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クロモリ全盛時代からカーボンが主流になった現在まで、キャノンデールは一貫してファットチューブのフルアルミフレームを作り続ける。キャノンデールの代名詞ともいえるCAADシリーズも今や9代目。この時代にあえてフルアルミに乗る理由とは?今回もライター安井が300km以上を走り込んで検証する。
(text:安井行生 photo:山本健一/我妻英次郎)
CAAD=Cannondale Advanced Aluminum Design。 高度なアルミニウム加工技術を用いて製作された、キャノンデール伝統のフルアルミレーシングフレームである。メインフレームのチューブを肉薄の大口径にすることにより、軽量かつ高剛性に仕上がっているのが大きな特徴だ。シートステーは路面からの衝撃を効果的に吸収するために砂時計 (アワーグラス) 型に曲げられており、さらに翼断面に加工されるなど、入門機とは思えない凝ったチュービングを見せる。 「アワーグラスシートステー」 と呼ばれるこのシートステーは、キャノンデールロードのトレードマークとして上位機種にも採用されている。
多くのブランドが台湾の工場にフレーム生産を委託しているなか、CAADシリーズは現在でもアメリカはベッドフォードにあるキャノンデールの自社工場でハンドメイドされている。そのCAADもすでに9代目へと進化した。
このCAAD9-5は、コンポーネントにシマノ・105、ホイールにシマノ・WH-RS10 (試乗車のホイールはWH-R561) を組み合わせた完成車で、使用目的に合わせてコンパクトクランクを選択することもできる。リクイガスやキャノンデール・ディアドラチームのレプリカカラーが用意されているのも、ロードレース好きには嬉しいポイントだろう。
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CAADといえば? マリオ・チポッリーニのド派手な振る舞いや爆発的スプリント、彼にしか乗りこなせないスペシャルペイントの巨大なフレームであり、サエコチームの真紅に塗られたそれが思い起こさせるのは物騒なスピナジーRev-Xと陽気なコメッソの笑顔である。
CAAD8あたりでは、なんといっても若きダミアーノ・クネゴの目覚ましい活躍とジロ・デ・イタリア総合優勝だし、サヴォルデッリやディルーカもキャノンデールのフルアルミフレームを駆っていた。クネゴなどはカーボンハイブリッドのSix13が発売されてからもCAAD8を使い続けたほど気に入っていた。CAADはプロ選手達に愛され、カーボンが主流になってからもしばらくはトップレース用機材として君臨していた、フルアルミフレームの名作である。
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ではペダルを踏み込んでみよう。まず、太いチェーンステーが脚力による捻りと圧縮に対してびくともしない様が、足の裏に伝わってくる。敏感すぎもせず、かといって決して鈍重でもない。適度で自然な加速。滑らかで力強い加速だ。
中速から高速への伸びは、スカッと胸のすくような、というよりは骨太でダイレクト感に溢れている感覚でトルクフルにスピードを上げていく。
ヒルクライム性能にもこれといった不満はない。さすがに軽量カーボンバイクのような鋭いキレには欠ける。しかしハンドルのフラット部分を握ってシッティングで踏み込むと、なかなかにパワフルな登坂性を見せてくれるのだ。ヘッド〜フォーク周りの剛性感が最適で、ダンシングにも軽快感があり、ハンドルを左右に振っても推進力は削がれない。
「キャノンデールといえば大口径」 「高剛性フルアルミ」 といったキーワードから連想していたイヤな硬さは全くなく、むしろしなやかという印象を受けるほど。長距離を走っても脚に疲労が溜まりにくく、ライダーにフレンドリーである。長年の熟成を感じる部分だ。
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