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2月6日から、アメリカ・フロリダ州のブラデントンカントリークラブで今季の米女子ツアー第2戦のファウンダーズカップが開催される。
今季、米女子ツアーを主戦場にする日本選手は計13名だが、現時点でその内12名が同大会に出場する予定となっている。
その12名の中で今回注目したいのが渋野日向子。
米ツアーを主戦場にする日本選手13名の中では、畑岡奈紗とともに最年長である渋野の、米女子ツアーメンバーとしての米ツアー初優勝を、これまで以上に期待して良いかもしれない。
トレーニングにより「飛距離が伸びた」という実感があり、より前向きな気持ちでシーズンに入って行けるようだ。今季からクラブ契約がフリーとなり、制約なくクラブをセッティングできるようにもなった。
心身とギアを新たに、渋野の米ツアー4年目が始まる。
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■メジャー‟だけ”強い、からの脱却
昨季は25試合に出場してポイントランキングが64位。トップ10が2回で、全米女子オープンの2位と、全米女子プロゴルフの7位タイ。いずれもメジャー大会だった。
渋野といえば、2019年の全英女子オープン制覇だが、22年に主戦場を米ツアーに移してから好成績をあげているのも、メジャー大会だ。23年はトップ10が1回でそれはメジャーではなかったが、22年はトップ10が5回で、内2回がメジャーだった。
つまり、米ツアールーキーイヤーからトップ10に8回入り、内3回がメジャーなのだ。
今季はメジャー以外でも活躍を多く見せたいところだが、ファウンダーズカップは渋野にとって上位進出のチャンスかもしれない。
今回の会場であるブラデントンCCは昨季、ドライブオン選手権が開催されたコース。同大会は昨季、米ツアーを主戦場にした稲見萌寧が唯一トップ10入りした大会。畑岡奈紗もトップ10入りした。
そして、古江彩佳が4位タイとなり、トップ10に3名の日本人選手が入った。ブラデントンCCは日本選手向けのコースと言えるかもしれない。であれば、渋野のチャンスが高まると見ることができる。
■「飛距離が伸びた」
渋野は、日本ツアーを主戦場にし、メルセデスランキング1位に輝いた19年のドライビングディスタンスは12位。‟飛ばし屋”の部類に入っていた。だが、22年、米ツアーに主戦場を移してからは、76位、132位、98位と、飛距離をアドバンテージにできていない。
ただ、オフのトレーニングの成果を実感しているようで「飛距離が伸びた実感がある」とのこと。それがどれほどのものなのか、今季初戦が楽しみである。
苦手だったバンカーショットは年々成長。サンドセーブ率は、22年は123位だったが、23年は81位、そして昨季は13位となった。飛距離アップに加えてグリーン周りのバンカーが怖くなくなれば、その分ピンを攻めて行きやすくなるため、バーディ量産に期待ができる。
■スイング改造はひと段落かこれまでのシーズン開幕前の時期は、新たな師を迎えてのスイング改造に注目が集まっていた。
石川遼の理論に直接触れ、それが腑に落ちた時には、石川と同じような、コンパクトかつフラットなバックスイング作りに取り組んだ。
色々と試みるものの、うまくいかない時は、かつての師の指導を仰いだ。
それでも結果が出なければ、多くの女子選手を指導し、結果を残してきたコーチに師事した。
毎シーズン、スイング作りについて道筋を見つけられないでいる様子が伝わってきていたが、今季の開幕前はそういった不安要素は少ないようだ。
■キム・アリムに続けるか
今季の米女子ツアー開幕戦であるヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズは韓国のキム・アリムが優勝し米ツアー3勝目を飾った。
韓国ツアーを主戦場にしていたキムは‟海外の試合初挑戦”となった20年の全米女子オープンで優勝し21年から米ツアーを主戦場に移した。そこから2勝目をあげたのは、昨季24年11月のロッテ選手権。
センセーショナルな海外初挑戦でのメジャー優勝、遠い米ツアー2勝目、という流れは、渋野とキム・アリムに共通している。
その後の覚醒も共通と行きたいところだ。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。