レギュラーシーズンが終了し、MLBファンの関心事といえばワールドシリーズ、そして各賞レースではないだろうか。打撃に関する賞が多い中、守備の名手に対して贈られるのがゴールドグラブ賞。日本でもゴールデングラブ賞が設けられているが、担当記者の投票によって決まるものの、ノミネートという概念はない。一定の試合数に出場していれば誰にでも投票可能となるため、いわゆる先入観によるところも大きい。そのため、その選出は度々批判を浴びることもある。
一方、MLBの場合は事前に最終ノミネートというかたちで対象者が発表されることもあり、日本に比べて大きな批判にさらされることは少なかった。しかしながら、今季のゴールドグラブ賞最終ノミネートに“ある選手”が選考されなかったことが大きな物議を醸している。
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■リンドーアの選外は果たして妥当？
その選手とは、メッツのフランシスコ・リンドーア内野手だ。ナショナル・リーグにおいて大谷翔平投手とのMVP争いでも一騎打ちのようなかたちとなっている彼は、打棒もさることながら守備での貢献度の高さが評価されることも多いなか、まさかの選外となったのだ。ナショナル・リーグのゴールドグラブ賞でリンドーアと同じショートの最終ノミネートにあがったダンズビー・スワンソン内野手（カブス）、エゼキエル・トーバー内野手（ロッキーズ）、メイシン・ウィン内野手（カージナルス）の3選手との守備指標をみてみると、この批判が真っ当であることがわかる。
米データサイト『ファングラフス』で発表されている守備指標で見ていこう。UZRは、スワンソン3.3、トーバー11.2、ウィン-1.7、リンドーア3.5。そして、守備防御率ともいわれているDRSでは、スワンソン7、トーバー10、ウィン14、リンドーア1。DEFはスワンソン18.9、トーバー16.6、ウィン8.7、リンドーア17.5。その他にもいくつかの指標があるものの、こうして比較すると最終ノミネートされた選手のうち、スワンソン、トバーに関しては軒並みリンドーアよりも高い数値となっているが、ウィンはリンドーアに劣る数値が多くなっているのだ。
一方で、ウィンはフィールディング・バイブル賞の遊撃手部門を受賞したということもあり、ゴールドグラブ賞のノミネートが確実に間違っているとは言い難いものの、選出にあたってはどのような基準を設けたのかを明らかにするべきだろう。
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■意外な選出はほかにも…
このような“意外”な選出は他のポジションでも起きている。アメリカン・リーグの右翼手部門でノミネートされた、ヤンキースのフアン・ソト外野手は打撃では優れた成績を残しているものの、守備においては同時にノミネートされたジョー・アデル外野手（エンゼルス）、ウィルヤー・アブレイユ外野手（レッドソックス）と比較できるような守備指標を残していない。それどころか、DRS，OAA，UZR、DEFといった主要な守備指標ではマイナスとなっているのだ。
日本でも問題提起されることの多いゴールドグラブ賞の選出。守備のスペシャリストを選ぶ賞であるにもかかわらず、やはり打撃や派手なプレーなど印象に左右されての選出は否めない側面がありそうだ。選手にとってもファンにとっても、もっと納得がいくような形で選ぶのであればはっきりとした基準を示した上で選考を行うべきなのかもしれない。
■2024年ゴールドグラブ賞候補一覧
ア・リーグ
◆投手グリフィン・キャニング（エンゼルス）セス・ルーゴ（ロイヤルズ）コール・レイガンズ（ロイヤルズ）
◆捕手フレディ・ファーミン（ロイヤルズ）カル・ローリー（マリナーズ）ジェイク・ロジャース（タイガース）
◆一塁手ナサニエル・ロウ（レンジャーズ）ライアン・マウントキャッスル（オリオールズ）カルロス・サンタナ（ツインズ）
◆二塁手アンドレス・ヒメネス（ガーディアンズ）ニッキー・ロペス（ホワイトソックス）マーカス・セミエン（レンジャーズ）
◆三塁手アレックス・ブレグマン（アストロズ）アーニー・クレメント（ブルージェイズ）ホセ・ラミレス（ガーディアンズ）
◆遊撃手ブライアン・ロキオ（ガーディアンズ）アンソニー・ボルピー（ヤンキース）ボビー・ウィットJr.（ロイヤルズ）
◆左翼手コルトン・カウザー（オリオールズ）スティーブン・クワン（ガーディアンズ）アレックス・バーデューゴ（ヤンキース）
◆中堅手ジャレン・デュラン（レッドソックス）ジェイク・マイヤーズ（アストロズ）ドールトン・バーショ（ブルージェイズ）
◆右翼手ウィルヤー・アブレイユ（レッドソックス）ジョー・アデル（エンゼルス）フアン・ソト（ヤンキース）
◆ユーティリティウィリー・カストロ（ツインズ）マウリシオ・デュボン（アストロズ）ディラン・ムーア（マリナーズ）
ナ・リーグ
◆投手クリス・セール（ブレーブス）ルイス・セベリーノ（メッツ）ザック・ウィーラー（フィリーズ）
◆捕手パトリック・ベイリー（ジャイアンツ）ガブリエル・モレノ（ダイヤモンドバックス）ウィル・スミス（ドジャース）
◆一塁手ブライス・ハーパー（フィリーズ）マット・オルソン（ブレーブス）クリスチャン・ウォーカー（ダイヤモンドバックス）
◆二塁手ケテル・マルテ（ダイヤモンドバックス）ブライソン・ストット（フィリーズ）ブライス・トゥラング（ブリュワーズ）
◆三塁手ノーラン・アレナド（カージナルス）マット・チャップマン（ジャイアンツ）ライアン・マクマーン（ロッキーズ）
◆遊撃手ダンズビー・スワンソン（カブス）エゼキエル・トーバー（ロッキーズ）メイシン・ウィン（カージナルス）
◆左翼手ルルデス・グリエルJr.（ダイヤモンドバックス）イアン・ハップ（カブス）ブランドン・マーシュ（フィリーズ）
◆中堅手ブレントン・ドイル（ロッキーズ）ブレイク・パーキンス（ブリュワーズ）ジェイコブ・ヤング（ナショナルズ）
◆右翼手サル・フリーリック（ブリュワーズ）ジェイク・マッカーシー（ダイヤモンドバックス）マイク・ヤストレムスキー（ジャイアンツ）
◆ユーティリティブレンダン・ドノバン（カージナルス）キケ・ヘルナンデス（ドジャース）ジャレッド・トリオロ（パイレーツ）
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