【競馬】香港国際競走 日本馬の可能性と外国馬の“穴”探し | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【競馬】香港国際競走 日本馬の可能性と外国馬の“穴”探し

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【競馬】香港国際競走 日本馬の可能性と外国馬の“穴”探し
  • 【競馬】香港国際競走 日本馬の可能性と外国馬の“穴”探し

今週は12月13日(日)に、香港のシャティン競馬場で香港国際競走が開催される。


今年はコロナ禍の影響で、日本からの遠征は少ないのでは、と思われていたが、フタを開けてみれば、香港カップ香港マイル香港スプリントの3競走に、計6頭が出走。連覇を目指す馬から、初の海外遠征など、個性的な面々が揃った。


ここでは、各レースに出走する日本馬に加え、海外の有力馬の情報や展望などを紹介していきたい。


■香港カップ ラストランのウインブライト、有終の美なるか


シャティン・芝2000m
発走:12/13(日) 17:30


8頭立てと少頭数ながら、実力伯仲で混戦模様の香港カップ。その中でも中心に据えたいのは、連覇を目指すウインブライト(牡6歳、美浦・畠山)だ。昨年は中山金杯、中山記念を連勝し、香港カップと同じシャティン競馬場の芝2000メートルで行われたクイーンエリザベスII世Cで、1分58秒81とレコードタイムをマークしてGI初制覇。国内の秋2戦は凡走したが、香港カップでは早め先頭から押し切る強い内容で香港GIを連勝。まさにシャティンの鬼と言えるだろう。


今年は中山記念で7着の後、蟻洞を発症し長期休養。復帰戦の天皇賞・秋は大敗したが、明らかに香港カップへ向けての叩き台で、結果は度外視していい。中間の調教では動きがガラリと一変し、天皇賞・秋の前とは雲泥の差。ここが引退戦となるが、集大成を見せられる状態にあると言えよう。同じように、ケガで長らく戦線を離脱していた主戦の松岡騎手が、この馬に合わせて復帰し、コロナ禍の中でも香港へ立って、この馬をエスコートできるのは心強い限り。ゲートも昨年と同様、8頭立ての大外8番枠に当たったのも吉兆だ。


対抗は同じ日本馬のダノンプレミアム(牡5歳、栗東・中内田)。昨年4月のマイラーズC以来、勝ち星は遠ざかっているが、今年4月には、オーストラリアのクイーンエリザベスSへ意欲的に遠征。不良馬場に泣き3着に敗れたが、見せ場十分の内容で、海外でもやれることを証明して見せた。ハイレベルだった前走の天皇賞・秋では、初めて逃げの手を打って4着に粘走。勝ったアーモンドアイをはじめ、難敵の上位3頭に食らいつく走りは、国内では上位レベル。コーナー4回の芝2000メートルは2戦2勝と得意としており、シャティンで2歳時以来のGI制覇の可能性は十分だ。


外国馬の筆頭は、やはり実績最上位のGI7勝馬マジカル(牝5歳、アイルランド・A.オブライエン)だろう。今年だけでもGI3勝、なかでも、アイリッシュチャンピオンS(GI・芝2000メートル)では、欧州年度代表馬のガイヤースを2番手でマークし、最後の直線で競り落とす圧巻の勝ち方で、見ごたえ十分の見事なレースだった。昨年、ウインブライトが2着に退けた、同厩のマジックワンドよりも格上の存在で、日本馬にとっては強敵。シャティンの硬い馬場への対応がカギとなり、少し評価は下げたが、軽視するわけにはいかない。


そのほか、3走前のゴントービロン賞(GIII・芝2000メートル)で、のちの凱旋門賞馬ソットサスに競り勝ったスカレティ(セ5歳、フランス・J.レニエ)や、昨年の香港カップで4着、今秋は2連勝中と勢いに乗り、着実に力をつけている地元香港のフローレ(セ6歳、香港・A.クルーズ)など、伏兵陣も多士済々。日本のノームコア(牝5歳、美浦・萩原)は、昨年は香港マイルに出走し4着。馬場を経験している点は強みだが、前走エリザベス女王杯での惨敗が気がかりで評価を下げたい。


■香港マイル 日本から唯一参戦、アドマイヤマーズの連覇に期待


シャティン・芝1600m
発走:12/13(日) 16:50


10頭立てと香港マイルも手ごろな頭数ながら、現役の香港最強馬、ゴールデンシックスティ(セ5歳、香港・K.ルイ)を筆頭に、強力なラインナップ。そんな中、日本から唯一参戦するアドマイヤマーズ(牡4歳、栗東・友道)の連覇を期待したい。


昨年は3歳馬として、レース史上初めて香港マイルを制したアドマイヤマーズ。ワイクク(2着)やビューティージェネレーション(3着)といった、香港マイル路線の中心的な存在を相手に、道中は5番手を追走し、直線では力強く伸びて差し切ったレース内容は、3歳馬離れした強い勝ち方だった。


今年は春の安田記念こそ6着に敗れたものの、秋はスワンSで3着、前走のマイルCSは、グランアレグリアの強襲に屈したものの、好位からしぶとく伸びて、見せ場十分の3着と内容は上々。富士S9着から臨んだ昨年に比べても、今年は崩れる面を見せず、叩き3戦目で定石通り状態は上がってきている。


昨年に比べてメンバーは強力になっているが、名手ライアン・ムーア騎手を配し万全の態勢。ゲートは大外10番枠となったが、スタートから3コーナーまで700メートル以上あるコースで、内目を見ながら十分にポジションを確保することができそうで、枠も有利に働きそう。日本馬初の香港マイル連覇へ向け、視界は良好だ。


アドマイヤマーズに立ちはだかるのが、通算14戦13勝、現在10連勝中の地元のエース、ゴールデンシックスティ。今春は香港3冠を達成し、秋も重賞3連勝で大一番を迎える。特に前哨戦の香港ジョッキークラブマイル(GII・芝1600メートル)は、勝ちタイムが1分32秒91と秀逸で、5歳を迎えた今がまさに充実期。地元の利を生かして、ここもアッサリ通過しても何ら驚けない。


欧州勢からは、ブリーダーズCマイル(GI・芝1600メートル)を制覇したオーダーオブオーストラリア(牡3、アイルランド・A.オブライエン)が不気味な存在。その前走は、繰り上がりの出走で単勝74.2倍と最低人気。不利な外枠からの発走で、しかも出遅れたにも関わらず、強引に4番手につけ、残り200メートル過ぎで先頭に立ち、そのまま押し切る強い内容だった。欧州勢は2011年以来3着以内に入っておらず、評価は3番手に下げたが、名門オブライエン厩舎が、追加登録をしてまでも参戦して来たところを見ると、軽くは扱えない。


そのほか、8歳でもまだまだ健在のビューティージェネレーションや、ワイククといった実力馬も侮れないが、香港ジョッキークラブマイルで、ゴールデンシックスティより5ポンドも重い斤量ながら、差のない3着に粘ったサザンレジェンド(セ8歳、香港・C.ファウンズ)を穴候補として入れたい。


■香港スプリント 手薄な今年は日本馬2騎の食い込みも


シャティン・芝1200m
発走:12/13(日) 15:40


過去5年、3着以内はすべて香港馬が独占しているように、香港スプリントは地元の独壇場。しかし今年は、17、18年覇者のミスタースタニングや、昨年覇者のビートザクロックが引退し、香港スプリント界は世代交代の真っ只中。まだ絶対的な王者はおらず、波乱含みの展開も期待できる。


レーティング1位で、ブックメーカーでも1番人気に支持されているクラシックレジェンド(セ5歳、香港・C.ファウンズ)が中心的な存在か。香港馬と言いつつ、前走まではオーストラリアに在籍しており、今回が移籍後初戦。まだGI未勝利だが、高水準のオーストラリア短距離路線で重賞3勝をマーク。前走は芝の世界最高賞金レース、ジエベレスト(GI・芝1200メートル)に出走し、2馬身半差で快勝と、能力の高さは折り紙付き。香港到着後しばらくは、本調子にはない状態だったようだが、復調していれば勝ち負けになるはずだ。


昨年の2着馬で、前哨戦の香港ジョッキークラブスプリント(GII・芝1200メートル)を制したホットキングプローン(セ6歳、香港・J.サイズ)が、スプリント界の新たなエースと目される1頭。ただ、その前走が2年ぶりの重賞制覇で、勝ちみに遅いところがあるため、頭勝負は危険な気もする。とはいえ、大崩れはないので、馬券の相手には指名しておきたい。


前哨戦2着のコンピューターパッチや、3着のラタンなど、展開次第では逆転の可能性も秘めており、香港勢は手広くチェックしたいところだが、やや手薄な今年のメンバーなら、日本勢の食い込みも考えられないか。出走する2頭のうち、上位に考えたいのはダノンスマッシュ(牡5歳、栗東・安田隆)のほうだ。


なかなかGIを勝ち切れない同馬だが、今年は重賞を3つ積み上げ、通算6勝をマーク。前走のスプリンターズSは、グランアレグリアにねじ伏せられたが、好位から器用に立ち回り、ハイペースの中2着に踏ん張って、スプリンターとしては国内上位の力を誇示して見せた。昨年も香港スプリントに参戦したが、出遅れが響いて8着に敗れた。とはいえ、勝ち馬からコンマ4秒と差のない結果を示しており、2度目の参戦で前進が期待できる。ムーア騎手が騎乗するのも心強い。


一方のGI馬タワーオブロンドン(牡5歳、美浦・藤沢和)は初の海外遠征。今春は3戦するも精彩を欠く内容で、立て直しを図っての今回が休み明け初戦。鉄砲は問題ないタイプとはいえ、海を渡っての強敵相手で、割引が必要と感じる。ただ、型にハマったときの末脚は強力なので、ウィリアム・ビュイック騎手がどんな手綱さばきを見せるのか注目したい。


著者プロフィール


山田剛(やまだつよし)●『SPREAD』編集長
アスリートの素顔を伝えるメディア『SPREAD』の編集長。旅行・アウトドア雑誌のライターを経て、競馬月刊誌「UMAJIN」の編集長として競馬業界へ。その後、Neo Sports社にて、「B.LEAGUE」「PGA」「RIZIN」等のスポーツ×ゲーミフィケーション事業に携わり、現在に至る。競馬は、1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、盲点となる穴馬の発掘を追求し続けている。


twitterアカウントはこちら⇒『SPREAD』編集長・山田


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