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オフの移籍市場は、昨季100勝を挙げたナ・リーグ西地区の強豪ドジャースが主役に。大谷翔平投手、山本由伸投手ら大物選手を次々と獲得し、4年ぶりの世界一へ向けて着々と準備を進めている。チャンスで確実に得点を挙げていく、豪華過ぎる上位打線はとりわけ魅力的だ。
ここでは“MVPトリオ”の一角、リードオフマンのムーキー・ベッツ内野手を公式データで読み解いてみたい。
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■抜群の安定感、10年間の通算OPSは.900ちょうど
ベッツは2014年レッドソックス時代にメジャーデビュー。中堅手、右翼手に加え、二塁手としてもプレーし、翌15年からレギュラーに定着。16年には打率.318、31本塁打、113打点、26盗塁、OPS.897と大活躍。初のオールスター出場、ゴールドグラブ、シルバースラッガーを獲得し、スーパースターの仲間入りを果たした。18年には打率.346で首位打者に輝き、ア・リーグMVPを初受賞。パンデミックによる短縮シーズン、20年にドジャースへ移籍後も安定した成績を残し続けている。
MLB公式のデータページ『Baseball Savant』でベッツの打撃指標を掘り下げると、目立った弱点が殆んど見当たらない。とりわけ速球系に強く、昨季はフォーシームが打率.309、得点期待値の変化を示す「Run Value(ランバリュー)」でも+19を記録。+20の大谷に次いで、メジャー全体6位にランクインした。さらには、シンカー(ツーシーム)が打率.360、カットボール.309、カーブ.429、スライダー.294、スプリット.364と隙がない。チェンジアップこそ.196と苦戦したが、2021年には.286、22年にも.306をマークしているため“苦手球種”に位置付けるのは早計だろう。
内外野複数のポジションを守れるのが魅力だが、今季は二塁手に専念させるとデーブ・ロバーツ監督が明かしている。かつてメジャー上位10%に入っていた俊足には衰えが見え、昨季は全体平均クラスのスプリントスピード(27.2フィート/秒)に。平均よりどれだけ多くのアウトをとったかを示す守備の指標、OAA(Outs Above Average)では右翼手で-1を記録、打球反応の指標にも徐々に陰りが出始めている。
今季32歳を迎えベテランの域に入るベッツだが、依然としてリーグ有数のリードオフマンであることに変わりはない。ロナルド・アクーニャJr.外野手のように、ひたすら足でかき回すタイプとも違うため、大谷が2番打者に座っても落ち着いて打撃に専念できるだろう。得点圏でもキャリア通算打率.329と勝負強く、この上なく頼もしい1、2番コンビを形成してくれそうだ。
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文●有賀博之(SPREAD編集部)