
日本時間27日、香港・シャティン競馬場では香港チャンピオンズデーが行われる。今年は3競走に日本から8頭が参戦。ここでは、ラストを飾るメイン競走、第8レース「クイーンエリザベス2世カップ(GI・芝2000m)」を攻略する。
◆【クイーンエリザベス2世カップ2025予想】タスティエーラ&リバティアイランドは相手まで 「4.0.1.0」を軸に“超人気薄”もピックアップ
■フランスの総大将は額面通りには信頼できない
過去10年の国別成績は、香港馬が7勝2着6回3着5回、日本馬が3勝2着4回3着3回。3着以内はほぼ香港馬と日本馬で独占しているレースだ。しかし、今年は昨年まで3連覇を果たしていたロマンチックウォリアーが出走を回避し、香港勢に絶対的なエースが不在。今年は日本馬が戴冠するチャンス大だ。そんななか、壁となって立ちはだかるのが、フランスのゴリアットだろう。
同馬は昨夏のキングジョージVI世&クイーンエリザベスSで、後続に2馬身1/4差をつける快勝でGI初制覇を果たした。2着に退けたのは、のちに凱旋門賞を制するブルーストッキング。3着だったレベルスロマンスものちにブリーダーズカップターフを優勝、そのほか、オーギュストロダン、ルクセンブルク、ドバイオナーなど、並みいる強豪を退けての優勝だっただけに価値が高い。
秋にはジャパンカップに参戦し、勝ち馬からコンマ5秒差の6着に好走。高速馬場への適性も示す形となった。今回は初めての香港参戦となるが、日本よりもやや時計の要するシャティンなら同馬にとって好都合となりそうだ。
レーティングはメンバー中ダントツの126。実力上位なのは数字が示す通りだが、適距離はクラシックディスタンスなのは間違いなく、2023年9月以来となる芝2000m戦への対応がカギとなる。欧州調教馬は、GI昇格後の01年以降わずか2頭しか勝っておらず、近10年は3着1回のみ。額面通りの力を発揮できるだろうか。
■大崩れはないが、勝ち味に遅い日本勢
日本勢3騎は序列をつけるのが難しいが、どの馬も香港で実績がありチャンスは十分。ダービー馬タスティエーラは、昨年の今ごろは不振に陥っていたが天皇賞(秋)で2着に好走し、前走の香港Cではロマンチックウォリアーを負かしに行っての3着。芝2000mを連続で好走し、改めて適距離を見出した。今回はその香港C以来のレースとなるが、香港で好実績を収めている堀厩舎だけに調整はお手のもの。好相性のD.レーン騎手が引き続き鞍上なのも心強い。
香港Cでタスティエーラに先着し、2着に入ったのがリバティアイランド。前走のドバイターフでは勝ったソウルラッシュとほぼ同じ位置にいながら突き放され、同馬は見せ場すら作れず8着に完敗。今回はその影響が心配されるが、昨年も天皇賞(秋)大敗から香港Cで好走と、消長が激しい牝馬だけにひとたびハマれば激走しても何ら驚けない。軸に据えるには心許ないが、相手には必ず加えたい。
昨年まで2年連続でロマンチックウォリアーの2着に屈したのがプログノーシス。ライバルが不在の今年は、3度目の正直となるか注目だ。だが、昨年までと違うのは金鯱賞敗戦からの臨戦となる点。その前走も内容はいまひとつで、力の衰えは気にかかる。7歳以上の馬も過去10年で勝利したことはなく、年齢的に上がり目は望みにくい。日本馬3頭はいずれも1年以上勝ち星に見放されており、頭で突き抜けるイメージが湧きにくいのも現実だ。
■間隙を突いた伏兵の一発を期待
日本馬vs.ゴリアットの構図となりそうな今年のクイーンエリザベスII世C。しかし、帯に短し襷に長しの日本馬3騎に、距離・コースへの不安が残るゴリアット。人気もこの4頭に集中しそうで、妙味ほどの信頼感はない。それならば間隙を突く伏兵の一発を期待せずにはいられない。
その1番手は、ニュージーランドからの遠征馬エルヴェンセドール。連覇を果たした前走のニュージーランドS(GI)をはじめ、3つのGIを含む4連勝と今年に入って絶好調モード。特に芝2000mは【4.0.1.0】と、自身にとって最適な距離だ。初めての香港となるが、ニュージーランド産馬はのちに香港で年度代表馬になるような馬を多く輩出しており、血統背景は馬場と合う。レーティングでもタスティエーラの118に対し、本馬は117。数字の上では実力差はほとんどない。最内1番ゲートから経済コースを通れそうなのもプラス材料だ。
前走の香港ダービーでキャリア初勝利を挙げたキャップフェラも外せない1頭。オーストラリアに在籍していた時には、GIで善戦していたこともあり、芝2000mは【1.1.1.0】と大崩れなし。16年ワーザー、22年ロマンチックウォリアーと、香港ダービーから連勝で当レースを制覇しており、前走をフロック視すると痛い目に合いそう。
もう1頭、バーレーンのカリフを穴で一考。昨夏にはダルマイヤー大賞で、独ダービー馬ファンタスティックムーンを破ってGI初制覇。2走前のネオムターフカップではシンエンペラーの2着に好走しており、日本勢との実力差はない。昨年は香港Cへ遠征しており、シャティンを経験している点もプラス材料。おそらく人気は下から数えたほうが早い位置で、隠れた実力馬が波乱を起こす可能性は十分だ。
クイーンエリザベス2世カップ・買い目
◎(5)エルヴェンセドール◯(3)タスティエーラ▲(11)リバティアイランド△(1)ゴリアット△(2)プログノーシス△(9)キャップフェラ△(4)カリフ
馬連流し(6点)軸:5相手:3、11、1、2、9、4
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。