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サッカー日本代表はキリンチャレンジカップ2試合を戦い、15日は豊田スタジアムでエルサルバドル代表と対戦し6-0、20日には吹田スタジアムでペルー代表と戦い4-1で快勝。第2期森保ジャパンでの初勝利を含む2連勝と最高の形でこのシリーズを終えた。2試合で10ゴール、さまざまなメンバーが起用された中で、チームとして機能性を示した収穫ある戦いとなった。
◆【実際の映像】三笘薫から久保建英へつないだ黄金ホットライン 左足で狙いすましたコントロールショット
■久保は1得点2アシストの活躍
今シリーズ、森保一監督は[4-3-3]を基本システムに採用し、初戦のエルサルバドル戦には、前線に今季ベルギーリーグで22得点を挙げた上田綺世(セルクル・ブルッヘ)を起用。左ウイングには三笘薫(ブライトン)、右ウイングには久保建英(レアル・ソシエダ)というイングランド、スペインで最多得点記録を更新した2人を配置し、中盤にも堂安律(フライブルク)、旗手玲央(セルティック)という所属クラブで存在感を示した選手たちを並べた。
そんな中、傑出した働きをみせたのがラ・リーガで9ゴールを挙げ、レアル・ソシエダを欧州チャンピオンズ・リーグに導いた久保。これまでは23試合出場1得点、日本代表で目に見える数字が残せず、不完全燃焼気味だったレフティだが、この試合では前半立ち上がりにフリーキックから谷口彰悟(アル・ラーヤン)の先制弾を演出。さらに、25分には左足で狙いすましたゴールを沈め代表2点目。後半にも中村敬斗(LASK)の代表初得点を技ありアシストするなど、1年間スペインで戦いきった自信を覗かせ、代表でも主役を演じた。
この試合ではカタール・ワールドカップのメンバー入りを逃した旗手や古橋亨梧(セルティック)も起用され、スコティッシュ・プレミアリーグで得点王とMVPに輝いた古橋は、73分にサイドからのクロスに頭で合わせ結果を残した。このゴールを演出した相馬勇紀(カーザ・ピア)は、本来のサイドハーフから一列下げたサイドバックでテストされるなど、既存の戦力を最大化させる新たなチャレンジにも取り組んだ。序盤からのゴールラッシュで試合が決したこの試合の90分を有効活用できた意味は大きい。
■右サイドで傑出した働きの伊東と菅原
森保監督は2試合目のペルー相手には先発に古橋を起用し、左に2戦連続で三笘、右には伊東純也(スタッド・ランス)というウインガーを配置。左利きでタメを作れる久保や堂安とは異なり縦に速い仕掛けを持ち味とする伊東は、もともとのスピードに加え、今季移籍したリーグ・アンを経験したことでフィジカル的にもたくましさを増した。得意の右からのクロスで古橋に合わせるシーンも度々見られ、ポストプレーを得意するタイプではなく、裏への抜け出しや駆け引きを得意とする古橋を有効活用するにあたり、伊東の存在感は絶大であった。
この2連戦で先発出場を果たし、3月シリーズからは4戦連続右SBでスタメン出場した菅原由勢(AZ)も触れておきたい。ペルー戦では代表初ゴールを決めた伊藤洋輝(シュツットガルト)、2点目を決めた三笘の左サイドに焦点が当たったが、それを支えたのが菅原。右サイドでビルドアップの起点になり、鎌田大地(フランクフルト→フリー)、三笘へとつなげた2点目や、伊東と組んだ右サイドでは外、内とポジションを巧みに使い分け、鎌田を含めた3人で崩すシーンも見られた。守備にも奮闘し、右サイドの新たなキーマンになることを予見させた。
また、インサイドハーフで先発した鎌田は中盤での絶妙なポジショニングや周りを活かす細やかなパスで及第点の働き。第1期森保ジャパンにおいては「トップ下」というイメージが強く[4-3-3]に布陣が変更になったカタールW杯の最終予選ではメンバー外も経験したが、フランクフルト最終年ではボランチとして新境地を開拓し、自己最多の9ゴール。イタリアの名門ミラン行きも噂される背番号8は選手としての幅を広げ、ダブルボランチの一角、トップ下、インサイドハーフ、いずれでも高レベルで対応できる選手へと進化を遂げた。
■9月にはアウェーでドイツと対戦
エルサルバドル戦とペルー戦で6人スタメンを変えながら、いずれも高い機能性を見せた日本代表。そんな中で目立ったのが所属クラブでコンスタントにレギュラーを張った選手たちのパフォーマンス。三笘、久保、伊東といった攻撃の選手はもちろん、守備でも新たに主将に就任した遠藤航(シュツットガルト)は局面で後退せずにボールを奪いきる貫録のプレーを見せ、2年ぶりに代表復帰した中村航輔(ポルティモネンセ)は、ポルトガルでレギュラーを掴んだ勢いそのままに安定したシュートストップを見せた。
10得点1失点という結果だけでなく、内容も伴う完勝劇を見せた今回のシリーズ。カタールW杯での経験を経て、所属クラブで進化を遂げた選手や、メンバー外になった悔しさを糧に結果を残し続けた選手など、それぞれが「個の力」を高めた上で、日本代表というチームでその力を最大化させてみせた。9月にはカタールW杯以来の再戦となるドイツとの一戦を控えた中、確かな上積みを感じさせた第2期森保ジャパンは、ここからさらなる進化を見せるのか。
◆【実際の映像】三笘薫から久保建英へつないだ黄金ホットライン 左足で狙いすましたコントロールショット
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文●井本佳孝(SPREAD編集部)
【#キリンチャレンジカップ2023 🇯🇵 #日本 🆚 #エルサルバドル 🇸🇻】
⏰前半25分
エリア内で三笘がカット→久保が左足でゴール!日本3点目!💪
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