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「ノジマTリーグ 2022-2023シーズン」は26日、代々木第二体育館でプレーオフ女子ファイナルが行われ、木下アビエル神奈川と日本生命レッドエルフが対戦。2-3で日本生命レッドエルフは敗れ、5連覇を逃した。
◆「最後は疲労が出た」伊藤美誠、Vマッチでの敗戦に責任背負う 「成長しないといけない」と今後見すえる
■帰国直後に挑んだプレーオフ
2018年から在籍する日本生命レッドエルフのエースに君臨してきた早田ひなと、今季から加入した伊藤美誠。日本代表では“みまひな”ペアでダブルスを組む最強コンビが挑んだTリーグのプレーオフだが、その身体は満身創痍と呼べるものであった。
海外遠征からの帰国直後に挑んだ22日のセミファイナル後に早田は、「伊藤選手と私がいるから外から見たら強そうに見えるけど、シンガポールから帰ってきたばかり。万全な状態でやれば強いけど、万全の状態で試合ができない中で勝っていかなければいけない」と、世間から持たれるイメージとのギャップについて語っていた。
また、三冠に輝いた1月の全日本選手権以降の体調面にも言及。「全日本が終わってから3回くらい体調が悪くなってしまって、全日本がマックスだとしたら落ちている感覚がある。それでもスポーツ選手はどんな状況でも戦わないといけない」と語り、ファイナル後には「自分の人生の中でもどうしようもないくらいの時期を経験して、初めて卓球がやりたくないというより、できないかもと思うくらい自分が追い込まれていた」と率直な想いを明かした。
■初めて挑んだTリーグの舞台
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日本生命レッドエルフの伊藤美誠 撮影:SPREAD編集部
一方の伊藤は、セミファイナル後に「自分たちはまだ(シンガポールから)帰ってきて2日くらい。私は昨日少し練習できましたが、この頑張って試合をした感じがよかったのかなと思います」とタイトなスケジュールについて言及し、「今日はいっぱい寝れそうです」と気丈にふるまった。
それでも、ビクトリーマッチで敗れた木下アビエル神奈川とのファイナル後には、「自分自身、悔しい気持ちが強いです。Tリーグというルールで1年間やらせてもらって、(ビクトリーマッチは)もちろん1ゲームなのでちょっと違う気持ちというか、相手も攻めてくるというまた違った中で最後は疲労が出たなと思います。全部終わって、ドーンときたという感じです」と語り、敗戦のショックも相まって責任を感じた様子を見せていた。
世界ランキング上位に位置する日本の両エースは、各国でのツアーに参戦しながら国内でのTリーグの日程もこなしてきた。また、2024年のパリ五輪への出場とメダル獲得も期待される2人の心身に蓄積する疲労とプレッシャーは計り知れない。
それでも早田は、「勝っても負けてもずっと応援してくださるファンの方々のために私たちはやっていかないといけない」と語り、伊藤も「緊張感の中でやることが自分の中で大切なことで、そこは自分自身を成長させないといけない」と自身に言い聞かせた。
周りの期待を一身に背負い、日本のトップ選手として戦い続ける2人。22歳のダブルエースが背負う苦悩が垣間見れたシーンであった。
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取材・文●井本佳孝(SPREAD編集部)