【ボクシング】42歳パッキャオ、2年ぶり復帰戦の行方は…急遽対戦のウガスは“遅咲きの実力者” | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【ボクシング】42歳パッキャオ、2年ぶり復帰戦の行方は…急遽対戦のウガスは“遅咲きの実力者”

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【ボクシング】42歳パッキャオ、2年ぶり復帰戦の行方は…急遽対戦のウガスは“遅咲きの実力者”
  • 【ボクシング】42歳パッキャオ、2年ぶり復帰戦の行方は…急遽対戦のウガスは“遅咲きの実力者”

WBAウェルター級休養王者であるマニー・パッキャオ(フィリピン)のファンは若干複雑な心境だろう。予定されていたWBC・IBF世界ウェルター級王者エロール・スペンス・ジュニア(米国)とのタイトルマッチが、スペンスの網膜裂孔のためにキャンセル。急遽、アンダーカードに名を連ねていたWBAウェルター級スーパー王者ヨルデニス・ウガス(キューバ)が“代役”として出場することになったからだ。


◆【実際の映像】2年のブランクを感じさせない“バキバキ”の仕上がり、パッキャオが自身のInstagramで公開した調整の一部始終


■パッキャオ復帰戦は思わぬ展開に…


この一戦は8月21日(日本時間22日)に、ラスベガスのT-モバイル・アリーナでWBAスーパー世界ウェルター級タイトルマッチとして実施される。スペンス戦はボクシング界における今年一番の大勝負になるはずだった。


ウガスも当初予定されていた対戦相手のファビアン・マイダナが練習で負傷。同じ興行のメインイベントと準メインでキャンセルが発生したが、偶然にも同級でのカードという事で対戦が決定した。


パッキャオ・ファンにとってみれば、最強王者スペンスとの一戦はエキサイティングなカードだが、リスクが大き過ぎるとも感じていただろう。万が一、痛烈なKO負けを喫すれば、ラストファイトとなる可能性もあったからだ。


その点、ウガスは与し易い。このマッチ後も現役を続行するかはまだ分からないが、勝利の確率は高くなったはず。一方で、多くのファンにとっては落胆の一言といえよう。ただでさえ少ないビッグマッチの延期・中止は残念でならない。


■代役・ウガスはクレバーなアウトボクサー


対戦相手は変わったが、パッキャオの試合が見られるのはラッキーと考えたい。しかし、一番ラッキーなのはウガスではないか。


初防衛戦の相手がパッキャオとは、まさに“棚ボタ”。残り試合がカウントダウンに入っているパッキャオとの対戦は、通常では組まれるはずもない。もし、勝利すれば一躍名前が売れる。


パッキャオとウガスには、ある因縁がある。2019年7月のキース・サーマン戦以来、試合をしなかったパッキャオに対し、WBAは2021年1月、パッキャオをスーパー王者から休養王者に格下げした。


それにともなってスーパー王者に格上げされたのがウガスだった。パッキャオにとっては、自分が持っていた“スーパー”の称号を取り戻すチャンスでもある。


ウガスはキューバ出身の35歳で、戦績は26勝(12KO)4敗。北京五輪で銅メダルを取った後、アメリカに亡命してプロの道を選んだ。当初はスーパーライト級で試合をしていたが、連敗しキャリアを2年間中断。そこで出会ったのが、名トレーナーのイスマエル・サラスだった。サラスは、長身ボクサーにウエルター級への転向を進言し、以来、世界タイトルに手が届くまでの実力をつけた。


2019年3月、ショーン・ポーターへの初挑戦は議論を呼ぶ1-2の判定で惜敗したが、2020年9月、アベル・ラモスとの王座決定戦を2-1で制して念願のベルトを巻いた。ベタ足で速いステップワークはないが、手足の長さを生かしたクレバーなアウトボクシングを展開する。身長で9センチ低いパッキャオ相手なら、体格差を生かしてポイントアウトする作戦に出るだろう。


なお、前述のポーターは、ウガス戦の半年後にスペンスと王座統一戦を行い、1-2と際どい判定に持ち込んでいる。その力関係からいえば、ウガスもスペンスにそう劣らない実力があると言える。また、代役出場が多く、それらにことごとく勝利して道を切り拓いてきたという一面も見逃せない。


■拳を信じて突き進んできた両者、勝負の行方は…


一方、約2年のブランクがあるパッキャオは、7月初めにロサンゼルスに入り、トレーナーのフレディ・ローチと共に調整を積んできた。公開された動画を見る限りスピーディーで、42歳の年齢を感じさせるものではない。


最後に試合の予想だが、この相手ならパッキャオがベルトを取り戻すとみる。今までの戦ってきた相手に比べれば、一発の怖さはない。距離を詰めて強い左ストレートを叩き込むはずだ。願わくば、この試合をステップにキャンセルとなってしまったスペンスとの対戦を実現させ、ボクサーとしてのキャリアを最強と呼ばれる相手で完結してほしい。


パッキャオとウガスは、国は違えど自分の拳を信じて貧民街から抜け出してきたという共通点がある。ウガスにとってはまさにヒーローだ。「偉大なるパッキャオと戦えることを光栄に思う。心の底から彼を尊敬している」とコメントしている。レジェンドに胸を借りるつもりで、思い切りのいいボクシングを期待したい。


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著者プロフィール


牧野森太郎●フリーライター


ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。


22日当日の中継/放送/配信等の視聴方法





















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