【Dリーグ】THE GREAT HEART of“8ROCKS” ブレイキン世界一のISSEI率いる熱き魂 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【Dリーグ】THE GREAT HEART of“8ROCKS” ブレイキン世界一のISSEI率いる熱き魂

新着 ビジネス
【Dリーグ】THE GREAT HEART of“8ROCKS” ブレイキン世界一のISSEI率いる熱き魂
  • 【Dリーグ】THE GREAT HEART of“8ROCKS” ブレイキン世界一のISSEI率いる熱き魂

1月10日の開幕から、ファーストシーズン最終の12ラウンドを終え、7月1日のチャンピオンシップを待つばかり、いよいよ大詰めを迎えた日本発のプロダンスリーグ第一生命 D.LEAGUE」。

この、まさに決戦となった12ラウンドの前週、総合結果から見事“チャンピオンシップ”への切符を手に入れた、「これぞブレイキン!」と毎回膝を打つ、目の覚めるような演技でブレイクダンスの本流を突き進むKOSÉ 8ROCKSのトップダンサーにしてディレクターであるISSEIへのインタビューが叶った。

■“スーパーB-BOY”のISSEIとは……

ブレイキンが正式種目となる2024年開催予定のパリオリンピック。「金メダルを期待される男」との異名を持ち、D.LEAGUE開幕以前からブレイキン界にその名を轟かすISSEI(1997年生れ)は、6歳からダンスを始め、2012年に世界大会のひとつである「R16 KOREA」のソロ部門優勝を皮切りに同大会で3連覇という偉業を果たしている。

その後の快進撃も枚挙に暇なく、続く2016年には、ロサンゼルスで行われた「Freestyle Session World Final」の3 vs 3部門で、チームメイトのRYO-FLOWWINGZEROと共に日本人として初の優勝を勝ち取り、その翌月には、日本の愛知県で行われた世界最高峰の1on1ブレイクダンス・バトル・トーナメント「Red Bull BC one World Final」で日本人初、且つ、世界最年少での優勝を果たす等、とてつもない偉業を次々に成し遂げている“スーパーB-BOY”だ。「ダンス界のイチロー」、はたまた「ブレイキン界の羽生結弦」とでも言えば、ダンスに疎いという方々にもその凄さをイメージしていただけるだろうか。

前回のUSEN-NEXT I’moonのインタビュー時と同様に、取材前夜、幾度となく8ROCKSの動画を再生して演技に魅入られた筆者の頭の中は、彼等が繰り広げる、同じ人間の業とは思えない超高速のヘッドスピンを始めとするパワームーブ、そして、しなやかな鋼のような肉体が繰り広げる“組み技”が目まぐるしく展開しつづけ、それらを踊る8人のダンサーに、まさしく”ROCK”(雰囲気を支配)されたまま約束のスタジオに向かった。が、しかし、そこへ現れたISSEIは、一般的に人々が“B-BOY”と聞いて連想するような尖がり感や突っ張り感は一切ない爽やかな自然体で、突出した一流のエンターテイナーやスポーツ選手だけが持つ、身体のどこにも余分な力が入っていないリラックスした空気を纏っていた。

■最年少チームディレクターとしてD.LEAGUEに参加

8ROCKSのメンバーは、そんなISSEIが昨年の8月にオファーを受けてD.LEAGUE最年少のチームディレクターに就任し、「どんなダンサーとなら、思い描くような理想のブレイキンが踊れるのか。有名ダンサーを集めればいいのか、自分達の特徴でもある“組み技”をするためにも、互いの動きの分かる信頼できるダンサーがいいのか……、色んなことを考え抜いて決めました。」という、選りすぐりのダンサー達だ。

「ブレイクチーム『九州男児新鮮組』や『FOUND NATION』で子供の頃から一緒にやってきたり、海外遠征に行って気心が知れたメンバー達です。女性ダンサーと組むということも決めて。それまでは男ばっかりで“野郎”の世界で踊ってきましたが(笑)。4人いる女性も、B-GIRLとして凄いスキルを持っていて、世界的にもトップレベルで男性にも引けをとらないほどのダンサーです。そんな女性ダンサーも含めて、全員が自分を持っていて、スキルを持っていて、ステージで皆がメインになれて、誰が真ん中に来ても成り立つチームだと思っています。」

そんなISSEIの言葉の通り、8ROCKSの演技はハイスピードの大技が、本当にどこから飛び出してくるのか分からない、とびきり素敵なおもちゃ箱のような刺激に満ちている。ダンサーが1人ずつフューチャーされるときも、数人が合わせて繰り出すときも、そしてもちろん全員が一気に揃えて踊るときも、文字通り、息もつかせぬ迫力と躍動感で、観ていると嬉しくて元気がでて、思わず腰を浮かしてしまう自分がいることに気がつく。

8ROCKSの通常の練習は平日夜と土日の日中。D.LEAGUEの現ルールでは、ファーストシーズン期間は2週間隔で違うショーケースを制作し、踊り込んで試合に臨むという過酷なまでのルーティンが12回続く。通常のショーケースであれば、1年に1本、多くても2本というのが、これまでの“ブレイクダンサーの常識”だろう。

「シーズン中は身体だけでなく頭もかなり使うので、休み無しでこなしていくのはもちろん厳しいです。でも、このコロナ禍でも、ダンスができるという悦びがありがたいです。ダンスが踊れるから、どんなにきつくても、ずーっと充実しています。嬉しくて達成感があります。」と笑う。

■身体的にも精神的にも自分に嘘をつかない

ROUD.10で躍動するKOSÉ 8ROCKSのISSEI ©D.LEAGUE 20-21©D.LEAGUE 20-21

そんな日々の中で、ISSEIが大事にしているもの、そして8ROCKSが描く未来像はどんなものだろう?

「“生活がダンス”なので、身体的にも精神的にも自分に嘘をつかない、ということを心がけています。ONとOFFをしっかり分けて、でも、常に自分らしくいること。あとは、仲間がいるから自分がやっていけるということ、一人では何もできない、皆がいるから出来るんだってことを忘れないようにしています。実際、チームは本当にアットホームな雰囲気です。メンバー全員がお互いのモチベーションが上がるようにどんどん意見を出し合いますし、言いたいことを言い合える信頼感がちゃんとあって、本当にいいチームだなぁといつも思っています。」

「8ROCKSの未来像としては、もちろんまずは目指すはD.LEAGUEでの優勝。そして自分もそうですが、3年後のパリオリンピックへの出場です。そして、日本でブレイキンをもっと身近なものにしていきたい。まだまだ踊ることにちょっと照れてしまう人達にも楽しんでもらえるような。そして皆に“8ROCKSっていいよね”と思ってもらいたい。そして、世界では、“日本でブレイキンといったら8ROCKSだよね”と言ってもらえるようになっていきたいです。」

ゆくゆくは8ROCKSとして、ダンスだけでなく、演劇などの違う分野にまで挑戦していくことも思い描いていると言う。輝く瞳で未来を語る彼の、明るく大らかなバイブレーションは、柔らかく力強く、かならずや大きな波を巻き起こしてくれるのでは?という予感をもたらしてくれた。

7月1日のチャンピオンシップでの、ISSEI率いる8つの熱き魂“8ROCKS”の健闘はもちろん、先日、「日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部」の強化指定選手にも選出された彼の、今後の活躍から目が離せない。カリスマ性と王者の風格を携えて、更なる躍進を遂げてゆくことを心から祈りたい。

◆踊る情熱が、熱風に変わるとき avex ROYALBRATS、迷いなきパフォーマンスでDリーグ3勝目

◆レガシーを感じさせるブレイキン“ど真ん中”の誇りと共に ブレイキンを昇華させたKOSE 8ROCKS 

◆Dリーグ唯一のガールズチーム「I’moon」が描く未来図 「夢の選択肢を増やしたい」

著者プロフィール

Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー

《SPREAD》
page top