ちまたで見聞きするようになった「IoT」という言葉。何かコアになるシステムをさまざまなモノに組込み、それをネットワークと相互通信させることで、クラウドとの情報共有やAIによる解析などができるようになり、より便利なサービスを提供することが可能になるというのが、IoTの大きなメリットだ。
現在、さまざまなモノをIoT化することで、より利便性の向上がはかられ、さらに非常時の対応などにも活用できるということで、業界の垣根を超えた「協創」がいたるところで盛んだ。
幕張メッセで開催された「IoT/M2M展 秋」のKDDIブースでは、カーナビのIoT化といえるトヨタのサービス「T-Connect」用の「T-Connect専用通信機」と、そこに組み込まれるLTE通信モジュールとSIMチップを展示。その分野における「協創」例として、他業種と組んだサービスの数々が展示された。
その中でも目を引いたのが、日本緊急通信サービスがKDDIのネットワークを活用して交通事故や急病の際にオペレーションセンターに通報を行う緊急通報サービス「HELPNET」だ。
●エアバックの作動で自動通報!
「HELPNET」は、現状でケータイや対応カーナビからの通報に対応しており、「HELPNET」搭載車両では事故でエアバックが作動した場合は自動でオペレーションセンターに通報、もしくは専用ボタンあるいはカーナビのボタンからの手動通報が行える。事故で気絶した場合などは、自動通報機能によって位置情報、車両情報、センサー情報が「HELPNET」のオペレーションセンターに送信される。もし音声通話ができない状況でも、オペレーションセンターが全国の警察、消防に音声とデータで通報してくれるため安心だ。
実際に事故後のヒアリングでは、全く応答のない事案のうち搬送の必要がなかったケースを除く約7割が「HELPNET」の通報によって病院に無事運ばれているとのこと。
保険会社のロードサービスでは事故時にここまで何もかも処理してくれるわけではないので、位置情報から車両情報まで細かいデータを警察、消防の指令台に直接送信してくれる「HELPNET」なら、迅速な事故車の発見、けが人の搬送が可能だ。
ちなみに会員数は2016年9月時点で80万人を超えているという。
今後、システムの向上や車で進む自動運転化や、対応する設備などが充実することで、「HELPNET」で「できること」がさらに広がることも考えられる。
KDDIは今回の展示で数多くの共同開発の成果をデモ展示しており、今後は、KDDIが他社と協創して生み出された新たなサービスが続々と発表されることになりそうだ。
カーナビのIoT化でエアバッグ作動時に位置&車両情報を自動通報!
《防犯システム取材班/梅田勝司@RBBTODAY》