パラトライアスロン・谷真海のストーリーを現代版歌絵巻に 向井秀徳がオリジナル楽曲を手がける | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

パラトライアスロン・谷真海のストーリーを現代版歌絵巻に 向井秀徳がオリジナル楽曲を手がける

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パラトライアスロン・谷真海のストーリーを現代版歌絵巻に 向井秀徳がオリジナル楽曲を手がける
  • パラトライアスロン・谷真海のストーリーを現代版歌絵巻に 向井秀徳がオリジナル楽曲を手がける

ブリヂストンは12月13日から動画コンテンツ「パラアスリート歌絵巻『風の谷真海』篇」をWEB上で公開。


本動画は「CHASE YOUR DREAM」というブリヂストンの思いのもと、パラトライアスロンの谷真海選手が障害を乗り越えて走り続ける力強いストーリーを、現代版歌絵巻として表現したもの。


楽曲は『NUMBER GIRL』『ZAZEN BOYS』のボーカル向井秀徳さんがこの動画のために手がけたオリジナル楽曲。イラストはオーストラリアのメルボルンを拠点に活動するアーティスト、アンドリュー・アーチャーさんが担当した。



特設サイトURL https://www.bridgestone.co.jp/chaseyourdream/utaemaki/


谷真海 コメント


―「風の谷真海」篇動画をご覧になっての感想はいかがでしたか?


谷真海選手(以下、敬称略):すごく新しいなって感じました。これまでパラスポーツを見たことがなかった人たちにも興味をもってもらえると思います。自分をイラストで描いてもらうことも初めてでしたが、浮世絵っぽいのが面白いですね。学生時代の細かいエピソードまで入った歌詞も、手の込んだ撮影も、想像以上のクオリティで驚きました。腕のナンバーも私の誕生日なのがすごく嬉しかったです。


子どもには「ママこんなに足早くない」と、言われてしまいましたが、とてもかっこいい動画になったので、ママの凄さを感じてほしいと思っています。通り名をつけられるのは初めてですけど、颯爽と走る感じがあって気に入りました。


―谷選手にとって夢に向かって挑戦すること(CHASE YOUR DREAM)とは?


:自分の中で、夢や目標のない人生はつまらないものだと思っていて、常に何かにチャレンジして感動や成長を感じながら生きたいと思っています。病気をして命と向き合ったからこそ、命を輝かせたいという思いがあって、人生の中で悔いを残したくないです。だから、日々を前向きに生きていけると思っています。招致活動から始まった私の挑戦も、来年の東京2020パラリンピックでいったんゴールを迎えます。どんな形で終わってもやり切ったと思えるように挑戦していきたいです。


谷真海 インタビュー


競技について


――競技の中で、自信のある動き、得意としている動きはありますか?


:オールマイティにこなしているところですが、まだまだトライアスロン3種目それぞれに対して、自信を持てる・得意だと言えるレベルにまで到達していません。1つずつで見ていけば、水泳や走ることに関しては苦手意識がありませんが、トライアスロンはすべての種目のバランスの上で成り立っているので、得意であることが競技に結びついていかないところが難しい競技だと思います。


――義足の特徴、競技のために特に強化した点があれば教えてください。


:走幅跳の時よりも少し柔らかい義足を使用しています。短距離とは走り方も違いますし、自分の走り方にあった義足を使用しています。


――競技中はどんなことを考えていますか? また、競技中一番気持ちがのるのはどんなシーンでしょうか?


:いつも、きつい競技だなと思っています。無事ゴールできれば、ということを考えていますが、とにかく必死です。前の選手が見えたら気持ちがのる、ということではなく、応援してくれる声が聞こえてくると、気持ちがのってきて頑張ろうと思います。


――沿道からのご主人と息子さんの応援はとても力になると思います。息子さんは競技中の谷選手の姿を見て、どんな声をかけてくれますか?


:「ママがんばったねー、ママ何番?」と、ゴールした後に聞かれます。でも、競技中の姿を見ての感想を話してくれるというより、とにかく競技中に沿道で大きな声を出してくれます。トライアスロンという競技のことも分かっていて、ママを応援する、ということをすでに理解してくれているのだと思います。


――特に印象に残っているレースはありますか?


:1つは2017年の横浜大会。直前のアジア選手権の後に体調を崩してしまい、試合に出られるかもわかりませんでした。日本での開催ということと、世界大会への初参戦のシーズンということもあったので、レース前まではヒヤヒヤしていましたが、家族のサポートもあって無事にゴール・優勝することができました。あの時の感覚は鮮明に覚えています。


2つ目は先日のスペイン・バニョラスでの大会です。今シーズンは、シーズンインのところからなかなかタイムが上がらず、思うようなレースができていませんでした。自分の中でモヤモヤと、「なんでだろう」という焦りもありました。


何よりも、東京2020パラリンピック出場に向けたポイント獲得が必要でありながら、結果に結びつかず良いレースができていませんでした。そのなかで、結果が出たことはもちろんですが、もう少し速くなっていくためのきっかけを掴みつつある、そんな中で結果を出せたレースだったので、今後も印象に残るものになると思います。何よりも、家族が応援にかけつけてくれたことも、自分の中ではとても思い出に残ると思います。


――2018年、東京2020パラリンピックに際してご自身のカテゴリーの実施が見送られると決まった時は、どのような気持ちでしたか?


:自分は何のために競技復帰を決め、何のために子どもと一緒に過ごす時間を削りながら競技をしてきたんだろう、もうこれ以上続けるのはやめたい、本当にもう競技からも離れたいと思いました。絶望の淵に落とされた感じでした。


そのニュースを聞いた直後に海外でのレースだったので、余計にそのレースはしんどかったです。帰国後に、すぐに子どもに会って、笑顔で迎えられたことが救いでした。


――今、競技に向かうモチベーションになったり、心の支えになったりしているものはなんですか?


:招致にも関わった東京2020パラリンピックに出たいという思いはあります。私はパラリンピックに救われたし、パラリンピックの神様がついているとも思ってます。


あとは、子どもにも自分が出場している姿を見て欲しい、家族や、私を支えてくれている人たちのためにも出場したいと思ってます。ロンドン2010パラリンピックのスタジアムが満員だったことを強く記憶しています。東京2020大会もそうあって欲しいし、自分もそこに貢献したいという思いは強いです。


――レースに際し、願掛けとして行っていることはありますか?


:願掛けは特にありませんが、家族の合言葉をいつも家族と言ってます。


Be Safe(まずは、無事にゴールまでたどり着くこと)


Have Fun(競技をやっているときは、楽しく!)


Go Fast(そして、やるからには速く!!)


私生活について


――暮らしの中で一番リフレッシュするのは、どのような時ですか?


:家族と過ごす時です。あとは、家でのんびりしたり、特別なことをしたりすることはありません。


それが、自分にとっての1番のリフレッシュです。遠征から帰ってきた後も、だいたいそんな過ごし方をしています。


――オリンピック招致の仕事に関わったこと、ご結婚され、息子さんが生まれたことによって、それぞれどのような心境の変化がありましたか?


:招致が終わった後は、自分を取り巻く環境は大きく変わりました。今までよりも、注目されるようになりました(笑)


そして、パラリンピック・パラスポーツそのものを取り巻く環境も変わりました。招致までは、自分がパラリンピック・パラスポーツの魅力を伝えるべく、奔走していた部分があったと思います。それが、東京2020大会が決まって、これまで全く注目されていなかったのに、急にメディアには出るようになり、様々な依頼や相談もくるようになりました。


走幅跳は年齢的にも厳しいなと思っていた時に、結婚・出産がありました。そして、2020年までパラリンピック・パラスポーツが注目されるなら、自分が何をするべきか、競技者としてその魅力を世の中の人に伝えられないか、もう一度自分なりに考え直しました。そして自ら招致に携わった大会に選手として出て、息子にもその姿を見せられないかそんなことを考えて競技者に戻ることを決めました。


瞬発系は、過去の怪我のこともあったため、持久系で自分が慣れ親しんだ種目があり、さらにリオ2016大会から正式採用されていることが決まっていた、パラトライアスロンに挑戦することを決めました。色々な人と一緒に自然の中で競技を楽しめて、リフレッシュにもつながるというのもパラトライアスロンを選んだ理由の一つです。やはり挑戦することはやめたくないのかもしれません(笑)


――競技に向き合う姿勢と、普段の仕事や私生活の取り組み方で共通している点はありますか? または、異なっている点はどのようなところですか?


:実は、そんなに共通しているところはありません。


競技の時は、色々と考えながらやります。ベテランと言われる年齢ですし、家庭のこともあるから、時間が有限。その中で自分は何ができるかを、いつも考えながらやってます。


普段の仕事や私生活での取り組みは、そこまでキツキツに考えてやることはありません。いつもそんな風に過ごしていたら、疲れてしまいますし(笑)


――アスリート、母、妻の三役を両立する上で大切にしていることがあれば教えてください。


:何事も完璧にこなそうとしていると、一人で抱え込んでしまい、自分が辛くなってしまいます。私には幸い、アスリートの時は競技の悩みなどを相談ができるトライアスロンの仲間がいます。職場には、気心知れた上司や同僚もいます。母、妻として完璧にできないときも家族がサポートしてくれます。


周りの人たちには、自分が考えていることや感じていること、悩みなどをなるべく伝えるようにしています。それがなかったら、両立なんてできないと思ってます。


谷真海 プロフィール




  • 生年月日:1982年3月12日


  • 出身地:宮城県気仙沼市


  • 出身校:早稲田大学


  • 所属:サントリーホールディングス


  • 競技種目:パラトライアスロン


早稲田大学入学とともに入部した応援部チアリーダーズで活躍していた2001年冬、骨肉腫を発症、2002年4月に右足膝下を切断し義足の生活に。治療とリハビリを経て、2003年1月からスポーツを再開し、2004年走幅跳でアテネパラリンピック初出場。2008年北京パラリンピックにも出場した。


2012年ロンドンパラリンピックで3大会連続出場を果たし、自己ベスト更新。2013年の国際オリンピック委員会(IOC)総会ではプレゼンターとしてスピーチを行ない、2020年東京五輪招致に貢献した


2016年パラトライアスロンへの転向を表明。


2017年9月の世界パラトライアスロン選手権で優勝し、この競技で日本人初の世界一に輝くなど、出場試合全勝を達成。東京2020パラリンピックでのメダル獲得を目指し、競技に取り組んでいる。


2017年6月のチームブリヂストンジャパン結成当時より「チームブリヂストン・アスリート・アンバサダー」を務める。


パラリンピックへの挑戦や様々な活動を通して、夢に向かって挑戦することの重要性を発信。「CHASE YOUR DREAM」を体現している。


 


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