは細かなアタックはあるもののさほど大きな動きには至らない状況が長く続いていたが、60Kmを過ぎた辺りで起こったアタックから集団が分裂。25人ほどの追走グループが形成された。先頭に2人、10分ほどの差で25人の追走グループ、それから1分半ほどの差でメイングループ。レースはこの図式で後半の周回コースに入っていった。
 宮澤・別府の2選手は、100人を超えるメイングループの中でじっと戦況を見守っている。周回コースは一気に上って一気に下る1周23.8Kmの行程。これを7周回でゴールとなる。

 1周目。先頭の2人のうち、疲れが見えるボリビアのガラルドが離れ、チリのアルモナシドの1人逃げとなる。追走グループは最初の上りで一気にタイム差を詰め、上り頂上の八達嶺では4分差にまで縮めてきた。メイングループもこれにあわせるようにスピードが上げる。
 2周目に入るところでトップと追走グループの差は4分11秒。メイングループとの差は8分36秒。そしてこの周回の上り頂上を過ぎた辺りでトップのアルモナシドが追走グループに吸収、20人規模のトップグループが形成された。この中には、今年のツール・ド・フランスを制したスペインのサストレの顔もある。宮澤・別府は依然メイングループの中。ともに中段から前段の好位置をキープして終盤の展開に備えている。
 3周目。レースは小康状態。タイム差は僅かに前後するのみ。
 4周目。上りでトップグループからウクライナとベラルーシの2人が抜け出す。これに反応して2人を追う追走グループと後方のメイングループのスピードが一気に上がる。ゴールまでは残り4周回。
 5周目。トップの2人と追走グループの差は1分40秒。メイングループとの差は2分51秒。周回半ば、メイングループにいたアテネ大会の覇者、イタリアのベッティーニがパンク。集団から遅れを取る。そして何と、前の周回までメイングループの中で余裕を持って走っていたように見えた別府が、先頭から8分51秒遅れてフィニッシュラインを通過。そのうつむき加減にゆっくりとペダルを踏む姿にはもう戦う意欲は感じられない。

 残り2周となる6周目。この周回に入る直前で先頭の2人にメイングループから追い上げてきた3人が合流してトップグループが5人に。その後ろは28秒遅れてメイングループ。先頭を引くのは、サストレ、コンタドール、サンチェス、バルベルデという豪華な顔ぶれのスペイン勢。その後ろにはベッティーニ、レベッリンのイタリア勢が続く。
 本命の登場に刺激を受けた集団はぐんぐんスピードをあげ、上り頂上でトップグループを吸収、30人ほどの集団で下りに入った。こうしたゴールに向けての激しい攻防が繰り広げられる中、日本の宮澤崇史が先頭から8分6秒遅れでフィニッシュラインを通過した。
 そして最終周回。先頭で残り1周の鐘の音を聞いたのは、6周目の下りで抜けだしたオーストリアのファンベルゲル。しかし上り途中で14~15人の追走グループに捕まる。そして、上り頂上手前でルクセンブルクのシュレックがアタック。これにイタリアのレベッリン、スペインのサンチェスが反応してトップは3人となる。それを必死に追うのはオーストラリアのロジャースとロシアのコロブネフ。その差は15秒ほどだが、なかなか縮まらない。
 そんな中、後方から一気にスピードを上げて追いついてきたのはタイムトライアル世界チャンピオン、スイスのカンチェラーラだ。このカンチェラーラの追い上げに乗ってロジャース、コロブネフの2人も勢いづき、ついにゴール手前800m付近で先頭は6人に。そして勝負はゴールスプリントに持ち込まれ、スペインのサンチェスがパワフルな走りでこれを制し、オリンピックチャンピオンの称号を手にした。

●別府史之のコメント
「タフなレースできつかったです。最初のラップからきつかったんですけど、ペースが速かったというのもあったので。2周目、3周目は走れてたんですけど、ラスト3周のところでペースが一気に上がって、そこでちょっと集団の中切れもあって遅れてしまいました。このレースのためにかなり仕上げてきたつもりだったんですけど、結局僕自身の体が弱かったっていうだけですね。あと暑さにもやられました。1周するごとにボトル3本飲んでましたから。これまで競技をやってて、上って1リットル以上飲んで下ってまた1リットル以上飲むという経験をしたことがなかったので、すごく辛かったですね。暑いのが苦手なんで、頭に水をかけたりして何とか対処してたんですけど…。一生懸命サポートしてくれたスタッフの人とか、応援してくれた人たちに申し訳なかったという気持ちでいっぱいです」

●宮澤崇史のコメント
「楽しかったですね。コースは思ったより難しかったし、とにかく暑くて参りましたけど、今回は自分なりに100%準備ができ、100%力も出し切れたと思います。ただ展開は自分が予想した通りだったので、もっとコースが自分向きだったら、もう少しいい成績が残せたんじゃないかと思います。でも今回は100%自分の力を出せたことでよしとします」
《編集部》

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