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今週は、サマースプリントシリーズ第5戦となる、第19回キーンランドカップ(GIII、芝1200m)が札幌競馬場で行われる。
今年は、ディフェンディングチャンピオンのナムラクレアをはじめ、函館スプリントS覇者のサトノレーヴ、フィリーズレビューを制したエトヴプレ、ファルコンSを制したダノンマッキンリーといった重賞ウイナーに加え、前走オープン特別を制して勢いに乗るプルパレイやゾンニッヒ、昨秋に豪州の高額賞金レース、ゴールデンイーグルを制したオオバンブルマイなど、北の大地に短距離自慢が集結した。
そんな中、青函Sを制した北海道巧者モリノドリームが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■顕在する多くの不安材料、そろそろ負け頃か
初勝利までデビューから8戦を要したモリノドリーム。そこから、夏の北海道開催で勝利を積み重ね、前走の青函Sで、ついにオープン初勝利。全5勝が函館・札幌コースで挙げている北海道巧者で、今回のキーンランドCでは、相性のいい舞台で待望の重賞初制覇を目論んでいる。
重賞挑戦は昨秋のセントウルS11着以来2度目で、洋芝巧者ということもあり、注目を集める存在となりそうだが、やはり重賞実績の無さは気にかかる材料だ。
過去10年の勝ち馬10頭中7頭は、同一年の芝1200mの重賞で3着以内に好走していた実力のある馬たち。残りの3頭中2頭も、すでに重賞勝ちの実績があった馬で、重賞ではまだ結果を残していないモリノドリームにとって、やや実績不足の感は否めない。
また今回、2勝クラス、3勝クラス、前走と勝ち上がりを決めてきた横山武史でなくなる点は心許ない。C.ルメールはキーンランドCで2勝を挙げており不足なしだが、騎乗した5回中3回は4コーナーの位置取りが10番手以下で、重賞常連だったタワーオブロンドンで2着、重賞勝ち実績のあったムーンクエイクやサトノルパンでは着外に終わっている。
モリノドリームは中団好位からの競馬ができるものの、後方待機策を余儀なくされた過去もあり、末脚に懸けた乗り方が多いルメールへ替わるとなると、位置取りに関して不安が残る。過去10年で4コーナー10番手以下だった馬は【1.3.1.49】勝率1.9%、複勝率9.3%と振るっておらず、本馬が取りこぼすシーンは十二分に考えられるだろう。
さらにモーリス産駒といえば、父のイメージから芝1200mでも強さを発揮していそうな印象だが、重賞19勝のうち、芝1200mではわずか1勝と、意外と重賞では勝てていない。また函館に比べると、札幌では好走率がグッと下がり、2勝クラス以上の上級条件では、函館が【3.1.1.9】だが、札幌は【0.0.0.7】と、いまだに勝ち鞍がない。同産駒のダノンマッキンリーもUHB賞では2番人気推されたが、6着と苦渋を喫した。本質的に札幌コースは適性外の可能性がある。
これらの点を踏まえつつ、鞍上ルメールにスイッチして人気も沸騰するようなら、妙味ほどの信頼感はないと考え、今回は思い切って「消し」でいってみたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。