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米スポーツメディア「The Athletic」は28日(日本時間29日)、「空欄を埋めて:2024年のMLBは○○の年になる」という特集記事を掲載。球界関係者に○○にあてはまる言葉を選んでもらったところ、意外な答えが飛び出した。
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■山本由伸がスプリットブームを担う
「The Athletic」は年の瀬らしく、24年シーズンを占う企画を実施。「24年のMLBは○○の年になる」というお題で、複数の球界関係者に空欄を埋めてもらった。
記事は冒頭、同メディアが「23年は大谷翔平の年」だったと結論付けると、ある球団幹部は「それならここ最近はずっと大谷の年じゃないか」と切り返されたことを明かし、大谷のほかロナルド・アクーニャJr.やピッチクロックなど、23年シーズンに生まれた印象的なワードは選択肢から外す形で依頼したという。
その結果、さまざまな返答があったものの、同メディアがトップに取り上げたのは「24年はスプリットの年」というもの。この球種名で空欄を埋めたのは、主に現役投手たちだという。記事は「スプリットは今シーズン、注目の時を迎えるかもしれない。それはこのスポーツを一変させるブレイクスルーになる可能性がある」と指摘。そして、その“ブーム”をけん引するのが、ドジャースに加わった山本由伸だと主張した。
「メジャーで1球も投げたことのない彼が、先発投手として史上最高額の契約を結んだのには理由がある。我々のスタッフによれば、ヤマモトはMLBの先発投手の中でも最高のスプリットを投げると予測している」と記した。
各種データを扱う「Statcast」によれば、山本のスプリットは平均35インチ(約88センチ)ほど落差があり、平均球速もWBCでは90マイル(約145キロ)を記録。記事は「このような投手はいない」と称賛した。
■大谷の影響か……使い手が徐々に上昇
スプリットはボールを人差し指と中指で挟んで投げ、ホームプレート近くで落ちる球を指す。メジャーでは同じく落ちる球であるフォークと区別することは少ないが、日本ではフォークより球速があり、落差の少ない球をスプリットと表現することもある。
80、90年代のメジャーで一世を風靡した球種だったが、その後肩や肘への負担がささやかれ、スプリットの使い手は減少。先述の「Statcast」によると、23年シーズンの全投球数におけるスプリット使用率はわずか2.2%となっている。しかし、ここ数シーズンはずっと1%台だった数字が徐々に増加し、今季は2%台に乗せた形だ。
再び脚光を浴び始めた理由の1つに大谷翔平投手の登場があると言われている。6月に「Yahoo Sports」が「なぜスプリッターがタブーから試したいボールへと変わる可能性があるのか」と題して特集を組んだ。その中で、ブルージェイズのケビン・ガウスマン投手が「スプリットで三振を取るオオタニの姿が頻繁に取り上げられ、そのボールを試したいという思いが高まっている」とコメントしていた。
メッツ千賀滉大投手の「お化けフォーク」も機能しており、大谷や千賀のボールを見たメジャーの投手たちもスプリットを持ち球に加えようとする機運が高まっているようで「24年はスプリットの年」となる可能性がある。
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(SPREAD編集部)