「ニュースは音声と相性がいいんじゃないか」――朝日新聞社メディアラボの竹原大祐氏はウェアラブルテックエキスポ2015の基調講演で、ロボットと共存しメディアがパラダイムシフトするイメージを、パーソナルロボットPepper(ペッパー)とユーザーとの会話を例に紹介した。
高校生たちが見学するなかで、朝日新聞の記事をペッパーに読ませてみる。すると、新聞記事独特の単調な文面のせいか、ペッパーが身振り手振りで語っても、退屈な感じが否めない。「高校生たちは、みんな寝ちゃう。ただ新聞記事を音声に変換して伝えるというのでは難しいと感じた」と竹原氏。
そこで、ペッパーに会話型の人工知能を加えてみて、対話するなかで新聞記事の内容を短いセンテンスごとにペッパーが言葉にすると自然な会話が生まれだす。「暑いね」とユーザーがペッパーにたずねると、ペッパーは連日猛暑を伝える記事のなかから、適切な情報だけをワンセンテンスで返してくれるという具合だ。
竹原氏は、「ロボットがいろんな要素をつむいで、ワンセンテンスで話してくれると、よっぽど自然な会話になる。こうした観点に立って、情報を集めるメディアとしては、研究を重ねていかなければならない。ポンとセンテンスが出てくるようになると、メディアのパラダイムシフトが起こるだろう」と語った。
《大野雅人》
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