山本由伸らトップアスリートやドジャースを支える矢田修が挑む“スポーツ科学の民主化” 新デバイス「KINETIC LAB-LINK」に込めた40年の知見 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

山本由伸らトップアスリートやドジャースを支える矢田修が挑む“スポーツ科学の民主化” 新デバイス「KINETIC LAB-LINK」に込めた40年の知見

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山本由伸らトップアスリートやドジャースを支える矢田修が挑む“スポーツ科学の民主化” 新デバイス「KINETIC LAB-LINK」に込めた40年の知見
  • 山本由伸らトップアスリートやドジャースを支える矢田修が挑む“スポーツ科学の民主化” 新デバイス「KINETIC LAB-LINK」に込めた40年の知見

柔道整復師の矢田修(やだ・おさむ)さんは、1959年香川県生まれ。1980年に大阪府大阪市で「矢田接骨院」を開業し、院長を務める傍ら、1988年には教育・研究機関「キネティックフォーラム」を設立。全国各地で勉強会を行いながら、治療家の指導にあたってきた。

トップアスリートも数多く師事。一例を挙げるだけでも、筒香嘉智(横浜DeNAベイスターズ)、北山亘基(北海道日本ハムファイターズ)、高橋宏斗(中日ドラゴンズ)、尾方剛、桐生祥秀(陸上)、平野早矢香(卓球)、那須川天心など、競技の枠を超えたサポートを行っている。

直近では、ドジャース・山本由伸投手の専属トレーナーとしても注目を集める矢田さんに単独インタビューを実施。今回は、矢田さん自身が監修し、現在Kickstarterでのクラウドファンディング受付が行われているデバイス「KINETIC LAB-LINK」や、トレーナーとして描く未来について話を聞いた。

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■大切にする「言語化できないもの」

矢田さんは柔道整復師としてのキャリアを通じて、接骨院を訪れる一般患者やアスリートへの指導を行いながら、自身の理論を伝えてきた。また、「キネティックフォーラム」では、30年以上にわたるデータをもとに確立した独自の身体調整メソッド「BCトータルバランスシステム」を学び、実践する場を提供。指導者や治療家の育成にも関わるなど、業界全体の発展や活性化を目指して長年尽力してきた。

「BCトータルバランスシステム」は、一般的なトレーニングや単なる筋力強化などと異なり、細胞レベルから身体のリズムを回復させ、運動連鎖(キネティックチェーン)を最適化することを目指す理論だ。

40年以上にわたるキャリアを築いてきた矢田さんだが、柔道整復師やトレーナーとして過ごす中で、業界全体に対してどのような課題を感じているのだろうか。矢田さんは、自身が大切にしているものは「言語化できないもの」だとしながらも、現場で感じてきた問題点について次のように語る。

「現場では分析やデータの研究がどんどん進んでいるにもかかわらず、ケガ人はどんどん増えています。そこに対して正直に僕が思うのは、“分析する方向が間違っているんじゃないか”ということ。結果が出ていないのに、結果が出ない方向へどんどん進んでしまっている気がするんです」

また、自身が提供する「BCエクササイズ」についても、山本らトップアスリートへの指導プログラムとして注目を集める一方で、適切な知識に基づいた理解と実践が伴わなければ、競技者に対して本来の効果を発揮できないと指摘する。

「BCエクササイズは、身体を動かしながらも日本の芸道の型のような要素を持ち、動いていながら瞑想しているような状態を要求されるトレーニングです。形だけなら簡単に見えますが、テーマを深めていくと多くの人が難しさを感じます。こうした取り組みを通して、“自分の内側に目を向けること”が重要になります。一つのことに取り組むと、その先にある三つ、四つのことが見えてくる。一つ一つのことを聞かないがゆえに、自分で気づく機会が失われていくこともあると思っています」

■“身体への気づき”を促す新デバイス

KINETIC LAB LINK

KINETIC LAB LINK

そうした課題を抱える中で、矢田さんが今回監修・設計に携わったのが「KINETIC LAB LINK(キネティックラボリンク)」だ。これまで15年以上にわたりプロの治療現場で使用されてきた「KINETIC LAB-Sensor(キネティックラボセンサー)」を改良し、一般ユーザーにも分かりやすい情報提供と課題解決を目指して開発された新たなデバイスとなっている。

「人間には、目に見えるものと目に見えないものがあります。パソコンでいうと、ハードとソフトのようなもので、フリーズを起こしてもハードは壊れていない。機械であればクリーンインストールして再起動すれば元に戻ります。でも人間は、人のことは分かっても、目に見えないものが自分の中にもあるにもかかわらず、自分のことは気づきにくいんです。そこにいかに気づいてもらえるか、ヒントになってくれないかと思って作ったのが、今回の『KINETIC LAB LINK』です」

「KINETIC LAB LINK」は、指示された身体の部分にデバイスをあてて、歪みを計測し数値化。その分析データを独自のLLM(大規模言語モデル)がユーザー向けに翻訳し、動画でわかりやすく取り組むべきエクササイズや呼吸法をレクチャー。手のひらに収まるサイズのデバイスとAIコーチングで、一流のアスリートも支えてきた「BCトータルバランスシステム」の理論に基づいた測る・整える・鍛えるという一連の流れが実現する。

「KINETIC LAB LINK」の最大の特徴はAI機能の搭載だ。高度で専門的な知識を分かりやすく理解できるようにすることを目的にAI機能を活用し、理解力のギャップを埋める役割を担っている。ここ数年でAIツールが発達し、さまざまな業界に影響を及ぼしている中で、矢田さんはこの技術的な進化が自身のツールにも好影響をもたらすと考えている。

■好影響が期待されるAI機能の搭載

ドジャース・山本由伸を支える矢田修(C)Getty Images

「今回の『KINETIC LAB LINK』は、僕の経験値をAIで個々に最適化して配信するというもの。ですから、“小さな僕がいっぱいいる”という感じですね(笑)例えば夢を追いかけているにもかかわらず、指導者が常にそばにいない人もいます。AIを育てていくことで、うまく機能しない原因は自分の中にあるということに気づく。そのヒントになればいいなと思っています」

元々陸上競技のハードル選手だった矢田さんは、柔道整復師の道へ進み、40年以上にわたりキャリアを積み重ね、その道を歩み続けてきた。今回の新たなデバイスの提供を通して“スポーツ科学の民主化”に取り組んでいく矢田さん。では、今後の柔道整復師・トレーナーとしてのキャリアについて、どのような未来を描いているのだろうか。

「ゴール地点というものはないんです。正直、その日暮らしなんです。僕の周りには明確な夢を追いかけている人がたくさんいます。それぞれ夢は違いますけど、一人一人と同じ夢を見ながら、命が続く限り続けていきたいと思っています。ゴールというよりも、毎日やっていることをずっと続けていきたい。それだけなんです」

2026年は3年連続世界一を狙うドジャースのエースとして臨む山本や、球団との取り組みにも、さらなる注目が集まる。自身のもとに集まる次の夢を追う者たちに寄り添いながら、矢田さんは「柔道整復師・矢田修」としてのキャリアを歩み続けていく。

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