海外志向の選手もやさしさ重視傾向か 金子駆大、中島啓太、金谷巧実のスイングとクラブセッティング | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

海外志向の選手もやさしさ重視傾向か 金子駆大、中島啓太、金谷巧実のスイングとクラブセッティング

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海外志向の選手もやさしさ重視傾向か 金子駆大、中島啓太、金谷巧実のスイングとクラブセッティング
  • 海外志向の選手もやさしさ重視傾向か 金子駆大、中島啓太、金谷巧実のスイングとクラブセッティング

4日から、日本男子ツアー最終戦となる日本シリーズJTカップが東京都のよみうりカントリークラブで開催される。

注目は金子駆大、中島啓太、金谷拓実の、今後米ツアーで大きな活躍が期待される若手3名。

金子は今季初優勝をあげ、獲得賞金が1億円を突破。大きく飛躍した1年となったわけだが、金子の好成績を支えているものは何なのだろうか。

スイングだけでなくクラブセッティングにも着目し、それらを歴代の賞金王である中島や金谷のものと比較してみたい。

金谷は今季から米ツアーを主戦場としシード権を確保した。中島は2023年から主戦場を欧州ツアーに移したが、来季から米ツアーに移すことが決まっている。

◆骨格に逆らわないバックスイングの金子駆大 米ツアー挑戦を見据えたクラブセッティングとは

■金子駆大のスイングとクラブセッティング

金子のスイングは、体幹、腕、クラブの同調性が高い。

バックスイングの時に顔をボールに向け続けると、肩が挙上して詰まった状態になり同調性や連動性が失われることがあるが、金子は顔を右に向けながらバックスイングすることで、詰まらず、スムーズにトップオブスイングまでいけている。

同調性が高いからショットの安定感が高い。今季現時点(11月30日時点)のフェアウェイキープ率が10位でパーオン率が11位である。

優勝した三井住友VISA太平洋マスターズでのクラブセッティングを見るとアイアンにやさしさを、パターに手との一体感を求めていることがわかる。

5番から9番アイアンがテーラーメイドのP760、4番アイアンがタイトリストのT200。4番から7番までは中空構造のセッティングとなっており、P760は2018年のモデルでT200は2023年のモデル。現在の金子にとって、操作性とやさしさを最も高い水準で兼ね備えているモデルがこれなのだろう。

パターはオデッセイのアームロック型。アドレス時の手首の角度を変えずにストロークすることを狙っている。スイングだけでなくパットにも同調意識がうかがえる。

■中島啓太のスイングとクラブセッティング

中島のスイングはインパクトで前傾角度が深い。アドレス時よりも深まっている。

手と体の間のふところを広く保ちながら、ボールに対してか体の圧をかけきる、といった感じでインパクトでボールを押し込む。左手の甲をターゲット方向に向けている時間が長い。

欧州ツアー2025年シーズンのフェアウェイキープ率が15位で、ティーショットのスコア貢献度が24位。このスイングでのドライバーショットがシーズンを通して強みとなり、来季の米ツアー出場資格を獲得した。

ベイカレントクラシック時のクラブセッティングを見ると、フェアウェイウッドが1本しか入っていない。3番ウッドの次はロフト角20度のユーティリティーである。

アイアンは“これぞツアー選手が使うモデル”といった感じのモデル。小さめのヘッドサイズで操作性を重視したモデルである。

パターはテーラーメイドのスパイダーシリーズ。ベイカレントクラシック前までは同シリーズの別モデルを使用していた。中島は金子とは違い、パターを変えながらフィーリングを整えているようだ。

■金谷拓実のスイングとクラブセッティング

金谷は、フェース向きをシャットに使ってスイングする。フェースを閉じながらバックスイングするため、トップオブスイングでフェースが空を向く。フェースの開きを避ける意識の強さが表れている。

米ツアーで今季のフェアウェイキープ率が1位。ドライビングディスタンスが166位ということもあり、ティーショットのスコア貢献度は73位と高くないが、フェースを閉じて使うことで米ツアーイチ曲がらないティーショットを見せ、米ツアーシード権を確保した。

プロ入り前からPING社のクラブを使用していた金谷。ANAオープン出場時のクラブセッティングを見ると、ドライバーがPINGのG440。今季途中にアマチュア時代から長く愛用していたG410から変更したようだ。

そして特徴的なのがアイアンのセッティング。5番~9番のセットに加えて別モデルの5番アイアンをセッティングしている。

その5番アイアンはPINGのG710。やさしい飛び系のモデルである。4番アイアン相当の飛距離をラクに出す、ことを狙ってセッティングしているのだろう。

■金子は海外ツアー挑戦権獲得確定なるか

海外ツアー志向がある金子。賞金王になれば米ツアー最終予選会出場資格だけでなく、欧州ツアー出場資格を獲得し多くの試合に出場できる見通しとなる。

金子は、日本シリーズJTカップでは、優勝を条件に賞金王のチャンスが残っている蟬川泰果と大岩龍一の状況を気にしながらの4日間となる。このまま賞金ランキング1位の座を譲ることなく今季の日本ツアーを戦い終えることができるか注目だ。

金谷と中島は2025年シーズン終盤、それぞれ米ツアーと欧州ツアーで、来季の米ツアー出場資格獲得に向けて神経がすり減るような戦いを繰り広げていた。肩の荷が降りた今、さらに“らしい”プレーが期待できるかもしれない。

今季の男子ツアー最終戦、熱い戦いを期待したい。

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著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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