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24日から国立代々木競技場で開幕を迎えるハンドボール。開催国として出場権を獲得した日本は、男子が88年ソウル大会以来33年ぶり、女子は76年モントリオール大会以来45年ぶりと、久々に五輪の舞台で戦う姿が見られる。
■激しいぶつかり合いも見られる“空中の格闘技”
ハンドボールは36年ベルリン大会(当時は11人制)で実施されたのち、72年ミュンヘン大会(女子は76年モントリオール大会)より正式競技として採用された。
歴代の金メダル獲得国は、男子がフランス、ユーゴスラビア、ソビエト連邦、クロアチアの2回、女子がデンマークの3回が最多と、競技人口が多く、人気も高い欧州が中心。日本は男女ともに76年モントリオール大会(男子9位、女子5位)が最高成績で、メダル争いには加われていない。
今大会は、男女各12チームが参加。6チームずつ2グループに分かれて1次リーグを行い、上位4チームずつが決勝トーナメントに進み優勝を争う。
ハンドボールのコートは、フットサルと同じ40メートル×20メートル。両チーム7人で対戦し、1人がGKで、6人がドリブルやパスなどでボールをつなぎゴールを狙う。
ボールを持ったまま4歩以上進むと反則になり、シュートはゴール前6メートルのゾーン外からしか打つことはできない。選手交代は無制限で、時間は前後半各30分、同点の場合は、前後半各5分の延長戦が行われる。
素早いパス回しと空中戦が見どころだ。正面からの接触は反則とならないため、“空中の格闘技”と言われるような、激しいぶつかり合いが度々見られる。
欧州をはじめ、大柄な体格の外国勢が有利で、スピードとチームプレーを武器とする日本が、彼らにどこまで対抗できるか注目だ。
■TikTokで話題の“レミたん”こと土井レミイ杏利が主将
ハンドボール男子日本代表は、通称“彗星(すいせい)ジャパン”。今年1月の世界選手権では、強豪クロアチアと好試合を演じて引き分け、24年ぶりの1次リーグを突破を果たした。2次リーグ(メインラウンド)で、王者デンマークに敗れたものの、粘り強い戦いを演じ、成長を感じられる試合だった。
14名の選手を束ねるキャプテンが土井レミイ杏利。19年までフランスでプレーし、現在は日本リーグで活躍。TikTokでは、ニックネーム“レミたん”で人気を博し、フォロワー数は約240万人と、ハンドボールの認知向上に貢献している。
20年1月のアジア選手権で最優秀選手に輝いた東江雄斗が司令塔。エースとして期待される吉野樹や、22歳の部井久アダム勇樹といった若手選手も多く選出され、世界とどこまで渡り合えるか注目だ。
1次リーグはB組に入り、初戦がデンマーク、2戦目がスウェーデンと、いきなり強豪国との対戦が決まった。そのほか、ポルトガル、エジプト、バーレーンとのグループになり、決して楽な戦いではないが、4位以内に入って決勝トーナメント進出が目標。世界王者と互角の勝負を演じて波に乗りたいところだ。
■女子は海外で活躍する池原、藤田が中心
ハンドボール女子日本代表は、通称“おりひめジャパン”。19年の世界選手権では10位と健闘し、その時のメンバー11名を含む14名が代表に名を連ね、再び旋風を巻き起こす算段だ。
キャプテンの原希美は、高校時代から日の丸を背負って約15年、日本の看板選手としてチームを引っ張ってきた。19年11月には右膝の前十字靱帯を断裂する大けがに見舞われたが、不屈の闘志で代表に復帰した。
ハンドボールの本場、デンマークの強豪オーデンセに所属する池原綾香や、ルーマニアでプレーする藤田明日香らが日本のキーマン。1次リーグはA組に入り、初戦は19年世界選手権の覇者オランダと戦う。そのほか、モンテネグロ、ノルウェー、韓国、アンゴラと同組。
先日の「JAPAN CUP in 甲州」で16年リオ銀のフランスに20-41で大敗するなど、まだまだ世界の壁は厚いが、予選グループ突破が第一目標だ。
東京五輪では地の利を生かして旋風を巻き起こし、“彗星ジャパン”“おりひめジャパン”が日本を席巻する展開になることを期待したい。
◆彗星JAPAN、強豪相手に「歴史的」な引き分け ハンド国際連盟も善戦を高評価
文・SPREAD編集部
■ハンドボール日本代表 予選ラウンド日程・対戦相手
彗星(すいせい)ジャパン
7月24日(21時30分)男子予選ラウンド – グループBvs. デンマーク
7月26日(21時30分)男子予選ラウンド – グループBvs. スウェーデン
7月28日(14時15分)男子予選ラウンド – グループBvs. エジプト
7月30日(11時00分)男子予選ラウンド – グループBvs. バーレーン
8月1日(9時00分)男子予選ラウンド – グループBvs. ポルトガル
おりひめジャパン
7月25日(9時00分)女子予選ラウンド – グループAvs. オランダ
7月27日(9時00分)女子予選ラウンド – グループAvs. モンテネグロ
7月29日(14時15分)女子予選ラウンド – グループAvs. 韓国
7月31日(9時00分)女子予選ラウンド – グループAvs. アンゴラ
8月2日(21時30分)女子予選ラウンド – グループAvs. ノルウェー