若手台頭で盛り上がる日本女子ゴルフ界 世界で活躍する韓国勢に追いつけるか | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

若手台頭で盛り上がる日本女子ゴルフ界 世界で活躍する韓国勢に追いつけるか

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若手台頭で盛り上がる日本女子ゴルフ界 世界で活躍する韓国勢に追いつけるか
  • 若手台頭で盛り上がる日本女子ゴルフ界 世界で活躍する韓国勢に追いつけるか

女子ゴルフの24日付最新世界ランキングが発表され、稲見萌寧が前週からランキングを9つ上げて22位に浮上し、東京五輪代表圏内の日本勢2番手となった。


今回発表の世界ランキングで、日本勢トップは14位の畑岡奈紗、2番手が22位の稲見萌寧。前週2番手だった古江彩佳が3番手の26位に、渋野日向子は4番手の29位に後退している。


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■ランク上位は韓国勢の独占続く


若手選手の台頭で、活況を呈す日本女子ゴルフ界。しかし、世界基準に照らせば、リードするのは、おとなりの韓国の選手たちだ。今回の世界ランクでは、1位はコ・ジンヨン、2位はパク・インビ、3位はキム・セヨンと、韓国勢3人がトップ3を維持した。7位にもキム・ヒョージュが入っており、トップ10のうち、実に韓国勢が4人占めている。


韓国勢の強さを強烈に印象付けたのは、最近で言えば2017年の第72回全米女子オープンだっただろうか。優勝したのは、韓国の23歳、パク・ソンヒョンだった。そのパク・ソンヒョンと優勝争いを演じ、2位となったのは、同じく韓国人のチェ・ヘジン。彼女は当時、17歳の高校生アマチュアだった。3位にもハー・ミジョンユ・ソヨンの韓国勢が入るなど、上位10選手のうち8選手が韓国人だった。


■国家的支援で若手育成


では、韓国の強さはどこにあるのか。一番の礎はやはり、ジュニア育成が国家的なプロジェクトになっていることだろう。優秀な選手を国家代表として選出し、育成サポートするシステムができている。選出された若きゴルファーたちは、国からトレーニング面や資金面で手厚いサポートが受けられるのだ。


資金面では、用品代や合宿費、試合出場のために必要な費用などを韓国ゴルフ協会が負担してくれる。自身を取り巻く経済環境に左右されることなく、ゴルフに打ち込めるのは大きいだろう。


トレーニング面に目を向けると、代表選手は強化合宿に参加でき、スキルアップの指導だけでなく、フィジカル強化の指導も受けられる。そして、その合宿期間は年間の3分の2にも及ぶと言われている。日本で「学業と両立しながら……」というのとは、レベルが違う。良くも悪くも、文字通り“ゴルフ漬け”の青春を送るのだ。


■松山、渋野の優勝がきっかけになるか


韓国女子の強さの秘密を探ると、もう一つの理由として、あるエポックメイキングな出来事を挙げる関係者も多い。1998年の全米女子オープンで、韓国勢として初めて朴セリが優勝したことだ。


これにより、韓国でゴルフブームが起こり、朴セリに憧れる女子ゴルファーが増加、選手層の底上げにつながったという。例えば、日本でもおなじみの申ジエイ・ボミなどは「朴セリキッズ世代」と言われている。さらに、その申ジエが2009年には米賞金女王になるなど良い流れが続き、現在に至っている。


日本でもゴルフ協会主導でジュニア育成の支援を行っているが、韓国のように国を挙げてというほどのものではない。とはいえ、今年絶好調の稲見のように、よりゴルフに集中するために高校は通信制を選択するなど、ゴルフに懸ける若者は増えている。また、2019年の全英女子オープンを制した渋野日向子が、朴セリのような存在になり、将来的に「シブコ世代キッズ」が出てくるかもしれない。もちろん、男子の松山英樹がマスターズで優勝したことも、ジュニアゴルファーの増加・スキルアップの呼び水になるかはずだ。


日本ゴルフ界が盛り上がっている今だからこそ、ブームで終わらせないための継続的なプロジェクトを発足させるチャンスかもしれない。


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文・SPREAD編集部

《SPREAD》
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