
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、侍ジャパンの14年ぶり3度目の優勝で幕を閉じた。大会史上最多の13打点をマークし、“陰のMVP”とも称された吉田正尚は、早くもボストン・レッドソックスのキャンプ地に舞い戻り、メジャー1年目の開幕に向けて準備を始めた。
■「メキシコ戦の同点3ランは最高」とレ軍指揮官
◆連覇逃した米国がリベンジ誓う 2026年大会にはアーロン・ジャッジも参戦へ

侍ジャパンの吉田正尚(C) Getty Images
吉田は、WBC全7試合に出場し、打率.409、2本塁打、出塁率.531をマーク。13打点は大会新記録となり、外野のベストナインにも選ばれた。大会MVPこそ大谷翔平に譲ったが、途中から4番を務めるなどチームへの貢献度は高く、“陰のMVP”と呼ぶ声も多い。
好成績で大会を終えた吉田は、休む間もなくレッドソックスのキャンプに再合流。記者会見中だったアレックス・コーラ監督は、不意に現れた吉田を見つけると会見を中断。英語で「疲れた」とつぶやく吉田を呼び止め、ハグをかわした。レッドソックスの公式Twitterは、その様子を「WBCチャンプとしてキャンプに乗り込む」というコメントとともに、アップした。
コーラ監督はWBCを通じて、吉田の高い能力を再認識したようで、「大会を見ていて、ほかの日本の選手には失礼になるかもしれないが、吉田がMVPだと思う。特にあの打席(メキシコ戦の同点3ラン)は最高だった」と称賛。特にボールを捉えるミート能力に関しては「まるでイチローのようだ」とし、レジェンドの打撃技術に重ねて賛辞を贈った。
■「素晴らしい選手なのは間違いない」

レッドソックスでは1番打者として期待される吉田正尚(C)Getty Images
さらに「忍耐力もある」とし、「基本的に早いカウントから打っていくが、追い込まれると逆方向へ軽打したり、粘って四球を選んだりすることもできる。また、左翼から捕殺(メキシコ戦・8回)を決めた守備も含めて、全部が全部とは言わないが、素晴らしい選手であることは間違いない」とべた褒めだった。
レッドソックスと吉田が5年総額9000万ドル(約124億円)で契約を結んだとき、懐疑的な目を向けるメディアやファンもいた。しかし、今では「レッドソックス、復活の望みは吉田にかかっている」「レッドソックスは吉田のクリーンナップでの活躍に期待している」(いずれもBOSTON.com)という見出しが並んでいる。
WBCでの勢いをシーズンにつなげたいところだが、果たしてどうか。メジャー1年目の戦いに注目が集まっている。
◆侍ジャパン世界一記者会見に無職・杉谷拳士が乱入 大谷翔平に自分を「覚えてほしい」と懇願
◆“怪物アーチ”を放った村上宗隆を米メディアも称賛「メジャー移籍なら熱狂的な争奪戦」
◆2013年侍ジャパン・鳥谷敬が振り返るハイライト 「大谷選手の表情がすべての魅力」
文●SPREAD編集部