【天皇賞・春/穴馬アナライズ】ディアスティマに妙味なし、あえて差し・追込を狙いたくなる混戦・春盾の展開予想 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【天皇賞・春/穴馬アナライズ】ディアスティマに妙味なし、あえて差し・追込を狙いたくなる混戦・春盾の展開予想

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【天皇賞・春/穴馬アナライズ】ディアスティマに妙味なし、あえて差し・追込を狙いたくなる混戦・春盾の展開予想
  • 【天皇賞・春/穴馬アナライズ】ディアスティマに妙味なし、あえて差し・追込を狙いたくなる混戦・春盾の展開予想

6週連続GIの口火を切るのが、第163回を迎える天皇賞・春。例年、京都で行われた伝統の一戦は同競馬場の整備工事のため、今年は阪神芝3200mで開催される。


近年、長距離レースは敬遠されがちにあり、GI馬の出走は2019年の菊花賞を制したワールドプレミアと、2016年のダービー馬マカヒキの2頭のみ。いずれも1年以上も勝利から遠ざかっている。


上位人気を形成するのは、前走の阪神大賞典で重賞2勝目を挙げたばかりのディープボンド、その阪神大賞典で7着と大敗した前年の菊花賞2着馬アリストテレス、前述のワールドプレミア、同コースの松籟Sを勝ったディアスティマ、GIで善戦を続ける牝馬カレンブーケドールとなる。


前日オッズで上位人気の単勝オッズ1桁台は5頭と「主役不在」の大混戦。


過去に一度しか施行例のない阪神芝3200m(外→内回り)という舞台も、ファンを悩ませる一因で、それは同コースの3勝クラスを勝ち上がったばかりのディアスティマが上位人気に支持されていることからも見て取れる。


そこで今回は「混戦」をテーマに、天皇賞・春を攻略する。


◆【天皇賞・春/穴馬3頭】混戦の春盾を断ち切る単勝50倍超えの穴馬、目下充実の古豪を猛プッシュ


■単勝オッズ1桁台が多数の年は波乱


「混戦」に明確な定義はないものの、ここでは


・単勝オッズ1桁台が5頭以上・1番人気の単勝オッズが3倍以上、かつ単勝オッズ1桁台が4頭以上


とする。過去10年の天皇賞・春において、上記に該当するケースは5度あった。


▼「混戦」該当年


・2019年(単勝1桁台:5頭)└優勝:フィエールマン(2.8倍)└1人気:1着フィエールマン(2.8倍)


・2018年(単勝1桁台:5頭)└優勝:レインボーライン(6.0倍)└1人気:2着シュヴァルグラン(3.0倍)


・2016年(単勝1桁台:5頭)└優勝:キタサンブラック(4.5倍)└1人気:12着ゴールドアクター(3.8倍)


・2015年(単勝1桁台:4頭)└優勝:ゴールドシップ(4.6倍)└1人気:7着キズナ(3.3倍)


・2011年(単勝1桁台:4頭)└優勝:ヒルノダムール(16.9倍)└1人気:13着トゥザグローリー(3.1倍)


上記5年を「混戦」、それ以外の5年を「非混戦」とした場合、馬連と3連単の平均配当は以下のようになる。


▼馬連・3連単の「平均値」


・「混戦」└馬連:7,168円└3連単:145,926円


・「非混戦」└馬連:14,730円└3連単:366,902円


一見すると「非混戦」のほうが荒れているが、これは2012年に単勝万馬券、3連単100万馬券を演出したビートブラックが大きく引き上げたもの。平均値ではなく、中央値で改めて数値を見ると、


▼馬連・3連単の「中央値」


・「混戦」└馬連:6,060円└3連単:189,840円


・「非混戦」└馬連:3,190円└3連単:111,830円


となり、レンジこそ狭いもののベースとしては「混戦」のほうが配当期待値が高いのがわかる。もちろんこれは人気が分散するからであり、当然の結果と言えるが、一方で人気通りには決着しないことを示している。


「混戦=荒れる」、当然のことかもしれないが、これはレースの展開にも影響が出てくると言えるだろう。ここからは騎手心理を考察していきたい。


■前掛かりになりやすいレース展開


まず「混戦」と「非混戦」の連対馬の1コーナー通過順に注目してみた。道中、中団以降に控えていた馬の成績を並べてみると、


▼1コーナーを中段以降で通過


・「混戦」└1着:3頭└連対:5頭


・「非混戦」└1着:1頭└連対:2頭


直近の「混戦」である2019年は、出走頭数13頭に対し、勝ち馬フィエールマンは1コーナーを7番手で、2着のグローリーヴェイズは9番手で通過していた。つまり「混戦」は「非混戦」と比較して、後方待機勢に有利な展開になりやすいということだ。


これは「騎手心理」が大きく関係する。「非混戦」の場合、有力馬をマークする戦術がスタンダードである。その結果、互いに牽制し結果的に仕掛けのタイミングが遅れ、前がそのまま残ってしまうケースもある。


先に挙げたビートブラックの年は顕著で、1.3倍と圧倒的な人気を背負ったオルフェーヴルの出方を各馬が窺っていたため、伏兵の逃げ切りを許してしまったのだ。


逆に「混戦」の場合、各陣営とも色気を持ってレースを組み立てる。それにより意識は前掛かりとなり、先行集団には苦しい消耗戦となる。実際、過去5年の「混戦」で逃げ切ったのは2016年のキタサンブラックのみで、1コーナー通過順は前述の2019年フィエールマンの7番手を筆頭に、レインボーラインは10番手、ゴールドシップは14番手、ヒルノダムールは9番手だった。


■ディアスティマが台頭するシーンではない


今年の天皇賞・春が行われる阪神芝3200mは、外→内回りコース。直線は外回りの473.6mより約117mも短い356.5mとなる。加えて、試行レースとして組まれた2月の松籟Sで、ディアスティマの逃げ切りVとくれば、おのずと前掛かりの競馬になるはずだ。


馬券を買うファンも「逃げ・先行」に飛びつきたくなるだろうが、すでにそのディアスティマが単勝8倍台。3勝クラスを勝ち上がったばかりの馬としては過剰人気と言ってしまっていいオッズで、完全に妙味はなくなった。


ディアスティマが台頭するシーンは、後方に「主役」が待機し、自身が「伏兵」として主導権を握れる展開だろう。オルフェーヴルが後方で伸びあぐね、ビートブラックが逃げ切ったあの年の展開でこそ買える馬と言える。


前日オッズで1番人気に支持されている先行馬ディープボンドも、実績からすれば押し出された人気。むしろ「差し・追込」には実績を見れば人気落ちと言っていい馬が多く、たとえば日経賞3着で復調気配を見せる2年前の菊花賞馬ワールドプレミアには、重い印を打つべきと見る。


さらに長距離実績を加味すれば“買い”の盲点は潜んでいるはずだ。


■今年の相手なら展開次第でアタマまで


まず妙味たっぷりと言えるのが、昨年の天皇賞・春で2番人気4着だったユーキャンスマイル。前走の阪神大賞典では、上がり最速をマークしながらもディープボンドの出し抜けを食らって2着まで。


しかし、鞍上が初騎乗ということもあり、いかにも前哨戦といったレースで、ここで連続騎乗できるのは頼もしい。3着の菊花賞、1着のダイヤモンドSは上がり最速の差し切りV。長距離戦での末脚は確かなものがあり、今年のメンバー相手なら展開次第でアタマまであっていい。


続いて前走・阪神大賞典で3着健闘のナムラドノヴァン。得意ではない道悪で、さらにそれまで3着すらなかった右回りでの好走は、6歳ながら目下の充実ぶりを窺わせる。


3走前の中京・万葉Sで、自身初の3000m以上のレースに参戦し、いきなり1着。ダイヤモンドS4着、阪神大賞典3着と、近3走の安定したレースぶりからもマラソンランナーの資質は高く、長距離戦での末脚は確かなものがある。


最後に格上挑戦になるがディヴァインフォースの長距離適性も侮れない。2019年の菊花賞では今回人気のワールドプレミアに0秒3差の4着と健闘した。その後は条件戦で勝ち切れないレースを続けているが、常にラスト3Fは上位の末脚を繰り出している。


陣営も「展開待ち」を示唆しており、今週から復帰した“平成の盾男”武豊の手綱捌きに期待したい。


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著者プロフィール


山田剛(やまだつよし)●『SPREAD』編集長アスリートの素顔を伝えるメディア『SPREAD』の編集長。旅行・アウトドア雑誌のライターを経て、競馬月刊誌「UMAJIN」の編集長として競馬業界へ。その後、Neo Sports社にて、「B.LEAGUE」「PGA」「RIZIN」等のスポーツ×ゲーミフィケーション事業に携わり、現在に至る。競馬は、1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、盲点となる穴馬の発掘を追求し続けている。

《SPREAD》
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