第97回全国高校野球選手権大会8日目の8月13日、第4試合は敦賀気比（福井）と花巻東（岩手）が対戦した。春夏連覇を目指した敦賀気比だったが、エース平沼翔太が打たれ3-8で敗れた。
花巻東は初回にヒットと死球で1アウト満塁とし、5番・佐々木勇哉がライトへ大きなフライを打ち上げる。犠飛には十分かと思われたが、ここは右翼手・松本哲幣が好返球を見せ本塁で刺した。
無得点に終わった花巻東だが、打線は初回から平沼をとらえていた。そして三回、ランナーを二塁に置いて熊谷星南が適時三塁打で先制する。四回にも3点を追加した。
敦賀気比は4回4失点で平沼をあきらめる。平沼はレフトの守備へ回り、2年生の山崎颯一郎がマウンドに上がった。山崎は好投を見せ花巻東打線に追加点を与えない。
五回に篠原涼の3ランホームランで3点を返した敦賀気比。七回から再び平沼をマウンドに戻す。東哲平監督は試合中、選手たちに「平沼をもう1度マウンドに上げてやろう」と話していた。平沼と3年間ともに汗を流してきた仲間も想いは同じだった。最後の夏は平沼で終える。
だが花巻東打線は平沼を完璧に攻略していた。終盤に4点を追加し8-3と突き放す。
試合後の平沼は涙を見せず、しっかり前を向いて「自分の持てる力は出し切りましたが実力不足でした。スライダーを見極められてしまった」と話した。
センバツ王者の早過ぎる敗戦に、「平沼くんへの対策を相当練ってきたなってのは、試合見ててもよくわかった」「山崎くんが調子よかったので、なんでまた戻したんだろうと思ったが、みんな納得してのことなら文句は言えないね」「選抜優勝して研究され続けて甲子園に帰ってきたのはほんとにすごい！」「初戦の様子からは敦賀気比が有利と思ってたけど、勝負はやってみないと分からないもんだな」など、意外な結果と驚く声が多かった。
勝った花巻東の3回戦は大会11日目、第3試合と決まった。
《岩藤健》
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