今週は阪神競馬場で2歳牝馬GI・阪神ジュベナイルF(芝1600m)が行われる。
無敗の三冠馬誕生、最強牝馬のラストラン勝利などドラマティックな結末が目立つ今年の秋。その流れを汲む馬として登場するのが白毛馬・ソダシだ。
世にも珍しい毛色でアイドル的人気を博す同馬。そこに「無慈悲」とも言えるデータの楔をあえて打ち込んでいく。
はたして史上初となる白毛のGI馬は生まれるのか? まずは2006年以降対象のデータ分析から浮かび上がったキーワードをご覧いただきたい。
1.白毛のアイドルホース・ソダシに死角はあるのか?
2.メイケイエールの鬼門は「勝ち馬ゼロ」の小倉2歳S勝ち馬
3.データが導く2020阪神ジュベナイルFの穴馬候補は?
■白毛のアイドルホース・ソダシに死角はあるのか?
特徴的な毛色を持つソダシ。一見すると人気先行型にも思えるが、その実力は本物。札幌2歳S、アルテミスSと重賞を連勝し無傷の3連勝で暮れの大舞台へと挑む。
タイトル奪取に向けた死角はあるのか? ここで取り上げたいデータはこちら。
・前走オープンクラスで2着に0秒3差以上をつけた1人気馬【2-2-0-0】
上記4頭の内訳は、
・アストンマーチャン
・ハープスター
・ソウルスターリング
・ダノンファンタジー
距離不安があったアストンマーチャン、初の関西圏だったソウルスターリングも強力データを味方に連対を確保。信頼度を測るリトマス試験紙のような役割を果たすデータと言えよう。
積み重ねた実績を踏まえたとき、ソダシの1人気は濃厚。それ以外のいわゆる「人気投票」が入る可能性が高い点も、上記データに該当するうえではプラスに働くのかもしれない。
■メイケイエールの鬼門は「勝ち馬ゼロ」の小倉2歳S勝ち馬
夏の小倉2歳Sを制し、世代上位グループへと躍り出たメイケイエール。
続くファンタジーSはやんちゃな部分を覗かせつつ勝ち切っており、能力は非凡。新種牡馬ミッキーアイルにGIのタイトルを届けたいところだが……逆風となるマイナスデータがこちら。
・小倉2歳S勝ち馬の成績【0-1-1-5】
1200mの距離が示すとおり、高いスプリント適性が求められる小倉2歳S。そのレースで証明したスピードが仇となるケースが多く、前述のアストンマーチャンもゴール寸前でウオッカの強襲に遭ってしまっていた。
なお、当時アストンマーチャンに跨っていたのは武豊。14年越しのリベンジを目論む名手に立ちはだかる壁は、データ面で捉えると非常に高いものと言わざるを得ない。
■データが導く2020阪神ジュベナイルFの穴馬候補は?
5年前には10人気馬の激走も見られた阪神ジュベナイルF。ここでは波乱の使者となりうる穴馬候補2頭をデータ面から取り上げたい。
<穴候補1 ジェラルディーナ>
未勝利を勝ち上がったばかりの参戦。重賞ウィナーが揃うここは厳しい戦いが予想されるが、そんな前評判を跳ね除けるデータがこちら。
・岩田康誠×石坂正×ノーザンファーム生産馬のGI成績【3-1-3-0】
好走のほとんどはジェラルディーナの母ジェンティルドンナによるものだが、2018年のNHKマイルCではレッドヴェイロンとのコンビで9人気3着と高配当を演出。母が制した阪神芝1600mのGI、軽くは扱えないだろう。
<穴候補2 インフィナイト>
穴馬と呼ぶにはやや人気寄りかもしれないが、この馬もデータ面での上積みが大きい馬だ。
・北村友一×クラブ馬×阪神芝×ノーザンファーム生産馬のGI成績【3-3-1-3】
ジェラルディーナの項と同じく、ノーザンファーム生産馬がデータ面で後押しする存在に。
北村友一騎手にとってクラブ馬×阪神芝×ノーザンファーム生産馬はアルアインでの初GI制覇、クロノジェネシスでの宝塚記念圧勝、そして昨年阪神ジュベナイルFのレシステンシア逃げ切り勝ちと相性抜群。好条件を追い風に2年連続勝利を狙う。
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。
twitterアカウントはこちら⇒田原基成@競馬ストーリーテラー
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