【MLB】「ジーター2世」とまで讃えられた加藤豪将、メジャーデビューなるか | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【MLB】「ジーター2世」とまで讃えられた加藤豪将、メジャーデビューなるか

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【MLB】「ジーター2世」とまで讃えられた加藤豪将、メジャーデビューなるか
  • 【MLB】「ジーター2世」とまで讃えられた加藤豪将、メジャーデビューなるか

2013年、ひとりの日本人がニューヨーク・ヤンキースにドラフト指名された。名は加藤豪将(かとう・ごうすけ)。カリフォルニア州マウンテンビュー(いわゆるシリコンバレー界隈)出身。リトルリーグから野球をはじめ、サンディエゴのランチョ・バーナード高校で打率4割をマークするなど活躍。

UCLAへの進学が決まっていたが、ヤンキースに2巡目全体66位でドラフトを受け入団した。同校は「マネー・ボール」で名高いアスレチックスのビリー・ビーンGMの出身校としても名高い。

アメリカ国籍を持つものの、日本人が全体100位以内でドラフトを受けたのは初めて。このため、ご記憶の野球ファンも多いだろう。それまでは田中将大の同期、鷲谷修也が2009年に14巡目、全体492位で指名されたのが最高位だった。余談だが昨年、鷲谷本人と杯を重ねるという僥倖を経験した。

≪文:たまさぶろ●スポーツ・プロデューサー、エッセイスト、BAR評論家≫

イチローに憧れ左打ちに

(c)Getty Images

加藤は190センチ近い長身とがっしりした体躯、2塁手であり、そのシュアなバッティングから「ジーター2世」とまで形容された。右利きながら、イチローに憧れ、左打ちに転向。高校時代は、全米ファーストチームに選出されたほど。日本人として期待しないわけにはいかない

加藤が入団した年、イチローがヤンキースに移籍。憧れの選手と対面を果たすも、MLBでの成績は順風満帆とはいかず、シングルAで思うような成績を残せず苦戦。2016年から2塁だけではなく、ユーティリティ・プレーヤーとして様々なポジションを経験。

2018年および19年には、ヤンキースの招待選手としてメジャーのキャンプに帯同するも、昇格はならず。それでも全内野のポジションに加え、外野もこなし昨季、傘下の3Aで83試合に出場打率.27939打点を記録した。

昨年、イチローの引退に際しては、ジーターの立ち上げたデジタルメディア「The Players’ Tribune(プレーヤーズ・トリビューン)」に「お疲れ様でした」の記事を掲出アスリートとしての矜持も覗かせた。

ドラフトからのメジャー昇格なら日本人初

シーズンオフ、残念ながらヤンキースを自由契約。気をもんでいたところ、マイアミ・マーリンズとマイナー契約を結んだ上、メジャーのキャンプに参加。マーリンズ・コミュニティ・サイト(SBNation)では、加藤の過去の成績を紹介し、「廉価な良い買い物だったかもしれない」と期待が寄せられている。

また、MLBの公式サイトでも、マーリンズの2塁手としても3番手予想されており、オープン戦で期待に応えることができれば、初のメジャー昇格が見えて来そうだ。

マーリンズの球団オーナーは、実はジーター。「ジーター2世」がそのチームでメジャー昇格を果たせば、それもひとつのストーリーとなる。

メディアのインタビューにも「ユーティリティ・プレーヤーとしてのプレーが自分の武器」と開き直り、さばさばとしながらも、今シーズンへの意気込みが感じ取られた。加藤は大谷翔平同い年。大谷の活躍を見せつけられたこの数年、憧れのイチローがメジャー通算3000安打を記録したチームで、輝きを見せるのか。

この春、生での観戦は難しいかもしれない日本の野球ファンは、その代わりと言ってはなんだが、フロリダで加藤の活躍に注目するのも悪くない。ドラフトから初メジャー昇格の日本人は誕生するのか……。

それが実現すれば、閉鎖的な日本球界にまたひとつの変革をもたらす出来事となるかもしれない。

(c)Getty Images

著者プロフィール

たまさぶろ●スポーツ・プロデューサー、エッセイスト、BAR評論家

『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨーク大学などで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。

MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。

推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。

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