3月5日からスタートするオープン戦。マイアミ・マーリンズに加入したイチロー外野手は、オープン戦での起用法などを聞かされていない状況の中、「準備は万全にしておきたい。それは永遠に変わらない目標」と、変わらない信念を示すとともに順調な調整ぶりに自信を見せた。
北米プロスポーツ史上最高の超大型契約を結んだジャンカルロ・スタントンをはじめ、メジャー屈指の外野陣と評されるマーリンズへの加入を決断したイチロー。あえて厳しい環境に身を移したイチローには、新たなる挑戦に向けた意欲がみなぎっている。41歳となったイチロー。その計り知れないモチベーションは、一体どこから湧いてくるのだろうか。
マーリンズ球団からの熱い思いを感じながら、感極まる表情で臨んだ入団会見時には、「これからも応援よろしく…とは言いません。応援してもらえるような選手になるように…」と話すなど、会見の随所でイチロー節を披露。これまで数々の大記録を打ち立てると同時に、多くの名言を残してきたイチローらしいコメントだった。
イチローに代表されるように、一流の選手には必ず信念があり、一流の選手からこそ名言は生まれる。イチローの他にも、野球界のレジェンドによる言葉には心を動かされる。
監督として巨人のV9を達成した故・川上哲治氏は、「どんなに遠まわりに見えようとも、勝つためには基本の積み重ねしかない」と語り、基本の大切さを常々説いていたという。これは、メジャーリーグでのシーズン最多安打記録の達成時、「一つひとつの積み重ねが、とんでもないところへ行くただ一つの道」と語ったイチローの言葉に相通じるものがあるのかもしれない。
また、メジャーへの道を切り開いたパイオニアの野茂英雄氏は、「引退会見で、野球人生に後悔していないと言う選手の発言をよく耳にするけど、自分の場合は後悔だらけだと思う」、「華があるうちに辞めるのではなくて、落ちぶれてボロボロになっても投げ続けようと決めた」という信念のもと、長きに渡って活躍した。
選手としての成功だけでなく、中日の黄金時代を築くなど監督としても実績を残した落合博満氏は、「本当にその選手を育てたいと思ったら、負けるなら負けてもいい。この試合はおまえに任せたと言ってやるのが大切」と語るなど、指揮官としての確固たる信念があった。
野球界で名将の名をほしいままにした野村克也氏においては、「考え方が行動になって、取り組みになって、表れてくる。苦労して、苦労していかないと、自分の哲学はできない」、「どうするかを考えない人に、どうなるかは見えない」など、数多くの名言を残し、野球界だけでなく、リーダー論として様々な分野の指導者にも多大な影響を与えた。
「準備というのは、言いわけの材料となりえるものを排除していく、そのために考えられる全ての事をこなしていく」。揺るぎない信念をもつイチローは、常に新たなる挑戦を続け、これからも世界中の野球ファンを魅了していくだろう。
《浜田哲男》
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