先週の日経新春杯は1番人気のアドマイヤビルゴが10着に敗れ、格上挑戦だった7番人気のショウリュウイクゾが勝利。2着に13番人気のミスマンマミーアが入り、3連単96万1790円と荒れた。
今年の古馬重賞は波乱続きの予感がする。実際、年明けの古馬重賞で1番人気が制したのは、ここまで中山金杯のヒシイグアスのみで、
2021年古馬重賞の1着馬と1番人気馬
中山金杯 1着 ヒシイグアス(1人気)
京都金杯 1着 ケイデンスコール(12人気)
5着 シュリ(1人気)
愛知杯 1着 マジックキャッスル(2人気)
11着 センテリュオ(1人気)
日経新春杯 1着 ショウリュウイクゾ(7人気)
10着 アドマイヤビルゴ(1人気)
と、1番人気は【1-0-0-3】。せめて、2、3着の馬券内に入ってほしいところだが、散々な結果となっている。
例年、年明けの競馬は荒れる傾向にあるのだが、理由はシンプルに、実力馬は年内に出走して、年明けは休養に充てることが多いため。
とはいえ、今年はとくに大荒れ続きであり、古馬トップクラスが続々と引退したことも要因の一つではないか。
さて、今週日曜はAJCC(アメリカジョッキークラブカップ)と東海SのGII2鞍。荒れる古馬重賞とはいえ、過去10年で1番人気【5-0-3-2】の東海S、【2-3-0-4】のAJCCという数字を見れば、馬券的にはAJCCが面白い。
■過去の実績馬が得意条件で復活する
今年のAJCCは、昨年のクラシック路線を歩んできた明け4歳馬が中心となる。菊花賞で三冠馬・コントレイルをクビ差まで追い詰めたアリストテレス、弥生賞勝ちのサトノフラッグ、日本ダービー3着のヴェルトライゼンデらが出走。
しかし、過去10年、AJCCにおける4歳馬の成績は【1-4-3-10】で勝率わずか5.6%。5歳馬は【4-1-3-15】、6歳馬は【3-1-2-25】、7歳以上は【1-3-1-46】と、5歳以上の活躍が目立ち、4歳3強にも付け入る隙はありそうだ。
そもそも、実績のある4歳馬がAJCCに出走してくるケースが少ないのは事実。しかしながら、2019年には前年の菊花賞馬・フィエールマンが2着に敗れ、これを制したのは7番人気のシャケトラだった。
そのシャケトラをはじめ、単勝10倍以上の伏兵で好走した馬を見渡してみると、
2年以上前に重賞好走歴がある
非根幹距離の好走歴がある
というキーワードが出てくる。2019年7番人気1着のシャケトラは、2017年の日経賞(中山芝2500m)で1着、同年の宝塚記念(阪神芝2200m)でも4着と、非根幹距離での実績があったが、その後に怪我で長期休養。AJCCは7番人気の低評価を覆す勝利だった。
2018年8番人気3着のマイネルミラノは、2016年の函館記念(函館芝2000m)1着。ここは根幹距離だが、その後、重賞戦線では精鋭を欠きながら、2017年のオールカマー(中山芝2200m)は4着と、非根幹距離のレースで善戦していた。
2011年6番人気2着のミヤビランベリは、2009年のアルゼンチン共和国杯(東京芝2500m)1着。前走、1年ぶりの復帰戦となった中日新聞杯で18着と殿負けを喫し、AJCCは6番人気で挑んでいた。
■穴馬の好走条件に当てはまる伏兵3頭
中山芝2200mという特殊な舞台。加えて、前年の実績馬の出走が少ないここでは、過去に重賞実績がある古豪が、得意の非根幹距離で息を吹き返す、というパターンは想像がつく。
ここで狙ってみたいのが、2018年に重賞2勝の実績があるジェネラーレウーノ。休養前は2018年のセントライト記念(中山芝2200m)1着、2019年のAJCC(中山芝2200m)4着と、非根幹距離での実績が光る。加えて中山は【3-0-1-2】と得意の舞台で、復帰3戦目のここで復活は、過去の事例とドンピシャに当てはまる。
しかしながら、ジェネラーレウーノはいかにも穴人気しそうな存在のため、今回はもう2頭ピックアップ。
前年の宝塚記念3着と直近での好走はあるが、「非根幹距離の好走歴」を買ってモズベッロ。4勝のうち2勝が非根幹距離で、前述の宝塚記念のほか、昨年は日経賞(中山芝2500m)の好走歴もある。前走・外傷明けで急仕上げだった有馬記念の15着は度外視できる。
もう1頭、こちらは「2年以上前に重賞好走歴」という点でノーブルマーズ。2018年には目黒記念2着、宝塚記念3着と、非根幹距離の適性も申し分なし。近走は低調だが、それでも2020年の京都記念(京都芝2200m)4着、目黒記念(東京芝2500m)4着と、やはり非根幹距離になると善戦してくる馬。馬券の相手に入れておくと面白い。
著者プロフィール
山田剛(やまだつよし)●『SPREAD』編集長
アスリートの素顔を伝えるメディア『SPREAD』の編集長。旅行・アウトドア雑誌のライターを経て、競馬月刊誌「UMAJIN」の編集長として競馬業界へ。その後、Neo Sports社にて、「B.LEAGUE」「PGA」「RIZIN」等のスポーツ×ゲーミフィケーション事業に携わり、現在に至る。競馬は、1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、盲点となる穴馬の発掘を追求し続けている。
twitterアカウントはこちら⇒『SPREAD』編集長・山田