早田ひなが証明したエースの矜持 石川佳純さんから受け継いだ女子選手の未来「卓球の魅力を伝える人としても素晴らしい選手」【パリ五輪2024】 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

早田ひなが証明したエースの矜持 石川佳純さんから受け継いだ女子選手の未来「卓球の魅力を伝える人としても素晴らしい選手」【パリ五輪2024】

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早田ひなが証明したエースの矜持 石川佳純さんから受け継いだ女子選手の未来「卓球の魅力を伝える人としても素晴らしい選手」【パリ五輪2024】
  • 早田ひなが証明したエースの矜持 石川佳純さんから受け継いだ女子選手の未来「卓球の魅力を伝える人としても素晴らしい選手」【パリ五輪2024】

パリ2024オリンピック」の卓球競技は3日、女子シングルスの3位決定戦が行われ、第3シードの早田ひな(日本生命)は第4シードの申裕斌(韓国)と対戦。4ー2で勝利し銅メダルを獲得した。

早田は自身初の大舞台となるパリ五輪に向けて、日本女子の次を背負う存在として期待がかけられてきた。地道な努力が実を結び迎えた初の五輪では、紆余曲折を経ながら満身創痍で悲願のメダルをつかみ取った。

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■昨年訪れたレジェンドの引退

今大会の女子メンバーはシングルスに24歳の早田、平野美宇(木下グループ)、団体戦メンバーに16歳の張本美和(木下グループ)が選出。これまでの日本チームから若返りが進みチームカラーが変わった。

女子卓球界にとって転換期を迎えるきっかけになったのが、昨年5月に現役引退を発表した石川佳純さんの存在かもしれない。

23年にわたる競技生活にピリオドを打った石川さんは、2012年のロンドン五輪から16年のリオ五輪、21年の東京五輪まで3大会連続団体戦でメダルを獲得してきた。“卓球界の顔”として積み上げた実績は偉大なものであり、今大会はフジテレビのキャスターとしてパリ大会を取材するなど、新たな立場で後輩たちの活躍を見守っている。

そんな石川さんが引退会見時に発した「女子卓球界の未来」についての言葉がある。

「卓球の魅力を伝えることができる一番は世界で活躍している選手だと思うので、卓球の魅力を伝えてくれる選手としても人としても素晴らしい選手たちがこれからも出てきたら嬉しいなと思います」。

自らの卓球人生に対して日々向き合ってきたからこそ発せられた言葉であると感じたと同時に、石川佳純というアイコンが現役を退いたなか、彼女のような選手に変わりうる選手は誰なのかという新たな問いも生まれた。

■探求心と優れた言語化能力

そんな時に日本トップの選手として飛躍し始めたのが同じサウスポーである早田であった。

石川さんの現役引退と時を同じくして行われた2023年5月の「世界卓球個人戦」準々決勝では、王芸迪(中国)相手に9度のマッチポイントをしのいで劇的な勝利を飾った。パリ五輪の選考レースでも、すでに五輪を経験していた伊藤美誠(スターツ)、平野という同学年2人を引き離しての独走。国際大会の重要な場面で結果を残し、選手としてスケールアップする早田には次の時代を担っていくという覚悟や気概が感じられた。

早田ひなという選手に驚かされるのが、常に新しい自分を求めていく探求心と、自身の状況や細かな情景をアウトプットできる言語化能力の高さ。

パリ五輪出場とその先に見据える世界一へまい進してきた早田だが、日ごろから一つひとつの課題に向き合い技術を高め続けるなかで、時には積み重ねてきた「今の自分」を捨てることも厭わない。また、試合中でも状況を見つつ新しい技術を試すなど、目の前の結果云々ではなく、「ただ卓球が上手くなりたい」という幼いころから抱いてきた想いが今も根底にあると思わされた。

また、周りに対しても常に謙虚な姿勢を忘れることがなく、彼女を日ごろからサポートする石田大輔コーチをはじめとした“チームひな”に対しては感謝の言葉が発せられる。

銅メダルに輝いた3位決定戦後も左手首の怪我への苦しみを明かしつつ、「JOCの皆さんであったり日本の皆さんが支えてくれた」と言葉を残した。1日1日の卓球に取り組んできた日々を点と点で結んでいくなかで、石川さんが話していた「卓球の魅力を伝える人としても素晴らしい選手」の答えがそこにはあるような気がした。

■今できるプレーに徹してつかんだ表彰台

24歳で迎えたパリ五輪の舞台は早田にとって、当初描いていたシナリオではなかったかもしれない。

前回の東京五輪で金メダルに輝いた水谷隼・伊藤ペアのバトンを受け継ぐ形で、張本智和(智和企画)と参戦した混合ダブルスだったが、初陣では北朝鮮ペアに敗れてまさかの初戦敗退。女子シングルスでは準決勝までたどり着いたものの、孫穎莎(中国)との大一番を前に無念の負傷となった。「金メダルを目指していたけどまさか神様にこんな意地悪されるとは思わなかった」と言葉を発した通り、女王相手に100%の状態で挑むことは叶わなかった。

それでも、今大会好調を維持していた申裕斌と戦った3位決定戦では、準決勝に続いて怪我の影響もありバックハンドでの鋭さが影を潜めたなか、フォア中心の攻めやつなぎのラリーなど、今できる卓球に徹して銅メダルをつかみ取った。試合後にSNSを通して祝福の言葉を贈った前回のメダリスト、伊藤のバトンを引き継ぐ形で、早田が日本女子のエースとしての仕事を一つ果たした。

ここからは女子団体へ進んでいくなか、早田は怪我を抱えた状態ながらも参戦を明言。平野、張本と組む女子の陣容は過去の日本女子チームと比較しても評価が高く、「打倒・中国」を果たしての金メダル獲得へも期待が膨らむ。初出場の五輪で紆余曲折を経ながらも進み続ける早田が、日本卓球界の顔としてさらなる1ページを加えられるか。

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