【リーグワン】新型コロナに翻弄される新シーズンは第5節まで終了 交流戦の展望と注目はこの選手 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【リーグワン】新型コロナに翻弄される新シーズンは第5節まで終了 交流戦の展望と注目はこの選手

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【リーグワン】新型コロナに翻弄される新シーズンは第5節まで終了 交流戦の展望と注目はこの選手
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1月に開幕した国内ラグビーの新リーグ「リーグワン」は、シーズン第5節までが終了した。これで6チームずつが所属するA、Bカンファレンスの総当たり戦5試合が終了したことになる。この後、2月19日から別カンファレンスのチームとの交流戦6試合があり、最後にもう一度、同カンファレンス内の総当たり5試合が行われる。

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■開幕戦からコロナに翻弄される不運

前半戦は、またしてもコロナに翻弄されてしまった。華々しく開幕するはずだった1月7日のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ埼玉パナソニックワイルドナイツのオープニングゲームをはじめ、ここまでの30試合中9試合が中止となってしまった。試合前夜遅くに中止が決まるなど、混乱もあった。まさに出鼻を挫かれたといえる。

複数の試合が中止になったことで、決勝トーナメント進出も混沌としている。昨年は中止になった試合は引き分け扱いで両チームに勝ち点2が与えられたが、今シーズンは中止の原因となったチームは0、相手はボーナスポイントも含めた5点と得失点で21点が与えられる。ただし、中止の原因が両チームだった場合は、共に勝ち点と得失点は0点となる。また、不可抗力による中止の場合は、両チームに勝ち点2が与えられるが、得失点は両チームとも0点になる。さらに、実施試合数が半分以下になった場合は、全チームによるトーナメント戦で順位を決定することも10日に発表された。

プレーオフトーナメントに出場できるのは、全12チームを勝ち点順に並べて上位4チームだけ。優勝候補筆頭のワイルドナイツは不戦敗2つで出遅れ、3勝2敗、勝ち点14で5位。このままいけば4位以内には入りそうだが、再び感染者が出るとどうなるか分からない。

■前半首位は東京サンゴリアス

前半戦を終了して首位に立っているのは、5戦全勝(1不戦勝)、勝点23の東京サンゴリアス。 選手層の厚さで抜け出た印象だ。特にNo8、ショーン・マクマーンの活躍が際立つ。豪代表ワラビーズに復帰した27歳は生き生きとプレーをしている。期待のダミアン・マッケンジーはトヨタヴェルブリッツ戦で本領を発揮、果敢にラインに参加してボールに触り続けた。しかし、第4節は欠場、第5節も後半12分からの出場に止まった。ぜひ、フル出場してほしい。

そのサンゴリアスをノーサイド寸前まで苦しめたのがブラックラムズ東京。後半35分に松橋周平のトライで33-29と再逆転し、金星が目の前に。ところが、その1分後、SOアイザック・ルーカスのパントを途中出場のプロップ、祝原涼介がチャージすると、そのボールがそのまま祝原の手にすっぽり収まってしまった。前半戦でもっとも印象に残ったシーンだった。そのままトライがされ、惜しい試合を落とした。

ブラックラムズは、センターにメイン平、FBにマット・マッガーンという布陣が機能し、ヴェルブリッツ戦も19-23と健闘した。不戦敗1つがもったいなかったが、後半も面白い試合を見せてくれそうだ。

■デュトイ、ディアンズのプレーに注目

2位につけているのが、スピアーズ。プロップのポジションを取ったトンガ出身のオペイ・ヘルの突進が目を引く。ジャパンのキャプテン、ピーター・ラフスカフニをはじめ、マルコム・マークスルアン・ボタヘル・ウヴェと突破力自慢のフォワード陣に、また一枚、タレントが加わった印象だ。

3位のヴェルブリッツは、サンゴリアス戦に8-50と大敗したものの、東芝ブレイブルーパス、ブラックラムズと好調の2チームを下して勝ち点を重ねた。実力を発揮しているのが、南アフリカ代表のピーターステフ・デュトイだ。ラックに入るスピード、低いタックル、バックフリップでのオフロードパスと、世界最高選手にふさわしいプレーを連発している。ブレイブルーパス戦では17タックル、3ターンオーバーと働いた。デュトイを追っているだけで観戦が楽しい。金髪が目印だ。

ブレイブルーパスも久しぶりに元気のいいラグビーを展開している。注目したいのが、ロックのワーナー・ディアンズ。流通大柏から加入した19歳で、すでにジャパンのキャップも持っている。201センチの長身でラインアウト、ジャッカルで存在感を示している。また、摂南大出身のウイング、ジョネ・ナイカブラのランも魅力的だ。

■“ポスト福岡堅樹”は竹山晃暉か

シャイニングアークス東京ベイ浦安イズラエル・フォラウも存在感ではトップクラス。コベルコ神戸スティーラーズ戦で大活躍して勝利に貢献した。ここまで体が大きいフルバックは稀で、サンゴリアスのマッケンジーと対照的。シャイニングアークス対サンゴリアスは3月20日。フルバック対決が楽しみだ。

追い上げが期待されるワイルドナイツの注目選手はフランカーの福井翔太。東福岡高校から直接、入団し22歳ながら5年のキャリアを持つ。後半は出場機会が増えそうだ。福岡堅樹の後継者の座を掴みそうなのが、昨年の新人賞、竹山晃暉。3試合の出場で5トライとブレークしている。華奢な体格も偉大な先輩を彷彿とさせる。マリカ・コロインベテとのウイング・コンビは相手チームの脅威だ。

トーナメント戦出場を巡る見どころは、ワイルドナイツ、サンゴリアス 、ヴェルブリッツ、スピアーズの昨年の4強に、ブレイブルーパス、スティーラーズが挑む構造。台風の目としてブラックラムズを挙げたい。いずれにしても、コロナで試合が中止にならないことを祈る。

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著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。

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