【WBC】第1回大会プレーバック レジェンド・イチローと世界の王が勝ち取った初の世界一 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【WBC】第1回大会プレーバック レジェンド・イチローと世界の王が勝ち取った初の世界一

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【WBC】第1回大会プレーバック レジェンド・イチローと世界の王が勝ち取った初の世界一
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野球の世界一決定戦「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC」WBC)が3月8日、いよいよ開幕する。待ちに待った6年ぶりの大舞台、MLBに革命をもたらした大谷翔平ら新時代のスーパースターたちが、母国の威信をかけて世界最高峰の激闘に挑む。

待ち受けるのは、歓喜か絶望か。はやる気持ちを抑えつつ、まずは過去の名場面を振り返り、来るべき日に備えよう。

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■日本版ドリームチーム結成

第1回WBC開幕前の記者会見に臨む谷繁元信、王貞治、イチロー、松坂大輔(2006年2月28日) (C)Getty Images

田中将大と斎藤佑樹が甲子園決勝で壮絶な投げ合いを演じた2006年、世界戦略を目論むMLBが主導権を握り、WBC第1回大会が開催される運びとなった。日本代表の指揮を執るのは、世界の王貞治。当時、ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜は出場を辞退、イチローとの共闘こそ実現しなかったものの、上原浩治松坂大輔らプロ野球の精鋭が集結したドリームチームには誰もが心躍らされたことだろう。

日本代表は、第1ラウンドで韓国に逆転負けを喫するも、2勝1敗の2位通過。第2ラウンドでアメリカ、メキシコ、韓国と準決勝進出の2枠をかけて争うことに。アレックス・ロドリゲスデレク・ジーターケン・グリフィJr.ロジャー・クレメンス。圧倒的な存在感を放つMLBオールスター軍団。死闘を極めたアメリカとの一戦と言えば、あの忌まわしい記憶が鮮明によみがえる。

■世界の球史に刻まれた「世紀の大誤審」

第2ラウンド初戦、対アメリカ。両者譲らず同点で迎えた8回表のワンプレーが、この試合の運命を大きく左右する。1死満塁、岩村明憲がレフトへ浅いフライを打ち上げ、三塁走者の西岡剛がタッチアップ。勝ち越しのホームを踏むも、離塁が早いとバック・マルティネス監督からの抗議を受け、球審のボブ・デービッドソンが判定を覆したのだ。

「ボーキング・ボブ」。度々不可解なボークを宣告するため、皮肉を込めてつけられたデービッドソンのあだ名は、彼の難儀な性格をよく表していた。MLBの審判は自己主張が強く、ベテランになるほど傲慢な判定で試合をコントロールしようとするきらいがある。西岡に落ち度はない。繰り返しリプレーが流され、世界中に真実が晒されても判定が変わることはなく、日本代表の決勝点は幻と消え、9回裏にサヨナラヒットを浴び力尽きた。

アメリカの、アメリカによる、アメリカのための大会と揶揄され、中立国の審判を立てなかった弊害も論じられた。デービッドソンの愛国心がもたらした過ちなのかは定かではないが、掴みかけた大金星がこぼれ落ちたことだけは、紛れもない現実であった。

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■絶体絶命から世界一へ

大会2度目の韓国戦にも敗れた日本代表は、いよいよ窮地に追い込まれる。

「アメリカが格下のメキシコに勝てば終わり」。

もはや神に祈るしかない絶望的な状況で、思いもかけない幸運が転がり込んだ。アメリカがメキシコに敗れ、全勝の韓国以外3チームが1勝2敗に。失点率で勝る2位の日本代表が生き残ったのだ。日本戦で誤審に救われた開催国アメリカは、主力選手の調整不足が露呈し、韓国とメキシコに連敗。あえなく第2ラウンドで姿を消した。

その後、日本代表は準決勝で韓国との3度目の対決に勝利。大会序盤から波に乗れなかったイチローが復調し、決勝でもダメ押し適時打を含む2安打の活躍。絶望の淵から這い上がり、悲願の頂点を掴み取った。大会最後の打者になったのは、のちにDeNAやアストロズでプレーするキューバの至宝、ユリエスキ・グリエル。国際戦略を推し進めるMLBが、アメリカのためにアメリカで立ち上げたWBC。決勝に進んだのは、皮肉にも、メジャーリーガーがひとりもいないキューバと第2ラウンドで唯一アメリカに敗れた日本代表だった。

写真は2006年、ワールドベースボールクラシックで投げる松坂大輔(C)Getty Images

こうして、記念すべきWBC第1回大会は日本代表の優勝で幕を閉じた。全8試合で3敗を喫したものの、終わってみれば、出場国トップのチーム打率.311/本塁打10/盗塁13を記録。守れなかったアメリカ、打てなかった韓国、別グループの優勝候補ドミニカ共和国や、決勝で相対したキューバよりも、投打において秀でていた日本は世界一に相応しかったと言える。

上原浩治、松坂大輔、薮田安彦、和田毅、藤川球児、岩村明憲、西岡剛、川崎宗則、福留孝介、青木宣親。奇しくも、代表メンバーの殆んどが、その後MLBへと羽ばたいている。世界の頂を駆けあがった矜持が、彼らを新たな舞台へ導いたのかもしれない。

そして、王者として臨む第2回大会へ。授けられた”侍ジャパン”の名のもとに、再び激闘の記憶は紡がれていく…。

■第1回大会・侍ジャパン戦績

【第1次ラウンド】日本 18-2 中国 ○日本 14-3 台湾 ○日本 2-3 韓国 ●

【第2次ラウンド】日本 3-4 アメリカ ●日本 6-1 メキシコ ○日本 1-2 韓国 ●

【準決勝】日本 6-0 韓国 ○

【決勝】日本 10-6 キューバ ○

優勝

■第1回大会表彰選手

【最優秀選手】松坂大輔(日本)

【優秀選手】投手:松坂大輔(日本)投手:ヤデル・マルティ(キューバ)投手:朴賛浩(韓国)捕手:里崎智也(日本)一塁手:李承燁(韓国)二塁手:ユリエスキ・グリエル(キューバ)三塁手:エイドリアン・ベルトレ(ドミニカ共和国)遊撃手:デレク・ジーター(アメリカ)外野手:イチロー(日本)外野手:李鍾範(韓国)外野手:ケン・グリフィーJr.(アメリカ)指名打者:ヨアンディ・ガロンボ(キューバ)

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文●SPREAD編集部

《SPREAD》
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