ドイツのプロサッカーリーグである、ブンデスリーガ。日本からも香川選手、内田選手、長谷部選手など名だたるメンバーが活躍しています。 2016年3月13日に行われたブンデスリーガ26節、ドルトムント対マインツ戦。日本代表MF香川真司選手が在籍している、ドルトムントの試合です。その試合では、香川選手が昨年12月から3ヶ月ぶりのゴールを決め、ドルトムントの勝利に大きく貢献しました。そんな白熱した試合の最中、ある悲しい事件が起きました。 後半開始直後に、ドルトムントはドゥルム選手からピシュチェク選手へ選手交代をしました。しかし、なぜかスタジアムのアナウンサーは、選手交代のお知らせを静かに読み上げただけだったといいます。 静まり返る会場 サッカーのクラブを応援する醍醐味の一つでもある、「チャント」。大合唱となるはずのゴール裏のチャント、しかしその日はチャントが一向に始まりません。さらに、応援席で勢い良く振られているはずの旗も、鳴りを潜めています。お立ち台にいるはずのコールリーダーの姿も見えません。 試合とは裏腹に、スタジアムはしんと静まり返ります。 ゴール裏の一部からチャントや拍手が発生したことも何回かあったそうですが、熱狂的なサポーター集団であるはずのウルトラスは、これに対してブーイングをしています。 実は、この試合中に心臓発作で亡くなった方がいるというのです。試合終了までは、亡くなられた方を追悼するかのように、静かに淡々と試合は進んだといいます。 試合終了時 試合終了の寸前に、ゴール裏から「Walk on, walk on, with hope in your heart(希望を胸に抱いて行こう)」と、歌声が上がると、スタジアム全体で「And you’ll never walk alone, You’ll never walk alone (君は一人ぼっちじゃない、君は一人ぼっちじゃないんだ)」と、合唱が起こりました。 これはいつも試合前に合唱される「You’ll never walk alone」を、8万人のサポーターが追悼の意を込めて歌ったのです。 サッカー界では定番のサポーターソング「You’ll never walk alone」。これを訳すと「一人ぼっちじゃないよ」この歌を合唱し、亡くなられた方を弔らったのではないでしょうか。 試合終了後には、電光掲示板で「観客の1名の方が亡くなられ、もう1名の方は病院に搬送され今のところ容体は安定している」というお知らせがあったそうです。選手たちはゴール付近に集まって肩を組み始めます。 もう一度サポーターを含めた「You’ll never walk alone」の合唱が始まりました。 勝ち負けが重要視されるプロサッカー。しかし、病気など不健康な状態ではフィールドにすら立てません。 ヌリ・シャヒン選手の「サッカーよりも大切なことがある」という発言は、「健康な状態でサッカーが出来る」そんな感謝の意味も込められているのではないでしょうか。 この緊急時にはサポーターも敵味方関係なく、亡くなった方へ哀悼の意を込め合唱しました。亡くなられた方は、8万人の「一人ぼっちじゃないよ」というメッセージを受け取ったと思います。 (原題:「サッカーよりも大切なことがある」香川も参戦した試合中に訃報が その時会場の8万人が取った行動に称賛)
《記事提供:@Heaaart 》
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