弱虫ペダル・渡辺航さんトークショー「ママチャリに乗っている人でも面白く読めるように」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

弱虫ペダル・渡辺航さんトークショー「ママチャリに乗っている人でも面白く読めるように」

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「宇都宮自転車王国」で弱虫ペダル作者の渡辺航さんがトークショー(2015年3月15日)
  • 「宇都宮自転車王国」で弱虫ペダル作者の渡辺航さんがトークショー(2015年3月15日)
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栃木県宇都宮市で3月15日に開催された「宇都宮自転車王国 第2回JBCF宇都宮クリテリウム」で、週刊少年チャンピオン(秋田書店)で連載中の自転車ロードレース漫画『弱虫ペダル』の作者・渡辺航さんを招いたスペシャルトークショーが行われた。

自転車競技部の高校生たちによる熱い闘いを描き、個性的なキャラクターたちが活躍する同作品は、自転車好きの人にはもちろんだが、それまで自転車競技を知らなかった人たちにも女性読者を中心に人気を呼んでいる。漫画のファンがロードバイクを購入し、現実のレース会場にも足を運ぶなど、自転車業界にも大きな影響を与えた。

「単純にぼくが自転車に乗って楽しいなと思って、それを伝えたい」という気持ちが弱虫ペダルを描くスタートだったという。渡辺さんは1カ月に500~600km、多いときには800kmほどロードバイクで走る自転車愛好家。この日もイベントに来る前に、茨城県の山を走ってきたそうだ。

「自分が乗って、体験して、気持ちいいとか、ずっと持っていた固定観念を自転車によって壊される。100km走れるわけないじゃん、と言っていたのが走れるようになって、200kmは無理だろうと思っていたのが200kmも走れるようになって、どんどん自分の価値観が壊されていって、それがすごい楽しい。それを伝えていきたい」

弱虫ペダルの主人公、小野田坂道はどのようにして誕生したのだろうか。渡辺さんは弱虫ペダルの前に、漫画版『電車男』の作画を手がけている(原作・中野独人)。電車男はオタク男子のリアル恋愛初体験物語だ。

「(電車男の主人公が)一歩一歩、確かめながら進んでいくキャラクターで、そういうキャラクターをもう1回描きたい思いがあった。それと自転車の面白さを伝えるのに、自転車とある意味正反対な人がいいなと思った」

秋葉原に通うアニメ好きの高校生・小野田の対立軸として生まれたのが、自転車に夢中で世界最速のレーサーを目指す今泉俊輔だ。小野田と今泉を対比する形でストーリーは進む。

「闘うことに興味はない。好きなものは別にある。彼(小野田)が自分の中の才能を開花させていく。開花させていく上で、自転車と触れ合っていくことで、どんどん読んでいる人も自転車を知っていき、主人公が知っていくのと一緒に面白さを理解していくのがベストだろうと思った」

渡辺さんが漫画を描く上で基本軸にしているのが「ママチャリに乗っている人でも面白く読めるようにしよう」だ。ロードバイクに乗っている人にしかわからないエピソードを描いても読み手は面白くない。

「わからないと、漫画は娯楽なので(読み手が)入ってきてくれない。入ってきてもらえて初めて面白さを伝えることができる」

そんな渡辺さんの想いがあったからこそ、主人公・小野田は最初ママチャリに乗っていたのだ。そして、その設定があったからこそ作品は多くの読者の心を惹き付けた。

アニメ版弱虫ペダルは2015年夏に初の長編オリジナル映画としての公開も決定した。シナリオは渡辺さんが書き下ろしたオリジナルストーリーで、新たなファンを獲得しそうだ。弱虫ペダルの勢いはまだまだ高回転だ。
《五味渕秀行》

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