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シーズンも後半戦に突入し、優勝争いだけでなく個人タイトル争いも白熱している状況が続いている。史上初となる「指名打者でのMVP」を狙う大谷翔平投手に視線が集まるが、その他にも注目すべき選手が多数。
そんな中、ア・リーグで各スタッツ上位にいながらも、なかなか話題にならない強打者がいるのをご存知だろうか? それが、アスレチックスに所属するブレント・ルーカー外野手だ。
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■アスレチックス加入で開花、チームの顔に
ルーカーは2017年、ツインズからドラフト1巡目(全体35位)指名を受けMLB入りした29歳。2019年まではマイナーリーグでの出場が続いたが、プレミア12のアメリカ代表に選出されると3本塁打を放ちDHとしてベストナインに選出されるなど、順調な成長曲線を描いていた。
メジャーデビューは2020年。コロナ禍での短縮シーズンではあったものの、打率.316、OPS.960という成績を残し翌年以降の飛躍を期待させた。しかし、2021年は開幕をメジャーで迎えたものの怪我の影響もあり大きな不振に陥りマイナー落ち。打率.201でシーズンを終えると、2022年にトレードでパドレスに移籍した。パドレスでは2試合に出場のみと、全く力を発揮できなかったルーカーはそのシーズン途中に再びトレード要員となりロイヤルズへと移籍。ロイヤルズでは14試合に出場したものの、その年も打率.125、OPS.378と本来の実力を発揮できなかった。
2022年のオフに、ウェーバーを経てアスレチックスに移籍すると前年までの不調が嘘のように大活躍。自己最多の137試合に出場すると、打率.246、本塁打30本、打点69、OPS.817の成績を残し、夏には選手間投票で初のオールスター出場も果たしたのだ。
2024年シーズンも指名打者として、ここまで95試合に出場(8月1日時点)し、打率.293、安打102、本塁打26本、打点77、OPS.954と、チーム内ランキングを総ナメにする活躍を見せている。しかしながら、アスレチックスは勝率.409で現在ア・リーグ西地区最下位。ワイルドカード争いからも完全に脱落している状況となっている。昨年までエンゼルスに所属していた大谷のように、勝てないチームで打棒を振るってもその活躍があまり目に止まらず、スタッツとしては優秀なものの非常に“地味な”存在となっているのだ。
■打撃成績はリーグ上位にランクイン
実際にリーグ打撃ランキングでも、打率10位、本塁打6位、打点4位、OPSでも5位。ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手やフアン・ソト外野手といった強打者ひしめくア・リーグでも超優秀な成績を残している。ちなみに、打点に関しては大谷の76を超えている。メジャー全体で考えてもこの打撃スタッツは驚異的。十分すぎる成績を残しながら、今年のオールスター出場が叶わなかったのも、チーム状況含め“地味”な印象が強かったからなのだろうか?
アスレチックスは、夏のトレード市場では売り手となっており、すでにリリーフエースのルーカス・アーセグ投手をロイヤルズへ、今季9先発のポール・ブラックバーン投手をメッツへと放出し再建モードに突入している。そして主砲であるルーカーもトレード放出の噂が絶えなかったが、2027年シーズン終了までFAの権利がなくチームが比較的長期保有できることから、GMが放出を否定。今後もアスレチックスに残るだろう。
ポストシーズン進出が絶望のチーム状況の中、孤軍奮闘しているルーカー。今シーズン終了までどこまで成績を伸ばせるのか、隠れた強打者の活躍にも注目してみてほしい。
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