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ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平は今季、投手として5勝2敗、防御率3.30をマークし、依然としてサイ・ヤング賞レースの一角に名を連ねている。米スポーツメディア『ESPN」は6日(日本時間7日)、「投手・大谷」が飛躍し続ける理由を分析し、公開した。
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■同僚は「投手がダメなら打者で成功」と確信
記事は冒頭、メジャー移籍直後の「投手・大谷」を回顧。2018年オープン戦で大量失点を喫し、周囲が投手としての能力に懐疑的な目を向けた。当時の女房役マーティン・マルドナード(現ヒューストン・アストロズ)が最も気になったのは「失点したことよりも球速だった」という。100マイル(約161キロ)の速球を投げ込むと言われ、鳴り物入りで入団した二刀流が、渡米当初は90マイル(約145キロ)台前半さえ超えることができなかった。
それでもマルドナードは、大谷の打撃練習を見て「投手がダメなら外野かDHをやればいい、と伝えたんだよ」と笑い、やがて本塁打王争いの常連になる打撃に度肝を抜かれたと振り返った。
結果的に「投手・大谷」に対する心配は不要だった。記事は「日本のボールよりも滑りやすいMLB使用球に慣れ、日本よりも傾斜がきついと言われるマウンドにも順応。さらに、乾燥しているキャンプ地アリゾナから離れると、またたく間に別人になった」と記した。
■成功要因1つめ「ピンチで上げるギア」
記事は続けて投手として成功した要因を厳選し、3つ挙げた。
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エンゼルスの大谷翔平(C)ロイター/USA TODAY Sports
その1つが「特別なギア」だという。記事は「大谷の投球は常に圧倒的だが、いざという時のために余力を残しているようだ。彼が投げる直球の平均球速は、無死または一塁にランナーがいる時で97マイル(約156キロ)だが、得点圏に走者がいる場合は98.5マイル(約159キロ)に上昇する」とし、ピンチを迎えるとギアが一段アップする数字を紹介。球速を上げ、ピンチを切り抜けることで長いイニングを投げられるようになったことも指摘した。
■成功要因2つめ「多彩な球種」
2つめは「多くの球種を持っている」こと。当初はフォーシーム、スライダー、スプリッターを中心に時折カーブを混ぜる程度だったが、その後カッターとシンカーを追加。さらにスライダーの中でも、今季多投しているスイーパーと呼ばれる水平方向に大きく曲がる武器も手に入れた。
記事によると「それらの球種においても、それぞれ頻繁に球速を変化させ、曲がり具合も操作している」と分析。一例として、今季は92マイル(約148キロ)以上のカッターを27球投じたが、同じカッターでも88マイル(約142キロ)以下も26球投げていると紹介。そのほか、68.1マイル(約109キロ)のボールを投げた試合で、101.2マイル(約163キロ)のボールも投げたとし、ふり幅の大きい緩急にも着目した。多彩なボールを操ることができ、「特に追い込まれた打者は、これだけ多くの球種をさまざまな形で投げられると考慮すべきことが多すぎる」と指摘した。
■成功要因3つめ「スイーパー習得」
そして、最後の3つめが「スイーパーのマスター」。先述したように今季多投しているボールで、平均17インチ(約43.2センチ)ほど水平方向に曲がり、変化量は昨季より3インチ(約7.6センチ)ほど大きくなっており、曲がり幅はホームプレートとほぼ同じになっているという。スピードもこの球種としては異例ともいえる80マイル(約129キロ)台半ばから後半で投げ、今季96個の三振のうち49個をこの球種で記録している。
データ分析を扱う『Sports Info Solutions』によると、スイーパーは2021年から22年にかけてメジャーで5番目に価値の高い球種だったという。
スイーパーは最近、痛打されるケースが目立つ。ただ、先述のマルドナードが「彼は毎年、新たな学びを得て、どんどん良くなっているように感じる」と話していたように、進化を続ける大谷なら修正を施し、再び最強の武器とするはずだ。
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文●SPREAD編集部