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ア・リーグ西地区のマリナーズが、歴史的な貧打に喘いでいる。19日(日本時間20日)の試合終了時点で、チーム打率が球団史上最低の「.215」と低迷。近年は得点力不足が大きな課題で、昨季オフにも打線のテコ入れをはかったものの全く機能しなかった。
一方で、リーグ屈指の先発投手陣が奮起。64勝62敗の地区2位とポストシーズン争いには食らいついており、極端なチームバランスが話題となっている。
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■先発投手陣が獅子奮迅の活躍
マリナーズは昨季、球団史上ワーストの年間「1603三振」を記録。チーム打率も.242と振るわず、時折飛び出す本塁打頼みの不安定な打線が課題となっていた。三振数でア・リーグワースト1位2位を記録した、エウヘニオ・スアレス内野手(ダイヤモンドバックス)とテオスカー・ヘルナンデス外野手(ドジャース)を放出。より確実性の高い打者を中心に打線を構築したものの、長打力を失っただけで貧打の解消には繋がらなかった。
今季はここまで、チーム打率.215とさらに低迷。このままシーズンを終えた場合、球団創設48年間で最低記録を更新する。これまでの記録は、2020年短縮シーズンの打率.226(.2255)、21年の打率.226(.2258)で、2割1分台は初。米データサイト『Baseball Reference』によると、削減に取り組んだはずの三振数も増加しており、1試合平均10.27個でこちらも球団史上ワーストを塗りかえる可能性が高い。
そのような中でも地区優勝争いを続けているのは、優秀な先発投手陣が支えているからに他ならない。生え抜きのジョージ・カービー、ローガン・ギルバート、ブライス・ミラー、ブライアン・ウーに加え、実績のあるルイス・カスティーヨを加えたローテーションが、メジャー全球団トップの先発防御率3.26をマーク。ブルペン陣は平均クラスではあるものの、抑えて勝つスタイルで試合を制してきた。
MLB公式のデータページ『Baseball Savant』によると、マリナーズの本拠地であるT-モバイルパークは、現在メジャーでもっとも打者に不利な球場とされており、移籍してきた打者が成績不振に苦しむケースが多数見られる。加えて、近年はスラッガーが少ないチーム編成になりがちで、先発陣の好投が報われない。今季もオールスター以降は成績が低迷、同地区ライバルのアストロズに首位の座を奪われ、苦戦が続いている。
ちなみに、マリナーズがチーム打率年間トップを記録したのは、イチロー氏が加入した2001年の「.288」。メジャー記録の年間116勝を挙げた、ファンにも思い出深い1年となっている。
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