このサイクリングブームの浸透から、ロンドンの街に溢れるバークレイズ・サイクル・ハイヤーが2010年に登場。この青いレンタル自転車により、人々に自転車中心の暮らしがなお一層浸透した。
◆自転車中心の交通流に議論も
しかし、近年の自転車利用者の増加と共に、様々な問題が発生し自転車利用に対する意見が分れる事もある。
自転車利用を支持する人たちは、自転車は排気ガスも出さない環境に優しい優れた乗り物であり、交通渋滞を緩和すると同時に、自分たちの健康にも良い、まるで「良い事づくし」かの様に言われる。
その一方で、自転車利用者を「道路の無法者」と呼ぶ人たちもいる。信号無視、夜間の無灯、歩道を走行し たりなど、交通規制は自転車に当てはまらないのだと主張するかの様に振る舞う、マナーの悪い利用者がいる。
◆自転車マナーに問題はイギリスでも
現に、自転車の関係する事故は多発しており、自転車の安全性が確保されていない事実を受け、一つの打開策として実に興味深い「SkyCycle」という構想が発表されている。
「SkyCycle」とは、ロンドンの既存の鉄道網に沿って全長136マイル(約220km)、幅15mで走る自転車専用の高速道路とでも言うべき新たな道路構想である。
自動車はもちろん歩行者も通行できない為、歩行者天国さながらの自転車天国といったところだろう。地上からの入り口は200カ所で設けられ、1時間あたり1万2000台が通過するこの道路は、従来の道路やトンネルと比べ、建設費もはるかに低コスト、鉄道網の上を立体に走る道路はロンドンの街並に近未来的な景観を加える。
その費用と難しさはさておき、実現すれば自転車乗りに優しい安全な道路になる。共同で発表されたこの構想者の一人、自転車愛好家でも知られるFoster + Partnersの建築家・ノーマン・フォスター氏は、「自動車だけに頼らず、徒歩やサイクリングもできる都市が求められています。安全性を兼ね備えた自転車のためのSkyCycleは、ロンドンでの生活の質を向上させることができると信じています。」と語っている。
今後も人口増加が見込まれるロンドンでは、交通渋滞はさらにひどくなることが予想されている。 SkyCycleが実現すれば、 交通渋滞を緩和させ、より豊かな生活が可能となるだけでなく、イギリスは自転車大国の代名詞となり、キング・オブ・スプリンター、マイヨ・ヴェールなどを決めるツール・ド・フランスの新たなロンドンステージが楽しめるかもしれない。